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LIVE REPORT

Japanese

WACK FUCKiN'SORRY PARTY

Skream! マガジン 2020年09月号掲載

Writer 宮﨑 大樹 Photo by sotobayashi kenta

続いて登場したのは、GANG PARADEから分裂して誕生したPARADISES。GANG PARADE時代からのメンバーであるテラシマユウカ、月ノウサギ、ナルハワールドに、WAggから昇格したキラ・メイを加えた4人は、この日がライヴお披露目となった。記念すべき1曲目の「TWINKLE TWINKLE」では、フレッシュではじけるようなダンスと歌声を魅せ、"WACKの楽園"を掲げる、"楽園感"とも言うべき温かい世界を届けていく。続く「終わらない旅」では、"一人泣くときも 夜空が僕を突き落として/誰も助けない 助けないんだ/でもちょっとワクワクするんだ"と、まだ始まったばかりのPARADISESの旅路を歌った。最後に披露したのは、彼女たちにとって始まりの1曲「GOOD NIGHT」。PARADISESのライヴ・デビューをキラキラと飾り、内に秘める無限の可能性を視聴者に印象づけたはずだ。

そんなPARADISESの初披露のあとに、GANG PARADEから分裂したもうひとつのグループ、GO TO THE BEDSの初ステージが続く。メンバーのココ・パーティン・ココが残念ながら出演することができず、この日はヤママチミキ、ユメノユア、キャン・GP・マイカ、ユイ・ガ・ドクソンの4人でのお披露目。しかし、そんなアクシデントは微塵も感じさせない堂々たるパフォーマンスで魅せていくあたりは、さすがGANG PARADEの中でも経験の長いメンバーが揃っているだけのことはある。グループとしては新人ということになるが、すでに成熟した匠のライヴはさすがとしか言いようがない。1曲目の「行かなくちゃ?」で、ようやくステージに立つことができた喜びを爆発させているのが伝わってきて、観ているこちらも嬉しくなった。「Don't go to the bed」、「I don't say sentiment」とアグレッシヴな曲を続けると、ユメノユアがGO TO THE BEDSとして活動していく覚悟を述べ、ライヴを締めくくった。

次に登場したのはTBS系列"水曜日のダウンタウン"内の企画から生まれた、豆柴の大群。まだまだライヴの場数を踏めていないグループではあるが、1曲目に披露した「FLASH」のパフォーマンスで、この自粛期間中も鍛錬を積み重ねていたことがしっかり伝わってきた。"初めまして! 豆柴の大群です! 今日はよろしくお願いしまぁーす!!"(ハナエモンスター)の声でスタートした「豆柴の大群-お送りするのは人生劇場-」では、躍動感のあるダンスをしながらも安定した歌唱を届けたかと思えば、ステージを左右に走り回って、全力のステージを見せていく。「大丈夫サンライズ」で温かくも優しいパフォーマンスを見せ、MCではカエデフェニックスが"すぐ先の未来さえわからなくて不安になることもあります。ですが、豆柴の大群はまだ始まったばかりです。これからも前を向いて進んで行きます。私たちは何度でもスタートします"と語ると、デビュー・シングル「りスタート」を披露。終始堂々たるライヴを見せて駆け抜けていった。

SEからVJが入り、入場前から雰囲気を醸し出していたのはトリを務めたEMPiREだ。開幕は、リリースしたばかりの『SUPER COOL EP』から「This is EMPiRE SOUNDS」を披露。スーパー・クールな映像演出とともに画面に映し出される6人の表情からは、トリのプレッシャーなどまったく感じられない。それどころか、6人からはどこかスターの風格のようなものが漂っていたように思う。"久しぶりに踊ろうぜ!(MAHO EMPiRE)の声と共に「Have it my way」で2連続ダンス・チューンを畳み掛けていく。この日のEMPiREは、歌とサウンドとダンスはもちろん、表情がとにかく印象的だった。バンド・サウンドの「S.O.S」で見せた爽やかな笑顔は、ライヴを心から楽しんでいることの表れだったはずだ。MCでは、ライヴができない日々に感じた、ライヴが生きがいであるということや、ファンから元気を貰っていた事実を再認識したことなどをMAYU EMPiREが語った。そうしてフューチャー・ベース調の「SUPER FEELiNG GOOD」、に続けて「ピアス」を披露。最後は「MAD LOVE」で約3時間にわたったイベントのラストを飾った。

ステージを終えたEMPiREに呼び込まれて、出演者全員がステージに集合。オープニングと同じく各グループの代表者がライヴの感想や、視聴者への感謝、この先の未来への想いを語った。最後は、チッチが"1日通して、やっぱり音楽は死なないと思ったしWACKは世界がどんな状況になっても「行かなくちゃ」なので、この先の未来もそれぞれの形で愛を届けます。また会えるときまで強く生きてください"と話し、全員の"WE ARE WACK!!"で締め、大団円を迎えた。

フィナーレを終え、beat mints boyz(音楽制作プロダクション SCRAMBLES代表 松隈ケンタとWACK代表取締役 渡辺淳之介によるユニット)による「スパーク」が流れるなか、カメラに笑顔を送るアーティストの表情は達成感で満ちている。メンバーがひとり、またひとりとステージをあとにするなか、最後までステージに残っていたハシヤスメ・アツコによるハシヤスメ劇場も届けられ、最後の最後まで満足感でいっぱいの時間だった。やっぱりライヴっていい。