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COLUMN

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ" 【第9回】

2019年10月号掲載

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ" 【第9回】

ファッショニスタの皆様、ごきげんようですの。
おしゃれのファンタジスタ、わたくしですの。

わたくし、産声が「おしゃれは足元から」。
小学生の頃、「流行を作ってるんじゃないのです。わたくし自身が流行なのです」という短歌で表彰。

そんな生まれつき"おしゃファジスタ"(おしゃれファンタジスタのおしゃれ略ですの)なわたくしですが、中学時代は現ザ・クロマニヨンズのマーシー(真島昌利)に憧れて手ぬぐいを頭に巻いて登校し、心に深い傷をつけたりしていましたの。
思い出して心が壊れたのでこの口調やめますね。苦しい。

手ぬぐい事件をキッカケに、「どうやら謎の英字プリントの服を着ていたのではモテないらしい」と知ったぼくは、クラスでおしゃれとされているヤンキーに土下座しました。土下座したらおしゃれなお店に連れて行ってもらえました。

しかし、ヤンキーが連れていってくれるお店はヤンキーしかいないB-BOYのお店だったのです。

爆音で流れる凶悪なヒップホップに、「ここはお前のような雑魚の来るところではない」と勝手に威嚇され、萎縮します。
恐る恐るお店に入ると、奥から屈強な男性店員が出てきました。

「Yeah、ワッサ調子どう?」

耳を疑いました。屈強ヤンキー店員が突然沖縄弁らしき言葉を喋るのです。

「家ヮサちょしどぅ」??

大体「家に来てくれてありがとう」的な、「めんそ~れ」の進化系だろうと想像しました。母親と行ったインド料理店で「ナマステ」と挨拶されたのを思い出しました。このくらいの異文化コミュニケーションは覚悟の上です。

「こんにちは」と言います。ヤンキーが「うす」と挨拶し、続けて言いました。

「今日はこのオタクをゴキゲンにしてやりたくて」

これから接待を受けることになるのか?ぼくは身構えました。まさか、危険な薬物で強制的に高揚させられるのだろうか?と不安になっていると、店員がぼくを黙って見つめます。

「君は体格良いから、これとかどぅ」

と言ってぼくに服を手渡します。流れで試着すると、ヤンキーも「いいじゃん」と言います。良いのでしょうか。試着室の鏡には、芸人の、ですよ。氏のコスプレをしたオタクが情けなく背筋を曲げて立っていました。

ヤンキー2人の前で「やっぱり違います」とは言えず、お年玉をはたいて、ですよ。コスチュームを購入。
しかし、B-BOYファッションに身を包むオタクというのは、なにか虚しく、結局それ以降一度も袖を通すことはありませんでした。

そんなこと完全に忘れていたのですが、先日送られてきた家族写真でばあちゃんが、何故か、ですよ。のコスプレをしており、封印された思い出が蘇ってしまいました。

ばあちゃん、ばあちゃんのBはブレイクダンサーのBだったんだね......。

「ばあちゃんのことをこれからBAD CHANG(ばっちゃん)と呼びたい」と母親にメールしたら、返信はありませんでした。
BAD BOO BAD BOO(バブー バブー)!

挫・人間

2008年、熊本で結成。"閃光ライオット2009"の決勝大会に進出し、同大会のキャンペーン・ガール、夏未エレナが選出する"夏未エレナ賞"を受賞。2013年に1stアルバム『苺苺苺苺苺』をリリース。2018年5月に1stシングル『品がねえ 萎え』を発表。11月7日には4thアルバム『OSジャンクション』をリリースした。2019年12月28日には、新代田FEVERにてワンマン・ライヴ"挫・人間 年末単独公演2019。"を開催する。