Japanese
EMPiRE
Skream! マガジン 2021年02月号掲載
2021.01.04 @東京国際フォーラム ホールA
Writer Reported by 宮﨑 大樹 Photo by sotobayashi kenta
ステージ上ではクール、スタイリッシュといった印象の強い彼女たちが、自らの限界を突破し、殻を破って音楽を届ける姿を見せてくれたのだから、あの日の東京国際フォーラムで魂を揺さぶられなかった観客は、誰ひとりとしていなかったんじゃないかと思う。
EMPiREが約1年ぶりに東京で開催した有観客ワンマン・ライヴ"EMPiRE BREAKS THROUGH the LiMiT LiVE"は、軽快なギター・リフが印象的な「S.O.S」で開幕。ステージに現れたのはもちろんEMPiREの6人――と思いきや、誰かが宙に浮いている! 白いローブのような衣装に身を包み、クリオネの如く、ふわふわとステージ上を漂っているのは、どうやらNOWのようだった。他誌で"2021年ネクストブレイク美女"(2021年ネクストブレイク美女を探せ!)の候補にも挙げられ、上昇気流に乗っている彼女を象徴するような演出だ。筆者自身、久しぶりにEMPiREの有観客ライヴを観るにあたってどことなく気を張っていた部分があったようにも思うが、予想外すぎるこの開幕で、自然と頬が緩むのを感じる。6人も最高の笑顔でエージェント(※ファンの総称)を出迎えた。
ローブを脱いだ6人は「SUCCESS STORY」を投下。レーザーがバッチバチに照射される、EMPiREらしいド派手なステージングの中、エージェントと共に腕を振り回して一体感を生んでいく。ここから「SELFiSH PEOPLE」につなげるあたり、序盤から攻めっ気満々のセットリストだ。
この次に披露した「コノ世界ノ片隅デ」で、シンガロング・パートを高らかに歌い上げている彼女たちを観ていると、"大きいステージが似合うようになったなぁ"と感慨深くなる。以前YU-Kiが"EMPiREとして立ちたい"と語っていた、さいたまスーパーアリーナだって、そう遠くないんじゃないか? というか、早く観たい。
MiDORiKOが強気な歌唱で引っ張っていった「NEW WORLD」を経て披露されたのは、聴かせる1曲「maybe blue」。MAYUが憂いを含んだ表情と声色で魅せれば、MAHOが少しハスキーなその声質で心をぐっと掴む。YU-Kiは芯の強い歌唱だし、MiKiNAは、歌声までもがイケメンだった。ひとりひとりの個性がグングン伸びてきているように感じさせたEMPiREは、「I don't cry anymore」では温度感のある歌声を届けていく。ロック・サウンドやダンス・ミュージックでアゲる曲も、じっくりと聴かせる曲も、どちらも最高だ。
今夜のライヴはノーMCで、次々と曲を披露。「WE ARE THE WORLD」や「FOR EXAMPLE??」といったEDM調の四つ打ちサウンドでは、エージェントが曲に合わせて飛び跳ねて、東京国際フォーラムを文字通りに揺らした。そんななかで、MiDORiKOが"全員かかってこいやぁぁぁあ!!"と切り裂くような叫び声で口火を切った「SO i YA」は、この日の山場のひとつと言えるだろう。コロナ禍で観客が発声できない状況においても、EMPiREとエージェントのエネルギーのぶつけ合いが、確かにそこで起きていた。
和テイストなサウンドに合わせて上がる、大輪の花火をバックに歌った「きっと君と」から、ギアを上げて攻め立てた「Have it my way」、「RiGHT NOW」、「SUPER FEELiNG GOOD」の流れも素晴らしかったし、紗幕を用いて幻想的な雨模様を演出した「ORDiNARY」の美しさも大きな見どころで、何度もクライマックスがやってくるかのようなライヴを魅せたEMPiRE。本編のラスト・スパートでは、"ありがとう!"と感謝を伝えながら歌った「I have a chance!!」から「アカルイミライ」を届け、"ラスト、全員で行くよ!"(MiKiNA)の煽りから「MAD LOVE」へ。MCを挟まずに、彼女たちの持ち曲全37曲をパフォーマンスするという、まさに限界を突破しないと成し遂げられないような試練の達成を目前にして、喜びや達成感で感極まって涙ぐむメンバーもいたようだ。曲中に全員で肩を組んだ画には心底グッと来た。
アンコールに応えて登場した彼女たちは、ひとりひとりエージェントに向けて想いを届けた。その言葉は、エージェントへの感謝や愛情、完走した達成感、未来への想いで溢れていたように思う(どれだけ過酷なライヴだったのかは、過呼吸気味のMiKiNAから痛いほどに伝わってきた)。
ここでサプライズ披露したのはMAHO作詞による新曲「ERROR」。さらなる新境地、ネクスト・ステージへの到達を感じさせるクールで重厚なサウンドに乗せて、WACK所属アーティストにとっては特別な意味を持つ"行かなくちゃ"と歌った。エージェントもそれに気づいたのかもしれない。パフォーマンス後には、大きな大きな拍手が会場を埋め尽くしていた。
こうして最後に届けたのは、この日2度目の「アカルイミライ」。2021年の始まりに、これからの"アカルイミライ"を照らし出して、約3時間に及ぶワンマン公演は終幕した。
こんなに素晴らしいステージを見せてくれたのに"すべてがエージェントのおかげ"と言わんばかりに、長い長い一礼をしたEMPiREの姿が、今でも脳裏に焼きついて離れない。
スタイリッシュでありながら感情を揺さぶり、個性も際立った彼女たち。コロナ禍が明けたときに、EMPiREはすごいことになる予感がする。今年も、6人の無敵感は健在だ。
[Setlist]
1. S.O.S
2. SUCCESS STORY
3. SELFiSH PEOPLE
4. コノ世界ノ片隅デ
5. NEW WORLD
6. maybe blue
7. I don't cry anymore
8. I have to go
9. Talk about
10. TOKYO MOONLiGHT
11. Buttocks beat! beat!
12. WE ARE THE WORLD
13. ERASER HEAD14. LiTTLE BOY
15. Black to the dreamlight
16. FOR EXAMPLE??
17. NEVER ENDiNG
18. SO i YA
19. Clumsy
20. きっと君と
21. Have it my way
22. RiGHT NOW
23. SUPER FEELiNG GOOD
24. A journey
25. ORDiNARY
26. This is EMPiRE SOUNDS27. EMPiRE is COMiNG
28. デッドバディ
29. Can you hear me?
30. 曲がりくねった道の
31. Don't tell me why
32. EMPiRE originals
33. ピアス
34. Dope
35. I have a chance!!
36. アカルイミライ
37. MAD LOVE
En1. ERROR
En2. アカルイミライ
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