Japanese
PEDRO
Writer 宮﨑 大樹
振り返ってみれば、PEDROの始動もゲリラ的なものだった。2018年9月19日、ミニ・アルバム『zoozoosea』を無告知でリリースしてPEDROは始動。ベース初心者がわずか3年で日本武道館単独公演を成功させるという、まるで映画のようなバンドのサクセス・ストーリーを歩み、アユニ・D自身も人間的、アーティスト的に目覚ましい成長を遂げていく。だからこそ、このプロジェクトは、次はどんな作品を生み出してくれるんだろう、次はどんな景色を見せてくれるんだろうと、常に"その次"に期待を抱かせてくれたのだ。そうしてBiSHからのファンはもちろん、PEDROから入ったリスナーも、その熱狂の流れに身を投じ続けていたように思える。
そんななか9月7日の"SENTIMENTAL POOLSIDE TOUR"東京公演で突如発表された無期限活動休止。"なぜこのタイミングで?"と感じる人も多かったのではないだろうか。実際、この日の東京公演を含め、PEDROは音源を出すたび、ツアーを回るたびにバンドとしての純度を高め、"バンド・プロジェクト"から純然たるロック・バンドそのものに変わっていたのだから、"活動休止がもったいない"という言葉に尽きる。しかも活動休止の発表後には、アユニ・Dが昨年末から名前を伏せて"歌ってみた"動画をアップしてきた歌い手プロジェクト"青虫"のデビューEP『103号』のリリースも発表。新たな表現を身に付けた彼女が、それをどうPEDROに還元していくのか期待せずにはいられないところなのに......。
そんなPEDROは、青虫『103号』のリリースと同日に1stフル・アルバム『THUMB SUCKER』および2ndフル・アルバム『浪漫』のアナログLPをリリースした――のだが、このプロジェクトは再び得意のサプライズを仕掛けてきた。同作のフラゲ日に行った、3rdアルバムのアナログ盤の300枚限定ゲリラ・リリースである。一瞬でCDショップから姿を消したであろう本作の名は"後日改めて伺います"。そのタイトルだけでも、込み上げるものがある。
このアルバムは、全曲でアユニ・Dが作詞作曲を手掛けた。彼女は以前、1stミニ・アルバム『zoozoosea』についての取材(※2018年10月号掲載)で"松隈さんや渡辺さんから冗談で「次は全曲アユニが作曲しないとな」って言われました(笑)"と話していたことがある。それを思うと、3年前には冗談でしかなかったことが現実になったわけだ。
作風としては2ndフル・アルバム『浪漫』、2ndシングル『東京』と、PEDROが近作で鳴らしてきた温度感のあるロック・サウンド、背伸びをしない自然体のアユニ・Dが感じられる歌詞で綴られた曲が基本軸になっている。ここまでのPEDROの活動で築き上げてきたバンドのグルーヴ感が音源にも反映されていることが感慨深い作品でもある。
1曲目は「人」。その曲名と歌い出しの"怒らせたり許してみたり/お互い様で生きている"という歌詞からわかる通り、人との繋がりをテーマに、生きる意志を歌った1曲だ。始動時には内向的な歌詞を書いていた、アユニ・Dというひとりの"人"の成長ストーリーでもあったPEDROの最新作の始まりとして相応しい1曲だと言える。続いて、ミドル・テンポに乗せる田渕ひさ子の歪んだギターが心地いい「魔法」は、吐息混じりにメロディを紡ぎ上げる歌唱が聴きどころ。ここに来て歌姫的な才を感じさせる表現力と声質で"あなたは死なないわ/不安にならないで/私が魔法で守るもの"と、ヒロインのような物言いで歌う聴感は堪らないものがある。3曲目はミュージック・ビデオが公開されている「吸って、吐いて」。"歪んだギターに酔っていたい/ずっと気持ちよく息していたい/あんまり目立つのは嫌だけど/でも言いたいこと言っていたいね"――PEDROのアユニ・Dとしてのありのまま、等身大の想いを歌ったように思えるこの曲は、感情の昂りに呼応するように変化していくサビのメロディが心を掴む良曲だ。ここから、オルタナティヴ・ロック色が強めで、NUMBER GIRLが思い浮かぶギターの味つけやベース・ラインに高まる「ぶきっちょ」を経て、荒々しく、吐き捨てるように歌う「死ぬ時も笑ってたいのよ」の流れが、アナログ・レコードで言うところのA面を完結させるところが面白い。
アルバム折り返し(B面)は、陽だまりを思わせる温かな音世界が包み込む「安眠」から始まり、一転してアルバム内でも最もリリックが攻撃的な「いっそ僕の知らない世界の道端でのたれ死んでください」に繋がれる。弱い自分を曝け出し、"嫌いなあいつ"へ毒を吐く。なんだかデビュー作『zoozoosea』のころのアユニ・Dを思い起こさせて懐かしい気持ちにもなるが、音の面はもちろんPEDROの最新モード。あくまで筆者個人の感覚だが、本作の中でもとりわけメロディが良く、それを歌うアユニ・Dの裏声も聴きどころだ。疾走感があり衝動的な3ピース・サウンドを響かせる「万々歳」、跳ねるようなリフと推進力のあるドラムで自然と身体が縦にノる「おバカね」。そして、アルバムを締めくくるのが「雪の街」だ。イントロから雪景色が浮かぶこの曲は、故郷 北海道札幌市と、そこにいる大切な人たちを想いながら書いたのだろう。聴いているだけで自然と涙がこぼれそうになる歌唱と、余韻が残る長めのアウトロ。"よくぞこれだけの曲を作ってくれた"と感謝したい。きっと名曲として長く語り継がれていく曲になるだろう。
『後日改めて伺います』に収録された全10曲。その真意は定かではないが、アユニ・Dはこのアルバムを制作するにあたり、これまでの人生、PEDROの活動と作品を、一度立ち止まって、見つめ直していったのではないだろうか。故郷や、PEDROの楽曲、PEDROチームとファン――これらすべてへの想いと祈りが詰まったアルバムだからこそ、活動休止前の集大成と言える作品に仕上がったように思えてならない。
活動休止前ラスト・ライヴ"横浜アリーナ単独公演「さすらひ」"を終えて、PEDROは"さすらい"の旅に出る。活動再開については明らかになっていないが、"後日改めて伺います"と名付けられたこの作品には、3人の意志が宿っているはずだ。
このアルバムを聴きながら、"その次"を期待して再会の日を待とう。"改めて伺いました"なんて言いながら照れくさそうに笑う3人の姿をライヴハウスで観たい。
▼リリース情報
PEDRO
3rdアルバム
『後日改めて伺います』
2021.11.17 ON SALE
【初回盤】(AL+Blu-ray+2LIVE CD+PHOTOBOOK)
UPCH-29414/¥11,000(税込)
amazon
TOWER RECORDS
HMV
※BOX仕様
【映像付通常盤】(AL+DVD)
UPCH-20597/¥6,600(税込)
amazon
TOWER RECORDS
HMV
【通常盤】(CD)
UPCH-20598/¥3,300(税込)
amazon
TOWER RECORDS
HMV
[CD] ※共通
1. 人
2. 魔法
3. 吸って、吐いて
4. ぶきっちょ
5. 死ぬ時も笑ってたいのよ
6. 安眠
7. いっそ僕の知らない世界の道端でのたれ死んでください
8. 万々歳
9. おバカね
10. 雪の街
[2LIVE CD] ※初回盤のみ
2021.09.07
SENTIMENTAL POOLSIDE TOUR
Zepp DiverCity
[Blu-ray / DVD] ※初回盤、映像付通常盤
2021.09.07
SENTIMENTAL POOLSIDE TOUR
Zepp DiverCity
東京
愛してるベイベー
猫背矯正中
Dickins
GALILEO
無問題
日常
おちこぼれブルース
EDGE OF NINETEEN
SKYFISH GIRL
pistol in my hand
乾杯
夏
浪漫
空っぽ人間
生活革命
自律神経出張中
感傷謳歌
-ENCORE-
うた
NIGHT NIGHT
side A配信中

side B配信中
100円シングル
『後日改めて伺います』
NOW ON SALE
PRON-5095/¥110(税込)
TOWER RECORDS
1. side A
2. side B
初回生産限定商品、TOWER RECORDS限定
※一部取り扱いのない店舗もございます
3rdアルバム アナログ盤
『後日改めて伺います』
NOW ON SALE
PRON-7005/¥11,000(税込)
TOWER RECORDS
※歌詞カード、ダウンロード・コード付、300枚限定、TOWER RECORDS限定
※一部取り扱いのない店舗もございます
[Side A]
1. 人
2. 魔法
3. 吸って、吐いて
4. ぶきっちょ
5. 死ぬ時も笑ってたいのよ
[Side B]
1. 安眠
2. いっそ僕の知らない世界の道端でのたれ死んでください
3. 万々歳
4. おバカね
5. 雪の街
12インチ・アナログ
『THUMB SUCKER』
NOW ON SALE
PRON-7003/¥4,400(税込)
TOWER RECORDS
TOWER RECORDS専売、数量限定初回生産限定盤
[side A]
1. 猫背矯正中
2. Dickins
3. STUPID HERO
4. NIGHT NIGHT
5. SKYFISH GIRL
6. EDGE OF NINETEEN
7. ボケナス青春
[side B]
1. おちこぼれブルース
2. NOSTALGIC NOSTRADAMUS
3. ironic baby
4. 玄関物語
5. アナタワールド
6. ラブというソング
12インチ・アナログ
『浪漫』
NOW ON SALE
PRON-7004/¥4,400(税込)
TOWER RECORDS
TOWER RECORDS専売、数量限定初回生産限定盤
[side A]
1. 来ないでワールドエンド
2. pistol in my hand
3. 浪漫
4. 後ろ指さす奴に中指立てる
5. 空っぽ人間
6. さよならだけが人生だ
[side B]
1. 乾杯
2. 愛してるベイベー
3. WORLD IS PAIN
4. 感傷謳歌
5. へなちょこ
- 1
LIVE INFO
- 2025.09.03
-
YOASOBI
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- 2025.09.04
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マカロニえんぴつ
DIRTY LOOPS
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Broken my toybox
"WANIMA presents 1CHANCE FESTIVAL 2025"
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豆柴の大群
TGMX(FRONTIER BACKYARD) / 荒井岳史 / 渡邊 忍 ほか
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"TREASURE05X 2025"
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りぶ
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- 2025.09.08
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9mm Parabellum Bullet
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flumpool / 三浦大知 / コブクロ / C&K
ガガガSP / GOING UNDER GROUND / 日食なつこ / LOVE PSYCHEDELICO ほか
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打首獄門同好会 / GLIM SPANKY / yama / bokula. ほか
KING BROTHERS
"ナガノアニエラフェスタ2025"
センチミリメンタル
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ぼっちぼろまる
SIRUP
Maica_n
"ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2025"
"New Acoustic Camp 2025"
Mirror,Mirror
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Bye-Bye-Handの方程式
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GRAPEVINE
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緑黄色社会 / 04 Limited Sazabys / キュウソネコカミ / Hump Back ほか
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THE SMASHING PUMPKINS
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アーバンギャルド
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THE CHARM PARK
THE BOHEMIANS × the myeahns
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コレサワ
Laughing Hick / アンと私 / つきみ
"LIVEHOLIC 10th Anniversary series〜NEWIMAGE〜"
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- 2025.09.05
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- 2025.09.09
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