Japanese
ExWHYZ
Skream! マガジン 2023年06月号掲載
2023.05.13 @日本武道館
Writer : 宮﨑 大樹 Photographer:sotobayashi kenta
"EMPiREを解散したこと、そしてExWHYZを結成したことは正解だったのか?"
そんな疑問に対する答えを、彼女たちは日本武道館という重みのある場所で提示したように思える。公演名は"the FIRST STEP"。再スタートから1年弱が経過しているなかで掲げる"第一歩"という言葉からは、並々ならぬ決意を感じさせた。
会場が暗転し「xANADU」が流れると、四つ打ちのビートに合わせて3面の巨大ヴィジョンにVJ映像が映し出される。さながら"ライヴハウス武道館"ならぬ"クラブ武道館"とでも言うべき装いだ。集まったマスター(※ExWHYZファン)からの大歓声に迎えられた6人は、「xANADU」からシームレスに繋げられた「BLAZE」でパフォーマンスを開始。火柱が噴き上がるド派手な演出の施されたステージ上に立つ6人の姿は、どことなくいつもより大きく見える。日本武道館は大きいけれど、ExWHYZにとって大きすぎるということはない。それはきっと、この日に至るまでのツアーや先輩グループ BiSHとのツーマン・ライヴを通して成長を遂げてきた彼女たちが、日本武道館に相応しい存在になったからだろう。midorikoが繰り出す挨拶代わりのシャウトも痛快だった。続く「Des Speeching」ではレーザーが駆け巡り、ExWHYZがいかに大きな会場やバチバチの演出と相性がいいかを再認識させた。
割れんばかりの歓声と拍手に包まれながら自己紹介をすると、メンバーがひとりずつ名乗るたびにさらに大きく声が上がる。"次の曲は、みんなと今日というこの日を迎えることを想像しながら歌詞や振付を作りました。この武道館でこの曲をこうして目の前にいるみんなに届けられること、歌えることがすごく嬉しいです。ExWHYZからのありがとう、受け取ってください"。nowがマスターへ語り掛けてから、本公演のタイトルにもなっている「FIRST STEP」へ。"もう怖くない All along/君がいてくれるなら/困難も上等だと 笑えちゃう"と、日本武道館に向かうExWHYZからマスターへの想いを高らかに歌う。6人の心がその歌声に乗っているのがハッキリと伝わってきて、思わず目頭が熱くなった。
花道を通ってセンター・ステージに移動すると、yu-kiが"一緒に最高の1日にしようぜ!"と声を発して「You & Me」をパフォーマンス。まっすぐな言葉で綴られた"あなたとわたし"の歌ということもあって、全員が本当に自然でいい表情をしているのが印象的で、mayuがロング・トーンを響かせてからnowの"君のせいー!"に繋げる見せ場では大きな盛り上がりを見せた。ほぼ360°からハンドクラップを浴びて「SUPeR SIMPLe」を披露し、再びメイン・ステージに戻って「Higher」、「Shall We」と続けていく。ミラーボールから反射した光が舞うなかで、ExWHYZ楽曲の中でもとりわけライヴ中に一体感を感じられる1曲で、6人とマスターはひとつになっていった。
新たにプリイントロが追加された「Wanna Dance」が流れ出すと、いつの間にかジャケットを脱いでスポーティな出で立ちになっているメンバーによるダンス・パートから、楽曲のパフォーマンスに突入。会場が大いに沸き立つなか、クールでスタイリッシュな楽曲の世界観を表現してみせる。そんな「Wanna Dance」とは対照的に、人肌のような温度感のある「Walk this way」を披露してからドラムンベースの「メトロノーム」で加速していき、「DIVE」、「Universe」と中盤戦を駆け抜けていった。
mayuが"武道館最高ですね! この調子でもっともっと楽しんでいきましょう!"と煽ると「xYZ」のイントロが流れ始め、さらに彼女はこう続ける。"武道館、今日は来てくれてありがとうございます。みんな最高だけど、みんなと私たちだったらもっともっといけると思うんですよ! その調子でまだまだ踊ろうぜ、よろしく!"。そうやってクラップを求め、1stアルバム『xYZ』と同じ流れで「D.Y.D」へ。"D.Y.D"="Dance Your Dance"というメッセージは、彼女たちがEMPiRE時代からDNAとして受け継いでいて、ExWHYZになってからより大切に、明確にしてきたものだと筆者は感じている。アイドルにありがちな"楽しみ方の提示"をして楽しませるのではなく(もちろんそれはそれでひとつの正解ではあるけれど)、"自由に踊って楽しんでくれたらいいんだよ"とマスターに委ねる。それこそがExWHYZのライヴの魅力であり、彼女たちが作る桃源郷なのだ。
そんな「xYZ」から「D.Y.D」への流れを機に、"クラブ武道館"っぷりが120パーセントに振り切れていく。「ANSWER」では壁がぶっ壊れるのではないかという超重低音で、日本武道館を文字通りに揺らし、「Obsession」へと畳み掛けるあたりは無敵感が漂っていた。メンバーはある種のゾーンに入っていたようにも見えて、日本武道館ならでは、日の丸を背負う形でのmikinaの艶っぽい"見逃さないで"は神々しさすら感じたほどだ。そんなmikinaが"最後の最後、みんなで一緒に歌いたいんですけどいいですか?"と語り掛け、大合唱とともに本編最後を「STAY WITH Me」で締めくくる。日本武道館全体で飛び跳ねる様は実に爽快だった。
アンコールではEMPiRE楽曲「MAD LOVE」をサプライズ披露。mahoが"君が確かにくれた甘いもの"と歌い始めたときに上がった、マスターの驚き交じりのあの歓声、そしてお決まりだった"一生お前にMAD LOVE!!"のコールは、その場にいたすべての人にとって忘れられないものになったはずだ。いよいよグランド・フィナーレを目前に控えた6人から、マスターに向けて感謝と決意の言葉が贈られる。
"私はみんなとのライヴが大好きだなって思ったし、そう思えた今日のこの武道館での一歩が、きっとこの先のExWHYZの、そして私の原動力です。だからもっともっとこの先で、またみんなと楽しい時間を一緒に過ごしたいなって思いました"(maho)
"今日はみんなと一緒にExWHYZとして大きな一歩を歩き出せてすごく嬉しかったです。でもExWHYZはまだまだ何歩先も進んでいきたいと思っています。だからみんなまた逢おうね"(midoriko)
"ExWHYZはこれからもっともっと大きくなって、もっともっとみんなとたくさんの景色を見ていきたいなって改めて思いました。今日は本当にありがとう。そしてこれからもどうか一緒に"(now)
"こうやって目を合わせて、声を重ねて、気持ちが繋がって。ここにいてくれるみんなとだからこそ生まれる、温かくて幸せな気持ちを私は何よりも大事にしたいと思っています"(yu-ki)
"想像をはるかに超えて最高です! またこうやって会えたときに、今日一緒にいたっていう同じ記憶を共有できることが本当に嬉しいし、それをいつまでも重ねていきたいって思いました"(mikina)
"EMPiREからExWHYZになったことが良かったのか、悪かったのかというのは、きっと人によって違うと思うんだけど。でも私は今自分が感じているこの気持ちを信じて、これからもこの6人でExWHYZとして生まれ変わったことが正解だったと証明できるように、頑張っていきます。今日は本当にありがとうございました!"(mayu)
そうしてExWHYZは最後に「Everything」を届ける。
"EMPiREを解散したこと、そしてExWHYZを結成したことは正解だったのか?"
「Everything」を愛おしそうに、大切そうに歌う6人の姿と光る涙。そして、そんなメンバーに応えるように、マスターがスマホのライトで日本武道館を白く染めあげた光景。それこそが答えだったのではないだろうか。
[Setlist]
0. xANADU
1. BLAZE
2. Des Speeching
3. FIRST STEP
4. You & Me
5. SUPeR SIMPLe
6. Higher
7. Shall We
8. Wanna Dance
9. Walk this way10. メトロノーム
11. DIVE
12. Universe
13. xYZ
14. D.Y.D
15. ANSWER
16. Obsession
17. STAY WITH Me
En1. MAD LOVE(EMPiRE カバー)
En2. Everything
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