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LIVE REPORT

Japanese

ExWHYZ

Skream! マガジン 2022年09月号掲載

2022.08.18 @Zepp Haneda(TOKYO)

Writer 宮﨑 大樹 Photo by そってぃ

今年2022年6月に突然の解散および新グループの再結成を発表した元EMPiREことExWHYZが、"最後にEMPiREのライヴを楽しんでもらえるように"と回ってきた全国ツアー"元EMPiREなりのラストツアー"。そのファイナルは、残念なことにmidorikoが体調不良のため前日の公演に引き続き出演キャンセルとなってしまったが、彼女の想いを背負った5人で、EMPiREとしての有終の美を飾った。

"EMPiREのライヴ"としては最後ということで、そこに対するシリアスな気持ちと、シンプルにライヴを楽しみにする気持ちが入り混じったような、独特な空気がフロアにはあった。そんななか『the GREAT JOURNEY ALBUM』の衣装で登場した5人は、同作収録曲の「A journey」でライヴをスタートさせる。フォーメーションにはmidorikoがいないぶんのスペースはあったが、歌ではきっちり調整をしてカバーできているのはさすがだ。この日の彼女たちは、歌の仕上がりが途轍もなく良かった。こういうときのライヴは、気持ちが入って感情任せになりがち(もちろん、それはそれでいいライヴになるのだけれど)だが、そうではなく、丁寧に歌い上げながらもエモーショナルな感情表現も伴っている。この時点で、すでにEMPiREの解散ライヴから現在までに遂げてきたExWHYZとしての進化の片鱗を垣間見たような感覚だ。続けて披露した「SUPER FEELiNG GOOD」で鳴らした、エージェント(※EMPiREファン)を踊らせる重低音とシンセの音色は、曲名通りに"超気持ち良く"、筆を執りながらも自然と身体が揺れた。"羽田行くぞ!"とmayuが声を上げた「SUCCESS STORY」で、畳み掛けるように踊り倒す。間奏中の見どころである、midorikoとnowのダンス・バトル・パートでは、nowが単独で気迫のダンスを見せた。

"私たち、元EMPiREです!"と声を合わせて挨拶してから、"今日はメンバーのmidorikoが出演することができなくなりました。すごく楽しみに待っていてくれたみなさん、本当にすみません。ですが、今日はドリ(midoriko)を心に宿して、ツアー・ファイナルを、最強最高のライヴを届けますので、ぜひ最後まで一緒に楽しんでいってください。よろしくお願いします!"とyu-kiが話すと、大きな拍手が湧き起こる。そうしてEMPiRE初楽曲の「EMPiRE is COMiNG」でライヴは再開。"ドリを心に宿して"の言葉通り、手を繋ぐ振付ではそこにmidorikoがいるように錯覚したし、「Buttocks beat! beat!」では、midorikoが乗り移ったかのような"五月雨かませ"の叫びをmikinaがやってみせた。アッパーな楽曲で攻めていった立ち上がりだったが、「Black to the dreamlight」から「アカルイミライ」への聴かせる並びも素晴らしかった。こういうミドル・テンポの曲は技術面がより前面に出てくるのだが、ひとりひとりがヴォーカリストとしてしっかりアートしていて、ひと皮むけたパフォーマンスを見せてくれたような気がする。ExWHYZへの進化はもう始まっているのだと、確信を持った瞬間だった。

midoriko不在の影響か、若干カオスなMCを経てからライヴは折り返しへ。「This is EMPiRE SOUNDS」での"狂い咲きの凶器/今みせましょう"、「RiGHT NOW」での"ジョワッジョッジョワ"でyu-kiが、midorikoが憑依したかのようなパフォーマンスを見せる。そんな様子を観ていて、midoriko不在でのカバー力に改めて感嘆する。それと共に、midorikoという存在が、いかにグループにとってのスパイスになっているのかを改めて知ることとなった。

ここから「IZA!!」、「S.O.S」、「ピアス」と連続でパフォーマンス。この3曲は音楽ジャンルがすべて異なっているが、そのどれもがクオリティ、技術、感情表現で高いレベルに到達している。続く「ORDiNARY」の芸術性の高いステージングも見事だ。そんなEMPiREのライヴが見納めになることについてはやはり一抹の寂しさを感じるが、そこを超えていくであろうExWHYZへの期待値がグングン上昇していく感覚も同じようにあった。

後半では、「WE ARE THE WORLD」から「Have it my way」というダンサブルなキラーチューンのラッシュを掛ける。自由に踊れる場を作り上げてきたEMPiREが、"これがEMPiREだ!"と言わんばかりに、自身の最強最高っぷりを誇示する様が痛快だ。最後は、「MAD LOVE」でエージェントへの狂おしいほどの愛を届け、mayuが"エージェントのおかげで私たちはEMPiREとしていられました。今日まで本当にありがとう"と想いを伝えてから「EMPiRE originals」へ。mayuのロング・トーンをはじめ、メンバー全員がすべてを出し切るような渾身のパフォーマンスに胸が熱くなる。締めくくりでは緑のスポットライトがステージを照らし、midorikoを含め6人で締めくくるような演出にもグッと来た。

アンコールは「FOR EXAMPLE??」からスタートして、「I have a chance!!」をパフォーマンス。エージェントに向かって"I have a chance!! ねぇ大丈夫だよ"と歌う言葉は、今の状況的にも真に迫るものがある。身体全体を使って左右に手を振るメンバーの満面の笑みが眩しかった。

これで元EMPiREのツアーは終わった。ということは、ExWHYZが始まるということだ。メンバーが去ったステージ上で、ExWHYZ初楽曲「Wanna Dance」のミュージック・ビデオがサプライズで投影された。大沢伸一(MONDO GROSSO)が提供したこの曲は、EMPiREがひとつの軸にしてきたダンス・ミュージックを踏襲しつつまったく新しい風を吹かせた楽曲だ。EMPiREからExWHYZへ、それは変化ではなく、正統なる進化なのだとわかる。思わず息をするのも忘れるほどに美しく、そして身体を揺らせる映像で、すっかりExWHYZに魅了されてしまった。

早く生のパフォーマンスでも「Wanna Dance」を観たいところだが、ExWHYZの衣装でステージに立ったメンバーを代表して、mikinaはこう語った。

"本当は今日「Wanna Dance」をみんなの前で披露するために準備してきたんですけど、「ExWHYZとしての初のパフォーマンスは、やっぱり6人揃った状態じゃないとな」ってみんなで話し合って、今日はこのままMVを観ていただく形になりました。今日でEMPiREの活動が終わって、やっぱり何年もやってきたものだからすごく寂しい気持ちはあるんですけど、こうやってExWHYZの活動がすぐに始まっていくので、今まで以上に全力でやっていかないとなって思ってるし、EMPiREのとき以上にみんなをワクワクさせていかなきゃなって思っています。もちろん口で言うほどの簡単なことじゃなくて、覚悟を決めてめちゃくちゃ全力でExWHYZをやっていこうと思っています。なので、ぜひまたドリもこの中に入った6人のExWHYZとしてのライヴに足を運んでいただけたらなと思っています。今日まで本当にありがとうございました。そして、今日からまたよろしくお願いします。私たち、ExWHYZです"。

アルバムのリリースとツアーが発表され、いよいよ本格始動するExWHYZ。グループ名に由来しているカクテルの"X・Y・Z"="これ以上のものはない究極のカクテル"にちなんで、彼女たちが"これ以上のものはない究極のグループ"になる歴史を作っていくのが楽しみで仕方ない。


[Setlist]
1. A journey
2. SUPER FEELiNG GOOD
3. SUCCESS STORY
4. EMPiRE is COMiNG
5. SO i YA
6. Buttocks beat! beat!
7. HON-NO
8. Black to the dreamlight
9. アカルイミライ
10. This is EMPiRE SOUNDS
11. RiGHT NOW
12. IZA!!
13. S.O.S
14. ピアス
15. ORDiNARY
16. WE ARE THE WORLD
17. Have it my way
18. MAD LOVE
19. EMPiRE originals
En1. FOR EXAMPLE??
En2. I have a chance!!

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