Japanese
ExWHYZ
Skream! マガジン 2023年05月号掲載
2023.04.01 @Zepp Haneda(TOKYO)
Writer : 宮﨑 大樹 Photographer:そってぃ
アユニ・D(BiSH/PEDRO)が新メンバー ayuniとしてExWHYZに加入する! まさかの電撃加入の発表とともに、渋谷エリアに"アユニ・Dはいただきました ExWHYZ"と大々的な広告が掲出。さらにayuniが参加した新曲「FIRST STEP」のミュージック・ビデオ(しかも全員チアリーダー姿!)が公開され、発表当日(2023年4月1日)のライヴで新体制のお披露目を行うという。"ExWHYZ TOUR 2023 xANADU"初日のZepp Haneda(TOKYO)公演だ。
アユニ・D加入の報だけでも一大事なのに、さらなるサプライズとして会場では7人でレコーディングした未発表のアルバム『xANADU』が来場者に無料配布された。ツアー・タイトルの"xANADU"は、2ndアルバムのタイトルだったのだ。ExWHYZチームによる狂気の沙汰(※褒め言葉)とも言える一連の流れで、白昼夢を見ているような気分になったマスター(※ExWHYZファン)も多かったのではないだろうか。しかしながら、それを話題性だけで終わらせずに、中身、クオリティが伴っているのもまたExWHYZでありExWHYZチームなのだ。筆者はそれをライヴの本編で再認識することとなった。
会場が暗転すると『xANADU』表題曲の四つ打ちのビートとともにメンバーがステージに姿を現す。人数は7人。本当にアユニ・Dもとい新メンバーのayuniがそこにいた。「xANADU」からシームレスに新曲「BLAZE」に繋がり、アルバム収録順通りの全曲披露が始まったのだが、まず驚かされたのがまるでayuniが当然のようにそこにいることだ。6人+1人ではなく、7人でパフォーマンスができている。BiSHの活動で多忙を極めるayuniが、慣れてはいないはずのダンス・ミュージックをExWHYZの一員として全身で表現している姿には感動を禁じ得ない。PEDROでも見せていた陰の努力家、負けず嫌いな一面がここでも光っている。歌唱面では、ayuniらしい鋭角な歌声が存在感を放っていた。そんなayuniと同じ時間を過ごしたことで、既存メンバーも多くの刺激を受けたのだろう。6人の表現にもひと回り深みが出てきたように感じる。7人で届ける「BLAZE」のスタイリッシュなダンス・サウンドと力強い歌唱で、アルバム『xANADU』全体への期待もググっと高まった場面だった。またこの「BLAZE」では、ExWHYZ になったことでもう聴くことはないかもしれないと思っていたmidorikoのシャウトのパートが設けられていることも嬉しいポイントだった。
yu-kiが"xANADUツアー、楽しむ準備できていますか?"と煽り、大沢伸一(MONDO GROSSO)プロデュースの「Des Speeching」へ。都会的で浮遊感のある音の質感と、Zeppを飛び交うカラフルなレーザーが幻想的な光景を生み出すと、続くSeihoプロデュースの「ANSWER」では攻めまくった超重低音のドロップが脳と身体を揺らした。
yu-ki、midoriko、mikina、mayu、maho、そしてnowの自己紹介に続いて、ayuniが"ayuniでぇ~す......"と照れ臭そうに挨拶。既存メンバーはこの練習期間中に持ち前の明るさでayuniと仲良くなったようで、彼女のことを"ayuniっち"と呼んでいるそう。そんなayuniっちが、"あたいという名のピースが埋まったからには、今日ここで特大花火ぶちかましたいと思います"と意気込みを語ると、ミュージック・ビデオが公開されたばかりであり、5月に控える日本武道館公演のタイトル("ExWHYZ LIVE at BUDOKAN the FIRST STEP")ともリンクする「FIRST STEP」を披露。こちらは、ダンス・ミュージックを大きな軸としてきた彼女たちがマスターの意表をつく、洋楽ライクで爽やかなロック・ナンバーで、今後のExWHYZのライヴでアンセムになってきそうな1曲だ。WACKらしく真似しやすい振付も取り入れつつ、アイドル要素強めの振付も織り込まれているあたりが新鮮。mahoが歌う落ちサビは、ロックな歌唱でバッチリはまっていた。
『xANADU』全曲披露、そこからは「SUPeR SIMPLe」で"一緒にシンプルに楽しんでいこう"とExWHYZからのメッセージを歌に乗せ、温かく肉体的なダンス・ソングに仕上げた「Walk this way」ではyu-kiがラップを決める。続けて、高BMPでヒリヒリするビートとメロディアスな歌唱が気持ちいいドラムンベース「メトロノーム」から、「DIVE」へ。没入感があり自然と身体を揺らしてしまうこの曲のアウトロでは、ayuniをセンターに据えたダンス・パートで魅了した。跳ねるようなピコピコの電子音と甘い歌唱でドリーミーな気分になれる「Darling」では、mayuが持ち前のまっすぐで伸びのある歌声を響かせると、『xANADU』全曲披露パートは、ExWHYZからマスターへの愛を歌う「Everything」で締めくくられた。
会場が大きな拍手で包まれるなか、2ndアルバム『xANADU』が4月19日にリリースされること、当日の21時に配信がスタートすることが明かされる。そして、"今この瞬間をもちましてayuniっちがExWHYZを脱退することになりました"と"大切なお知らせ"が......。会場中に"やめないでー!"の声が溢れるなか、ayuniが"正直しんどくてたまらなくて。この人たちとはやっぱ方向性が合わないというか、価値観の違いというか。あとLINEの返信の遅さとか、「今何してるの?」とか合わないので、脱退させていただきますわっ! ありがとうございました"と挨拶――というわけで、もうネタバレもすっかり済んでいるためご存知の読者も多いだろうが、今回のayuni加入はやりすぎなエイプリルフール企画だった。アユニはこの1日のためだけにレコーディングと振り入れをしたことになる。レーベルメイトであり事務所の後輩グループのために、ひと肌もふた肌も脱いでくれたayuniっちことアユニ・Dには賞賛の言葉を贈りたい!
アユニの脱退後は改めて6人でライヴを再開。ここからは1stアルバム『xYZ』収録曲を中心にパフォーマンスしていったこともあり、前半とはまた違う盛り上がり、違う熱量でフロアが加熱されていった。会場が一体になれる1曲「Shall We」から始まり、「Obsession」ではmikinaが会心の"見逃さないで"を放つと、本編最後はnowが「You & Me」で、自身の見せ場である"歩き出せるのは、君のせい"とマスターへ想いを届けた。
アンコールで登場したExWHYZを代表して、mikinaがマスターに語り掛ける。"今日は特別な企画だったんだけど、こうやってみんなで楽しめたらいいなということをいっぱい考えて、一緒にできたらいいなぁってすごく思うんですよ。アユニさんも超忙しいなかで協力していただいて、うちらと一緒に作ってくださって。もうアユニさん加入はないかもしれないけど、こういう楽しいことを一緒にやっていって、それを積み重ねていって、私たちだけの時間をいつまでも作っていきたいなってすごく思いました。また会おうよ"。そうして"みんなと私たちの曲です"と「STAY WITH Me」を最後の最後にパフォーマンス。温かく、キラキラした空間を生んで、特別すぎるツアー初日はフィナーレを迎えた。
発表された2ndアルバム『xANADU』。タイトルの"xANADU"="ザナドゥ"には多くの意味があるようだが、ここでの意味は"桃源郷"だろう。彼女たちにとっての大きな挑戦、日本武道館ワンマンまで約1ヶ月。この企画でアユニ・Dから吸収したこと、そしてこれからツアーを回るなかで得ていくこと――それらを得てさらに成長を遂げた彼女たちが、ExWHYZの音楽で約束の地を桃源郷にするその光景を共に見ようではないか。
[Setlist]
1. xANADU
2. BLAZE
3. Des Speeching
4. ANSWER
5. FIRST STEP
6. SUPeR SIMPLe
7. Walk this way
8. メトロノーム
9. DIVE10. Darling
11. Everything
12. Shall We
13. Higher
14. Secret Secret
15. Obsession
16. You & Me
En. STAY WITH Me
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