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INTERVIEW

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BiS

 

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Member:イトー・ムセンシティ部 チャントモンキー ネオ・トゥリーズ トギー

Interviewer:宮﨑 大樹

このコロナ禍においても連続ゲリラ・リリースや自身初の配信ライヴを敢行するなど、"行かなくちゃ"の精神を貫き通している第3期BiS。彼女たちが、メジャー1st EP『ANTi CONFORMiST SUPERSTAR』を完成させた。スカ・チューン、エモさが溢れる曲、メロコア調の青春ソングなど、各収録曲のカッコ良さはもちろんだが、本作は、聴き手の心に働きかける歌詞の力も際立っているように感じていた。それはBiSの4人も同じだった様子。今回、彼女たちの作品への解釈や想いを、全曲余すところなくたっぷり語ってもらった模様を、1万字超のロング・インタビューでお届けする。

-少し時を遡りますけど、2月のLIQUIDROOMワンマン(["LIVE DAM Ai"presents STAND BY BiS])がとても良かったんですよ。自己採点が辛口なみなさんも、さすがに手応えを感じてたんじゃないですか?

イトー:もっと大きいところでやりたいみたいな感情はすぐ生まれましたけど、やっぱり反省点はいっぱい出ましたね。

トギー:やりきったけど、まだまだできるなっていう気持ちはすごく強かったです。

-BiSの"褒められても信じちゃいけない"モードっていうのはずっと続いているんですね。

トギー:未だに。

イトー:"上手いですね"とか言われると、今まで通り"信じちゃいけない"ってなっちゃうんですけど、"MVカッコ良かったよ"みたいに言われるのはめっちゃ嬉しい。

トギー:うん。"曲がカッコいいね"とかすごく嬉しい。"わかります!"ってなる。でも、私たちの実力とかを褒められるのは"いや、まだまだ"って。

-いつかライヴ後にドヤ顔してくれるのを期待してるんですけどね。

イトー:ネオがいきなり"私の歌、すごいでしょ?"、"え、私の歌を聴かないんですか?"って言うようになったりして。

一同:(笑)

ネオ:絶対ないよね。恐ろしい。

-逆に何ができたら、褒められても受け入れられるんでしょうね。

トギー:認めてしまうと成長できなくなるのが怖くて。だから、どれだけ褒められても"いや、まだまだだ"って思い続けることで、もっと頑張るぞっていう気持ちを途切れさせないようにしている部分もあります。

-向上心を持ち続けるためにゴールを定めないということですね。

トギー:そうですそうです。いつまで経ってもそんな偉そうなことは言えないですね。

-今って、LIQUIDROOMのときからは想像できない状況になってるじゃないですか。お客さんが入ったライヴハウスっていう、当たり前だったものが当たり前じゃなくなっていて。ライヴへの想いは募っているんじゃないですか?

トギー:めちゃくちゃ募りまくり、ライヴしたすぎですね。

イトー:ファンの人も"ライヴに行きたい"っていう気持ちをSNSで吐き出してくれていて、それを見るとさらにライヴしたくなりますよね。

トギー:ライヴがなくなって、"悲しい"っていう声も最初は多かったけど、今は"いつかライヴで会える日を楽しみに待つ期間が長くなっただけ"って、前向きにとらえてくれる研究員(※BiSファンの呼称)の方も多くなってきていて。だからもう本当に、本当に楽しみにしていてほしいなっていう気持ちでいっぱいです。

チャント:結成してからずっとメインの活動がライヴだったので、ライヴがあることが当たり前になっていたんですよね。今になって考えたら当たり前じゃないんだけど、前までは"前回のライヴはこうだったから次のライヴはこうしたい"とか、ライヴに向かって時間が進んでいく感じだったので、最初は失った感がすごかったです。

-予定されていたツアー("HEART-SHAPED BiS TOUR 1st season")も中止になりましたもんね。

ネオ:初めて行くところが多かったのもあって、BiSを初めて観る人とかがいたはずで。その面では申し訳ない気持ちもあるし、悲しいし、会いたかった。

イトー:WACKツアーとかで知って、"BiSを観たい"と言ってくれる人も増えたんだろうなと思うと、やっぱりちょっと悔しい。

-6月20日には無観客ライヴ"HEART-SHAPED BiS IT'S TOO LATE EDiTiON NO AUDiENCE LiVE"もやっていましたけど、BiS単独で配信ライヴをやってみてどうでした?

ネオ:すごく久しぶりのライヴだったしBiSだけで無観客ライヴをするのは初めてで、新曲の初披露もあったし、しかも30曲ノンストップ。いろんな初めてが重なって緊張も大きかったけど、ワクワクして楽しんでできたのは嬉しかったですね。

チャント:最初に映像が流れて、そこで"1分前"って言われたら、それがもうすぐ始まる合図だったんですけど、いろいろ考えていたら合図が聞こえてたはずなのにいつの間にか「DESTROY」が始まって、ヤバってなっちゃって(笑)。心の準備ができていないまま始まったんですけど、あとで映像を観たらちゃんとできてました。

一同:(笑)

イトー:久しぶりな緊張感と、30曲披露するっていう自分たちの中では初めての試みもあって「DESTROY」から始まったときに"うおぉー!"って最初からテンションを上げることができました。なんかバクバクしてたんですよ。アドレナリンか何かで興奮してバクバクしているのがずっと続いて、あっという間に終わった感じでした。スクワット(※「thousand crickets」の振付)が苦じゃない! みたいな(笑)。

トギー:無観客であれだけ楽しかったら、お客さんがいたらもう楽しすぎて死んでしまうんじゃないかってくらいで。早くライヴしたいなっていう気持ちになりました。未だに思い出に浸ってるよね?


自分で思っているけど絶対に書けない、でも本当に誰にでも当てはまるような、共感できる歌詞がすごく多い


-そういった今回のコロナ禍から派生した様々な出来事を経た感情や経験が、今回のEP『ANTi CONFORMiST SUPERSTAR』に反映されているようにも思えました。本作は渡辺(淳之介/BiSマネージャー)さんが書いている歌詞が多いですけど、この期間で感じたものをぶつけているような印象で。

トギー:強気な歌詞が多い感じ。生きづらさがなかったら書けないような歌詞だから、敵っていうか、今みたいに環境、状況が悪いときだからこそできた曲もあるのかなぁ。

イトー:自分と向き合う時間がなければ生まれない感情がたくさんあって。はしゃいでたり、普通に過ごしているだけだと絶対浮かばないような歌詞じゃないですか? やっぱり渡辺さんにもそういう自分と向き合う時間があったのかなって思いますね。素直な感情が全部出てます。

-変に空気とかを読まずに、BiSはBiSらしく、思うようにやっていくぞ、みたいな、そういう意志を感じた作品でもありました。

チャント:歌詞で言うと、今までに歌わなかったようなものばかりでした。「イミテーションセンセーション」の"前向くだけが正解じゃないだろう"とか、「I WANT TO DiE!!!!!」の"ありのままでなんて/弱すぎるし/出来やしないよ"とか、「CURTAiN CALL」にいたっては、本当に見たことのない歌詞だなと思って。渡辺さんは"思ってるけど言葉に変換できないような感情"を、歌詞にできるのがすごいんです。自分でも思っているけど絶対に書けない、でも本当に誰にでも当てはまるような、共感できる歌詞がすごく多いなと思いました。

ネオ:私も歌詞を最初に見たときに全曲で"すごっ......"ってビックリして。自分が直接というか、堂々と表には出せない気持ちがたくさん書かれていました。私は言葉にして気持ちを伝えたりするのがものすごく苦手なので、こうやって歌詞にされてみて、心を動かされたというか。

トギー:自分の弱い部分って人に見せたくないじゃないですか? だけどそれを歌詞として出すことによって、誰かの気持ちが軽くなるのってすごいことだと思って。私があんまりそういう部分、弱いところが出せないんですけど、さらけ出さなきゃって感じました。カッコいい曲ばっかり。

イトー:「イミテーションセンセーション」、「I WANT TO DiE!!!!!」、「GETTiNG LOST」とか、本当に痛々しいぐらいの素直な感情で。やっぱりそういう曲が聴く人のどこかに引っかかると思うんです。ただ、そういうなかでも明るい方向には持っていきたいっていうのが第一にあって。だから「CURTAiN CALL」とか「DiRTY and BEAUTY」とかは、幸せな気持ちになれるようなものになっています。いい意味で、明るい部分も闇の部分みたいなものもある。だからすごくバランスがいい7曲になったなって思います。