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Skream!×MUSE音楽院特別公開講座

2015年12月号掲載

Skream!×MUSE音楽院特別公開講座

-本日は、大変貴重なお話をうかがったわけですが、ここからはご参加いただいてる方からの質問をいただく、質疑応答のコーナーに移りたいと思います。事前に聞いた質問の中で気になる質問を選んでいただけますでしょうか。

滝:そうですね。"アマチュアでCDを全国流通させるにあたり、予算が少ない場合のレコーディングのコツや、そこまで高すぎないエンジニアの方がいるのかを教えてください"という質問ですけど......切実なんでしょうね(笑)。わかります。全国流通ということで答えるなら、ディスク・ユニオンに一発電話したら多分インディーズは流通してもらえると思うので、まずはディスク・ユニオンに(笑)。あとは、そこまで高すぎないエンジニアっていうのは、プロの方ではいないのでレコーディング・エンジニアを目指している方にお願いするとか。

日下:ご自身でやってみるってのもいいかなと思いますよ。例えば、ZAZEN BOYSの向井君(向井秀徳/Vo/Gt/Key)なんかは自分で勉強して、自分が録るって言って、"レコーディングのいろは"みたいな本を読みながら、マイクを立ててっていうふうにやりながら作品を作っていたころもあるので。そして、それがとても良かったりもするんですよね。自分でやってみるってのもいいかと思いますよ。

滝:ドラムはマイクを立てて録るしかないんですけど、それか最近トリガーみたいなやつもあるから、そういうのを買って使ってみてもいいかもしれないし。ギターは、シミュレーターみたいな"SansAmp"っていう狂ったようにいい音がするエフェクターが15年くらい前からあるので、みんなそれを使って録ってたりしましたよね。そういうのを使えば、たぶん5万円くらいでアルバムが作れます。Pro Toolsは今、フリーのが出てるし、Slate Digital TRIGGERっていうソフトが1.5万円くらいで、SansAmpが2万円くらいなので、まぁ合計50,000円くらいですね(笑)。

日下:1週間バイト頑張れば、アルバム録れますよ(笑)。ああ、いいこと聞いた! そんだけ機材あればいいアルバム録れますよ。

-ありがとうございます。その他に気になるご質問あれば。

滝:では、せっかくなので挙手制で。

質問者:自分は、ギターをやってるんですけど、レコーディングの日になるとすごく緊張して、手が震えてまったく弾けなくなってしまってバンド・メンバーに責められるんです。家では弾けてるはずなんですけど(笑)。レコーディングのときの心構え的なものがありましたらおうかがいしたいんですが......。

滝:ていうか、レコーディングを日常的にしてるくらい活動が活発なんだ。

質問者:それほどでも......数ヶ月に1回くらいです。

日下:それってやってる方だよね! もう慣れてらっしゃる(笑)。家では録ったりしますか?

質問者:ちょっとだけ。

滝:俺もやっぱり結構緊張したりしてましたね。ライヴの前とか緊張しすぎて気持ち悪くなったりしてたんだけど、それでもライヴをやってきて慣れてきたし。録音も苦手で、緊張しすぎちゃうか、ぶっ飛ばしちゃうかしかなくて(笑)。まぁぶっ飛ばすのが答えならいいんだけど、そうではなくて真面目にいきたいなら、家でいっぱい録音して、いつ録っても"いい感じに録れるなぁ"ってくらいになるまで準備万端にしていけばいいのかと。それでもダメだったら、それは本番の経験が足りないっていうだけかな。だんだん慣れていくと思うし。レコーディング中、悩んだままいくと体力、精神力、あらゆるものが消耗していくし、そうならないために自分を作っていくっていうふうに考えられるようになるんです。たぶん自分では気づいていない足りないところがたくさんあると思うし、やっぱり現場に出続けることしかないかな。

質問者:ちなみに、滝さんは1曲を録るときにどれくらいの時間をかけて録るって決めてますか?

滝:決めてはいないけど、5テイクしか録らないアルバムもあれば、10テイク録るアルバムもある。最近思うのは、私のギターは全テイク使っていただいて構いません、あとはバンド感がよければそれを採用しましょうっていうだけでしか考えないから。そもそも自信があるとこまで自分を作り込めているか、鍛え上げているかっていうことの方が重要ですね。

-ありがとうございます。エンジニアに関するご質問もいただいているのでお願いします。

日下:では、"信頼されるエンジニアとは何か"について。とにかく、まずは"この人たちがこの曲で何を世の中に伝えたいのか"ってことを考えて、そして、その曲を世の中に出すためにできることを自分なりに考えて、作業を進めていくっていうことがとても大事だなと思うんですよね。僕も、9mm Parabellum Bulletってバンドがほんとに大好きで、公私ともに仲良くさせてもらってますけど......でも、バンドっていうかやっぱり曲が好きなんだよね。とにかく曲を大事にしたい、この音楽をどう伝えるかっていうことを大事にできるエンジニアっていうのは信頼できるんじゃいかと。そこは、これから新しくエンジニアになりたいって人には、本当に音楽を愛していただければ嬉しいなと思います。

参加者へのメッセージ


日下:集まった方、みなさまにとても真剣に作品作りについて耳を傾けていただきました。あの後、FacebookやTwitterでも質問やご意見をいただきましたし、そのあと何度か9mmのライヴに行ったとき"先日のレコーディング談義行きました、面白かったです"と声をかけられました。レコーディングはライヴのように華やかな場所ではありませんがアーティスト活動の根幹を成す神聖な部分です。あまり外には見えない作業場なので私としましても若い方たちがレコーディングに興味を持っていただいていることが大きな励みとなりました。また次回がこのような機会があれば、と感じております。何より参加していただいた方々に感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。

滝:集まってくださったみなさんありがとうございます。楽しくお茶を飲みながらお話をさせていただけてとても楽しかったです。基礎をやろう、タッチを良くしようって話も、友達や後輩に話していましたが、もっとたくさんしたいなと思っていたのでよい場所をもらえて嬉しいです。ギターに関しては自分は独学ですし、まだまだできないこと、わからないことだらけです。日ごろバンドの活動をしていく中で、プレイ面、音の面、表現の面、作曲の面、体調、考え方、迷い、プレッシャー、いろいろ戦わないといけないものはあるんですが、これらすべてに立ち向かえる材料として私には基礎練習が1番だな、と考えるようになりました。みなさんに関してはひとりひとり違う分野とは思いますが、考え方は遠からずでしょう。録音は絶賛勉強中です。近年は、自分はこれだな、と思うやり方やものの選び方がやっとできるようになってきました。趣味として大変奥深く楽しめるとてもいい世界だと思います。私もいろいろ頑張って勉強して続けていって、またこういった機会でお話させてもらえれば嬉しいなと思います。ありがとうございました。