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INTERVIEW

Japanese

BiSH

2019年07月号掲載

BiSH

メンバー:セントチヒロ・チッチ モモコグミカンパニー ハシヤスメ・アツコ

インタビュアー:宮﨑 大樹

"これがBiSHだ"、"これはBiSHじゃない"、BiSHの新曲が公開されると、同じ曲に対する異なる印象を目にすることが増えてきたような気がする。これについて当の本人たちに話を訊くと、メンバー内でもそれぞれの"BiSHらしさ"や"BiSH像"があるらしく、実に興味深い話ができた。そんなBiSHが完成させたニュー・アルバム『CARROTS and STiCKS』には、今までに見せてきた二面性と共に、今の彼女たちのすべてが詰め込まれている。

-4月に"#BiSHアメトムチ"プロジェクトが発表され、松隈(ケンタ/サウンド・プロデューサー)さんの表現で言う"汚い"、"売れない"『STiCKS』と、"かっこいい"、"売れる"、『CARROTS』という、異なるふたつのBiSH像を表現したEPが先行配信されました。この2枚がニュー・アルバム『CARROTS and STiCKS』のリリースに繋がっていくわけですが、このプロジェクトについてはどう捉えていますか?

チッチ:3ヶ月のプロジェクトで差別化を図って『STiCKS』と『CARROTS』を出したっていうのはかなり意味があると思っています。(『STiCKS』と『CARROTS』は)最終的に『CARROTS and STiCKS』に集約されるんですけど、BiSHをどういうふうに見ているのか、人それぞれBiSHの捉え方がかなり違うと感じていて。"BiSHは過激なグループだ"と捉えている人もいれば、"BiSHはいい歌を歌うグループだ"って捉えている人もいて、だからこそ『STiCKS』と『CARROTS』は、どっちが好きっていうのが分かれると思うんですよ。そのなかで『CARROTS and STiCKS』を改めて聴いたときに、新しいBiSHの良さっていうものを見つけてほしいなって。今BiSHができる最大限を出し尽くしたので、"BiSHってこんな曲もあって、こんな顔もあるんだ"っていう、その人の概念を覆すことができたらいいなって思っています。

モモコ:今までのBiSHにも二面性はあったと思うんですけど、それを表立ってわかりやすくアルバムのタイトルにしたっていうのは面白いと思いますね。光と闇みたいな感じでどっちにもいいところがあるので、両方聴いてほしいなって。

-チッチさんが言ったように、ここ最近は、新曲が公開されるたびに、"これぞBiSH"とか"これはBiSHじゃない"みたいな意見が出ていますよね。

チッチ:"これがBiSHだ"、"これはBiSHじゃない"っていうのは全部正解だと考えていて。それぞれの捉え方があるのがBiSHの面白さだから、"それがBiSHだ"って言われたら、"それがBiSHなんだ"って私も思うし、違うって言われたら違うでもいいって思うんです。いろんな曲をやっているからこその状況だと思うんですけど、そういうふうに言われる人ってなかなかいないので、BiSHのセオリーというか、当たり前というものをどんどんぶち壊しているからこそ聞こえてくる声が気持ちいいですね。

-このアルバムで"どっちもBiSHだよ"って言いたいというよりは、"どっちがBiSHでもいいんだよ"と。

チッチ:私はそう思いますね。でも、"どっちもBiSHだよ"っていうのも正解なのかなと。

アツコ:興味深いなと思ったのは、最近"北斗新規です!"っていう方がいたんです。「Small Fish」("北斗の拳"コンピレーション・アルバム『北斗の拳 35th Anniversary Album "伝承"』収録曲)っていう曲を出したんですけど、そこからファンになってくれたみたいで。

-つまり、その人からしたらBiSHと言えば――

アツコ:"北斗の拳"なんです。本当にいろんな入り口があるんだなっていうのを客観的に感じて、全部BiSHなんだなって思いました。

-個人的には、『CARROTS and STiCKS』を聴いて"BiSHらしさとは何か"という核心に近づくことができる作品なのかなと感じたんです。"どっちがBiSH"ではなく、"どっちもBiSH"というのも少し違って、同じ人でもきれいな面もあれば汚い部分もある、"人間の二面性"、"人間らしさ"こそが"BiSHらしさ"みたいな。

チッチ:私もまさにそう思っていました。生々しい感じがBiSHだと思うし、このアルバムは、アルバムだけど人間みたいなものだなって。聴いた人それぞれがいろんな感情になって、最後の14曲目に辿り着くので、今言ってくださったのは合っていると思います。

-"BiSHらしさ"で言うと、モモコさんはどう考えています?

モモコ:BiSHを見ている人だけでなく、メンバーによっても"これがBiSHだ"っていう全然別の世界が見えているだろうなって。私は初期から活動しているからかもしれないですけど、私から見たらどちらかと言うと激しい方、汚い方がBiSHですね。そっちの方がしっくりくるし、やっていても面白いなって思います。"死にたい"、"消えたい"とか、なかなか言えないことを平気で言って、人前で中指を立てるなんて誰にでもできるわけではない気がするので。だから、その部分は消さないまま明るい曲とかもたくさんやっていきたいなと思っています。

-メンバーによっても違うんですね。

モモコ:最近、フェスとか対バンとかでメンバーがセトリを作ることがよくあるんですけど、メンバーによって全然セトリが違うんですよ。そういうところで"あ、この子はこういうBiSHを見せたいんだ"、"メンバーによってBiSHの見え方が違うんだ"って。そこが面白いなって思いました。

-たしかに面白いですね。では、ここからは収録曲について聞いていきます。リード曲「DiSTANCE」はイントロから名曲感が漂っていますよね。BiSHの新たな代表曲になる力を秘めているような気もしました。

チッチ:壮大でめっちゃカッコいいっていうのが素直な感想で。「DiSTANCE」は、松隈さんの気合がかなり入っていて、「プロミスザスター」(2017年3月リリースのメジャー2ndシングル表題曲)とか「オーケストラ」(2016年10月リリースのメジャー1stアルバム『KiLLER BiSH』収録曲)とか「My landscape」(2017年11月リリースのメジャー2ndアルバム『THE GUERRiLLA BiSH』収録曲)に並ぶ名曲にしたいと言って作ってくださっていたので、BiSHとしても気合が入っている曲です。

-これはラヴ・ソングと解釈していいんですかね?

チッチ:それぞれ捉え方が違うと思うんですけど、私もラヴ・ソングかと思っていました。誰か対象がいて、その人に対して歌ってるのかなって。BiSHって、曲にどういう意図があるんですかってまったく聞かないんですよ。ひとりひとりが解釈して歌を歌う感じなんです。真正面から誰かに対して歌っているイメージもあるし、BiSHからしたら、BiSHを見てくれている大多数の人に対して"君"って言っているイメージもあるかなって。

モモコ:私は、終わりに向かっている歌だなって思いました。何かが終わる、そこに向かって歌っているイメージがあります。でも、ラヴ・ソングって言われてみれば、たしかにそうも聴こえるなって。

チッチ:世界が終わる瞬間とかに合うかも。

モモコ:うん、世界の終わりっぽい。遠いところを目指して、終わりに向かっている感じ。前を向いて突き進んでいくのとは違って、ふらつきながら、幻想の中をさまよいながら前に進んでいる感じがすると思いました。

アツコ:男女の歌だなとは思っていたんですけど、恋愛の曲というよりも"憧れの人"っていう感じなのかなって。話をしたいけど時間が来ちゃったからもう話せない、みたいな。我々も自分の中の正解しか見いだせていないので、正解がないっていうのが面白いなと。

-この人数だけでもこれだけ解釈が分かれるっていうのは興味深いですね。そんな名曲感溢れる「DiSTANCE」から『STiCKS』のリード曲「遂に死」への振れ幅が、まさに飴と鞭という感じで。

モモコ:この曲はライヴでやる曲だなって思いました。普段生活をしていて、イヤホンでこれを聴くときってどういう感情なんだろうっていうのがよくわからなくて(笑)。歌詞もよくわからないし(笑)。でもライヴでやるとすごくお客さんが盛り上がってくれるので、ライヴ曲だなっていう印象があります。MVはMVとして楽しめる内容になっていて、ライヴとMVが全然違う印象なのが面白いですよね。