Japanese
碧海祐人
2023年10月号掲載
Interviewer:石角 友香
ひとりでのものづくりの外に出たい。 誰かと意見を擦り合わせながら120点を目指すことをやらないと
-たしかに、オーガニックな感じのトラックでありつつ、Aメロに3連フローが乗るのはちょっとびっくりします。メロディに対しても言葉に対しても、どっちも意欲が窺える曲だなと。
そうですね。いい意味ですごい心地悪いっていうか気持ち悪いですよね(笑)。
-違和感がクセになるとすごい聴きたくなる感じがありました。で、配信限定EP『夜光雲』(2020年12月リリース)の頃から生音で録っているんですか?
いや、そのときは基本打ち込みで、「逃げ水踊る」(『夜光雲』収録)でフィーチャリングの浦上想起さんのヴォーカルだけレコーディングしました。あとは「夕凪、慕情」をEP(『逃避行の窓』)に入れますというときに石若 駿さんにドラムを頼んだのと、生音を録ったのはその次のアルバムの『表象の庭で』(2021年リリース)からですね。
-石若さんにはどんなタイミングで出会ったんですか?
いつだろう?
-オルタナとかヒップホップを聴いてたリスナーが新世代ジャズに気づいた時期とリンクしてるんでは?
そうですね。音楽好きな人はそっちにも一気に広がった瞬間でしたよね。石若さんの『Songbook』を聴いて"ヤベぇっ!"ってなったあとに、君島大空さんの合奏形態やCRCK/LCKSで演奏しているのを知ったりして、そこで全部繋がったんだと思います。
-『表象の庭で』の頃はどういう影響が大きかったですか?
ソウルとかR&Bを意識的に取り入れていたわけでなく、最初に「逃げ水踊る」とかができていたので気持ちに則って行こうという意識の中で、ビート・ミュージックというよりはたぶんフォークとかで。アルバムを作ろうとしたときに、僕の中にフォークに乗ってくれそうなメロディがあったんだと思いますね。だから意識してフォークにしたのではなく、無意識下でそういうことが起きてたと思います。
-今年7月にリリースしたEP『うつつの在り処』ではギターもヴォーカルもエッジが立ってきたように感じました。
ちょっと衝動的になった気がしてます。思考の中に潜り込んでものを作るというよりは、それがどう受け取られるのか? 内側か外側かみたいなことを考えて、内側は衝動的に作るということをこのEPの4曲でやった気がしていて。衝動的にどんどんものを重ねていって"面白くね? 面白くね?"って言って、"でもこれってどうなの?"って引いて見て、外側からの輪郭が良くないほうに行ってるなと思ったら一度それを消して、また1から広げていってと、結構地獄みたいな作業でしたね(笑)。
-(笑)平たい言い方をするとフィジカルが立ってきた印象があったんですけど、それは好む音楽が変わってきたとかということではなく?
最後の表題曲「うつつの在り処」以外の3曲はリズム隊を客演で迎え入れて演奏してもらってるんですけど、それによる影響かもしれないですね。それは僕がひとりでのもの作りの外に出たくて、誰かと音を出す練習でもあるフェーズで、それは今も続いています。誰かと一緒に意見を擦り合わせながら120点を目指すことをやらないといけないと思って。そのうえでリズム隊が最も面白い変化が起きそうだし、単純にプレイヤーのみなさんもものすごくリスペクトしてたので、そうしようと。それがフィジカル的に聴こえた感じはある気がします。
-デモのニュアンスでまず弾いてもらって?
はい。楽曲のイメージをいつも写真とか文章とかでまとめるので、それを共有してっていう感じですね。
-曲に対して写真や文章でも共有するんですね。
そうですそうです。それは『表象の庭で』からそうですね。
-今回の「光を浴びて」もそういう作り方なんですか?
そうです。視覚的なものはこういう写真が1枚。夜の海をちょっとISO感度が高い感じで撮ったのが一番最初にあるんですけど、その色が特に好きで。ISO高くしてもシャッター・スピードは長めなのでなんか入り込んだりして、そういうちょっともやっとした感じが(曲の印象と)近いなと思って。
-今回ビートの考え方が全然変わったように思えて。何からできました?
メロディからできました。僕の中で、この曲はもうスピッツなんですよ。ブラックなリズムで作っていくよりは、メロディがすごいスピッツだし、それをそのままロック・バンド的にっていうんですかね? 作り込みたいなというのが一番最初のある種コンセプトみたいな部分で。メロディの奥にあるものを掬いながらそういうのをやってみようという中で、もちろんグルーヴしてるんですけど、スイングしているとかブラック的ではないビートになった理由として、めちゃめちゃそれがあると思います。
-歌詞の内容としては、伝えると色褪せたり終わってしまうかもしれないけど、終わることに安堵してるみたいな感じがすごいありました。
その解釈面白い。僕もどうなんでしょう? と思ってて。
-碧海さんの、存在の根拠をつい考えちゃうっていうことにも繋がってくるのかなと。
具体的な言葉とか際立ったセンテンスが、曲の印象を大きく決めないように書いている気がしていて。もうそれが非常にJ-POP的ではないんですけど、僕はそれがちょっと面白いなって思っていて、それが今回の曲はより顕著だなと感じていますね。何を言ってるかわかんないと思うんですけど、でも僕の中ですごい明確なテーマとかはあって。これどうやって喋ったらいいのか難しいですけど(笑)。
-結論めいたことじゃなくても着想はあるという?
着想としては、人が時間が経って変わっていくっていうなかで、脱皮するみたいには変わらないじゃないですか。何かがきっかけでグラデーションで変わっていくと思うんですけど、その変わっていった前の自分にあんまり気づかなくて。
-たしかに。
これを書いていたとき、具体的に言うと僕はすごく強くなろうとしていて。自分が強くなろうとしているときに大きな気持ちの変化があって、この気持ちが変化する前、おそらく弱かった自分が自分にとってどういうものかとか、弱い自分の中にもものすごく重大なものがたぶんあって、それは簡単に変わったわけでもないしっていう、もうひとりの自分みたいなことをちゃんと考えて、そこからの変化とその関係性みたいなことについて書いているんだと思います。
-前の自分が完全になくなるわけじゃないですもんね。では最後に、現在のサブスクリプション全盛時代において、作品作りでそのことをどう意識されるかを聞かせてもらえますか?
本当に今はすごく変化しやすいなと思ってて。サブスクリプションが浸透した時代になってきたということが僕としてはめちゃくちゃ嬉しいんです。それこそ音楽をディグることがすごく簡単になってきて、ある程度のところまでは掘って手が届くようになって、吸収の速い人であればそこに時間もお金もかからないっていうのは、すごくいいことだと思うんですよ。僕としてはそれをちょっと逆行したい気持ちもあって、どんどん掘っていけるからこそ何度も聴かれるものってすごく価値があると思うし、何度も聴かれるだけの、なんて言うんだろうな......これって難しいですね(笑)。
-何度も聴かれるものは中毒性も耐用年数もおそらく両方ありますね。
そうですね。何度も聴かなくなることとも少し近づいてる気もするので、音楽家としてはすごく大変だなと思ってるんですけど、でも変わっていくことと、聴かなくなったものにもまた手を出せるっていうこと、どっちもあるのはすごくありがたいんです。例えば僕がここから音楽的に変わっていったとしても、「夕凪、慕情」や「秋霖」をCDで買っていないライトな人でも"どんな曲作ってるんだろう?"って並べて聴いてくれるから、それはすごい大きな変化だなと思ってて。CDを買って家の中に置いておくことって、いつ買ったかっていう記憶と同時にあるし、買ったときに集中的に聴いたりして人は成長すると思うのですが、それと切り離されたところにトップ・ソングで昔の曲が上のほうに並んでたらそれから聴き出す人もいる。サブスクはそこが並列しているということがすごい面白いと思っていて、だからすごく変わっていきたいなって思っているのが現状です。変わっていくからこそ一歩一歩の足跡をめちゃくちゃデカくしないと聴かれなくなっていくけど、ちゃんと残したものはみんな気づいてくれるっていうことはちょっと楽しいなと思ってますね。
-変化するとしてもあくまでもポップスでありたいですか?
そうですね。僕はJ-POPを作りたいです。
-また新たにオルタナティヴなJ-POPが聴けそうですね。
そうだと思います。そう感じ取っていただけたら僕としてはしてやったりというか(笑)、"やった!"って思いますので。それこそ本当に君島さんや浦上さんがやってることもすごいし、その奥にある音楽的見識の深さとか考えていること、見てるものの数も踏まえて何を汲み取っているかも含めて本当にすごいので、そことの関係で言えば、僕はある種窓みたいなものになられたら一番面白いのかなっていうのはあります。僕が『BOOTLEG』を聴いて面白いと思ったようなことが、今の中学生とかに起こると嬉しいですね。
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