Japanese
ExWHYZ
Skream! マガジン 2023年02月号掲載
2023.01.12 @Zepp DiverCity(TOKYO)
Writer : 宮﨑 大樹 Photo by sotobayashi kenta
何をどこから書いたらいいだろう。そう思ってしまうくらいに、喜び、驚き、感動が詰め込まれた宝箱のようなライヴだった。"ExWHYZ First Tour xYZ"Zepp DiverCity(TOKYO)公演だ。
バックドロップには"EVERYTHING STARTS AT THE END/DANCE YOUR DANCE"の文字。EMPiREとしての活動を終了し、自由に踊ろうという意志はそのままに新たに歩き出す。そんなExWHYZとしての初ツアーのオープニング・アクトに登場したのは、このツアーの全公演に帯同してきた"元EMPiRE"。昨年から療養中のmidorikoの姿は今回も見ることはできなかったが、「FOR EXAMPLE??」、「IZA!!」、「Don't tell me why」とダンス・トラックを並べ、フロアを温めていく。彼女たちが"元EMPiRE"としてステージに立つ機会はあと何回あるのかわからないし、もしかしたらこれが最後になるのかもしれないと考えると、未だに寂しさを感じてしまう"元エージェント(※EMPiREファン)"もいたかもしれない。だが、ExWHYZへの期待はその何倍もあるのだろう。だからこそ、"元EMPiRE"からも"元エージェント"からもポジティヴなエネルギーが放たれていたように感じる。そんな"元EMPiRE"は、最後はExWHYZとしての自分たちにバトンを渡すように、疾走感のあるギター・ロックの「S.O.S」で駆け抜けた。
再び幕が開き、続いてExWHYZが登場するかと思いきや、ステージ上には白幕が下ろされていて、「あいしてる」のミュージック・ビデオがサプライズで投影される。mikinaの目元をアップにしたカットからひとりひとりのワンショットに切り替わっていき、2Aに差し掛かったところで場内がざわつきだした。先述の通り、療養中のはずのmidorikoの姿が映し出されたからだ。長い間体調を心配されていたmidorikoだったが、変わりない元気そうな姿を見せてくれた。こうなると、当然この先の展開を期待してしまうし、その期待を裏切らないのがExWHYZでありExWHYZチームである。白幕越しに立つメンバーの数が6だとわかった瞬間に、会場は大きくどよめいた。SEの「xYZ」が流れている時点で、すでにZeppは高揚感でいっぱいだ。「xYZ」から「D.Y.D」へ繋がれるタイミングで白幕が外され、久しぶりに6人で表舞台に立つ姿が見えた瞬間、midorikoを迎える大きな拍手が湧いた。ここまでのツアーは5人編成で、ファイナルは6人編成。5人から6人というのは単純な5+1ではない。奇数から偶数に変わることで、ダンスの見せ方も変わるだろうし、声のバリエーションが増えることで掛け算のように魅力が増しているのがわかる。「D.Y.D」にはライヴ用のアレンジが施され、無音のブレイクでmidorikoが"Dance"と声を発してからフィニッシュへ駆け抜けていく様はなんともクールで、スタイリッシュで、痛快だった。
続いて重低音のボリュームをググっと引き上げ、ライヴ・キラーチューンの「Obsession」へ。"Put your hands up!!"とyu-kiが煽ったかと思えば、mikinaは半拍遅らせて必殺の"見逃さないで"を放つ。照明、ダンス、歌唱のすべてが絡み合い、作り上げられていくダンス・フロアを前にして、気づけば筆者の筆を執る手も無意識にリズムを刻んでいる。関係者すらも自由に踊らせてしまう、求心力のようなものがそこにはあったと思う。mayuがメンバーに向けての想いを歌詞にした「Higher」のパフォーマンスを、ようやく6人で観ることができたのも感慨深かった。
アンコール明けのような長い拍手を経て、メンバーひとりひとりの自己紹介。トリのmidorikoが"ただいま! midorikoです"と挨拶すると再び大きな拍手が湧き起こり、メンバーからも"おかえりー!"と声を掛けて、温かい時間が流れた。そうして"せっかくのツアーだし、みんなに楽しんでほしいから、みんなで一緒に楽しむための曲を、アルバムに入ってないんだけど、今日はここに持ってきちゃいました!"(mikina)と未発表曲の「Shall We」を披露。本楽曲はガーリーでポップなハウス・チューンで、ExWHYZ楽曲にまた新たな彩りを加えたような印象だ。メンバーいわく本楽曲での"ガヤ組(yu-ki&mikina)"に新メンバーとしてmidorikoが参加したこともあって、フロアのマスター(※ExWHYZファン)たちも楽しそうに踊っていた姿が印象的だった。
「WEEKEND」での妖艶な歌唱、「4:00 a.m」でのアンニュイな声の表情(特にyu-kiとmikinaがハマっていた!)と、ExWHYZとしてツアーを回ることで、楽曲の進化だけでなく、ヴォーカリストとしての進化も見せたことも、このツアー・ファイナルでのポイントだろう。続く「You & Me」ではmayuがまっすぐで力強いロング・トーンで魅せ、nowがラスサビ前に"君のせいー!!"と会心の煽りを決めた。
"みんなとの出会いの中で、私は愛を持って愛を伝えていきたいと思うようになりました。だから今日はみんなに素直に届けたいと思います"――mahoの言葉と共に、彼女が作詞を手掛けた「あいしてる」から後半戦がスタート。ExWHYZはクオリティの高さを追求したダンス・ミュージックを主軸にしているのは明らかだが、美しい音像で包むバラードも雰囲気があっていい。mahoの美麗な歌声も特に相性が良く感じたし、MVでも見せていたmidorikoの落ちサビの繊細な歌唱にも胸を打たれた。そうしてExWHYZの始まりの曲「Wanna Dance」から、「Universe」と続け、"みんなと一緒に、この先いろんな景色をこの曲で観ていきたい"とmikinaが想いを語ってからクライマックスの「STAY WITH Me」へ。イントロにエモーショナルなプリイントロを加えたライヴ・アレンジから始まり、ハイクオリティなダンス・ミュージックのブロック、エモーショナルな歌唱のブロック、メンバーの素が垣間見えるようなかわいらしいブロックなどで構成され、ExWHYZの魅力をギュッと凝縮したような楽曲で本編を締めくくった。
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