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LIVE REPORT

Japanese

EMPiRE

Skream! マガジン 2022年07月号掲載

2022.06.02 @LINE CUBE SHIBUYA

Reported by 宮﨑 大樹 Photo by sotobayashi kenta

怒濤の展開とはこういうことを言うのだろう。だが、ひとつだけ言える確かなことは、この6人とエージェント(※ファンの総称)の絆はそう簡単には揺るがないということだ。

事の始まりは5月30日。EMPiREが4月から回っていた全国ツアー"EMPiRE DOPE MAGiC TOUR"最終日の3日前のことだ。この日EMPiREは、同ツアー・ファイナルをもって、グループの解散を突如発表。その報せは瞬く間にネットの海へ広がり、悲しみに暮れる人、現実として受け入れることができない人、様々な考察をする人で溢れた。解散に至った理由、メンバーの今後については明かされないまま敢行した、この解散ライヴについて記す。

冒頭で2017年にスタートしたEMPiREの誕生からこれまでを振り返るヒストリー・ムービーが放映される。 "EMPiRE LAST LiVE"の文字が映し出されると、いよいよ"解散"という言葉に実感が出てきて心拍数が上昇した。そうしてステージの幕が下りぬまま、1曲目が始まった――いや、始まって"しまった"と表現するほうがそのときの感情に近かったかもしれない。EMPiREにとって初のMV曲である「アカルイミライ」。そのパフォーマンスを白幕越しにシルエットで見せていくと、幕1枚を隔てていても、歌とダンスから伝わってくるものがある。曲中に幕が下ろされ、白を基調とした衣装を身に纏ったメンバーの姿が目の前に現れた。続いてEMPiRE初楽曲の「EMPiRE is COMiNG」へ。今日は1曲を終えるごとに、割れんばかりの拍手が起きる。それもそうだろう。今披露している一曲一曲は、ライヴで観るのが最後になるかもしれないのだから。

"最後までEMPiREらしく届けます!"MiDORiKO EMPiREが強い意志を感じさせる言葉を投げ、「Buttocks beat! beat!」で颯爽と駆け抜けてから「SUCCESS STORY」へと繋げていく。この曲はNOW EMPiREが新メンバーとして加入後の初作品だったな、MVはたしかハンガリーで撮ったんだっけ――ライヴで次々と曲を披露していくなかで、各楽曲へのエピソード、思い出と言い換えてもいいだろう、そういうものが自然と浮かび上がってきた。その場にいたエージェントも、生配信で視聴していたエージェントも、きっとそれぞれの思い入れのある曲で、同じように回想をしていたんじゃないだろうか。

今度は「RiGHT NOW」で燃え上がるようなパフォーマンスを届けたが、「SUPER FEELiNG GOOD」では一転してスーパー・クールなEMPiREに変貌。MiKiNA EMPiREは中性的で魅力のある歌声、YU-Ki EMPiREはセクシー・ヴォイスで魅了した。6人が一曲一曲を愛おしそうに、丁寧に歌っていることが印象的だ。自由に踊れる独自の現場を作り上げてきた彼女たちが、その存在を観る者の記憶に刻み、世界に遺す。本人たちがそんなふうに考えていたかどうかはわからないけれど、意識的なのか無意識的なのか、何か想いのようなものを感じさせてくれた。そんな彼女たちのパフォーマンスを受け入れる人の中には、ネガティヴな気持ちが残っていた人もいたかもしれない。そんなエージェントへ向けてメッセージを贈るように、「WE ARE THE WORLD」では"安心していいよ 飛び込んできて"と、YU-Ki EMPiRE、NOW EMPiRE、MAHO EMPiREがそれぞれのパートで想いを届ける。このときの6人の表情は、遠くからでもわかるくらいのきれいな笑顔だった。

「Black to the dreamlight」、「ねぇ」、「RiNG to the BRiGHT FUTURE」と続けてから、よりダンサブルなパートへ突入。MAYU EMPiREが"渋谷全員飛べ!"とブチアゲた「FOR EXAMPLE??」、「This is EMPiRE SOUNDS」でLINE CUBE SHIBUYAは熱を帯び、畳み掛けるように披露した「Have it my way」ではステージとフロアが一体となって踊り狂う。これまでに独自の踊れる現場を築き上げてきたEMPiRE楽曲の中でも、とりわけ自由に踊れるこの曲で、満員のLINE CUBE SHIBUYAの熱気は最高潮へ到達。その光景は、この日のハイライトのひとつになった。さらにSeihoプロデュースによるダンス・チューン「IZA!!」を経て、「S.O.S」では爽やかなバンド・サウンドを鳴らし空気を一変させると、「EMPiRE originals」へ。この曲で魅せたMAYU EMPiREのすべてを出し切るようなロング・トーンは、解散ライヴの終わりが近づいていることを暗示していたように思う。

ここからのラスト・スパートは本当にあっという間だった。「ピアス」、「ORDiNARY」、「A journey」、最後はMAYU EMPiRE が"今日まで一緒に歩いてきてくれて本当にありがとう"と感謝を伝えて「I have a chance!!」で本編を締めくくる。これで最後だというのに、むしろだからこそ"I have a chance!! ねぇ大丈夫だよ"と歌うその言葉が響いた。そうしてEMPiREは、MCを一切挟まずノンストップで突き進んでいく全20曲のセットリストを完走。EMPiREとして走り切った6人はとびっきりの笑顔を見せ、エージェントはひときわ大きな拍手で6人を包んで幕を閉じる。

アンコールの手拍子に応えて再びステージに立った6人は、ひとりずつ言葉を贈った。

"EMPiREとして過ごした時間は、私にとってすごくすごく大切で愛しい時間でした。エージェントと一緒に作ったこの帝国は、間違いなく世界一温かくて幸せでいっぱいの場所でした。いつも一番の味方でいてくれてありがとう。これからも大好きです"(YU-Ki EMPiRE)

"私の感情を一番動かしてくれたのはエージェントだったし、その感情を一番に届けたいって思ったのもエージェントでした。今までEMPiREと私の一番でいてくれて本当にありがとう。これからもずっと大好きです"(MAYU EMPiRE)

"今日こうしてみんなの顔を見ていると、EMPiREは私たちだけじゃなくて、みんなで進んできたんだなって改めて感じます。だからこそ、今日までEMPiREに誇りを持ってMiDORiKO EMPiREとして居続けることができました。EMPiREを一緒に大事にしてくれてありがとう"(MiDORiKO EMPiRE)

"私はEMPiREのライヴが大好き。こうやってエージェントと過ごす時間が何よりだって今日もそう思いました。初めてライヴしたときから今日まで、こうやって最後までそう思えたのは今ここにいるみんなのおかげです。私はこの気持ちをずっと大切にしていきます。本当に本当にありがとう"(MAHO EMPiRE)

"私、いつも気づいたらみんなのことを考えているんですよ。みんなからもそういうふうな気持ちを感じる瞬間が本当にたくさんあって。もともと知らない人同士なのに、不思議だなって何回も思っていました。でもその関係が何より愛しくて幸せでした。本当にありがとうございました"(MiKiNA EMPiRE)

"エージェントは私の元気の源で、これからもずっと変わらないです。たくさんの時間、いろんな景色や気持ちをずっと分かち合ってくれた人がいたこと、今もこうして目の前にいてくれていること、それがエージェントだったことがすごく幸せでした。ありがとう"(NOW EMPiRE)

そうして、正真正銘最後の1曲、「MAD LOVE」をパフォーマンス。エージェントへの感謝と愛、たくさんの感情を詰め込んで届け切ったのだった。

拍手に包まれるなか、所属事務所 WACK代表の渡辺淳之介が突如登場。"解散おめでとうございます!"とEMPiREに声を掛けて会場が静まり返るが、続けて"今日でEMPiREは解散するんですけど、ここに立っている6人で新グループを結成します。ExWHYZ(読み:イクスワイズ)、やります!"とまさかの電撃発表! さらに7月から"元EMPiREなりのラストツアー"を開催することも発表されると、フロアは一斉にざわつきだし、中にはお互いにハグするエージェントもいた。かくして、突然の解散発表は、安堵をもって締めくくられたのである。

本公演でも披露された、EMPiREの最新曲「ねぇ」で、歌うというよりは語り掛けるように伝えられた"まだ終わらない/次回予告を君と描こう"という言葉に、偽りはなかったようだ。

なお、今回発表された新グループの名称"ExWHYZ"については、カクテルの"X・Y・Z"に由来していることが後日明かされている。"X・Y・Z"は、アルファベットの最後の3文字であることから"最後"を意味する。グループとしてはこれが最後の活動だという、覚悟を感じさせるネーミングだ。その一方で"X・Y・Z"には、"これ以上のものはない究極のカクテル"という意味も込められている。だったらExWHYZには"これ以上のものはない究極のグループ"になってほしい。

ただ、この日EMPiREとしての完結を迎えたのも事実だし、それはやはり寂しいことだ。だがしかし、物事は"何をやるのか"も重要だけど、"誰がどんな想いでやるのか"、大切なことはそっちのほうだと思う。とはいえ、本稿はあえて愛を込めた文句を言って結びたい。心配かけさせやがって!


[Setlist]
1. アカルイミライ
2. EMPiRE is COMiNG
3. Buttocks beat! beat!
4. SUCCESS STORY
5. RiGHT NOW
6. SUPER FEELiNG GOOD
7. WE ARE THE WORLD
8. Black to the dreamlight
9. ねぇ
10. RiNG to the BRiGHT FUTURE
11. FOR EXAMPLE??
12. This is EMPiRE SOUNDS
13. Have it my way
14. IZA!!
15. S.O.S
16. EMPiRE originals
17. ピアス
18. ORDiNARY
19. A journey
20. I have a chance!!
En. MAD LOVE

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