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COLUMN

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第11回】

2020年02月号掲載

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第11回】

本当に自分が心の無い人なのかも、と思うと怖くて今まで言えなかったが、今回は言う。もう本当に言う。言うぞ。告白するが、おれは、赤ちゃんが可愛いと思ったことがない。

人って、道行く見知らぬ赤ちゃんに「カワイ~!」ってなったりするじゃないですか。こちらとしても2、3歳の幼児とかは、カワイ~とか思えるが、あの、産後感剥き出しの赤ちゃんとかは、怖くて......。

そもそも幼少期からおれは、ピカチュウなどを「可愛い」ものとして認識してきており、もしかしたらその感覚が幼稚なまま育っていないのかもしれない。

赤ちゃんを始め、何かを可愛いとする感性を否定する意思はまっっったくないのですが、人間は、「可愛い」に対する感度を突き詰めていくと「ゾンビ」「骸骨」「セクシーな大根」「サザエボン」「無力そうな老人」「魔力ありそうな老人」「挫・人間」「山ウド」などを可愛いとか言い始めるじゃないですか。
でも、そういう、「逆に可愛い」みたいな感覚、寄生獣のミギーくらいにしか感じたことないぼくでも分かるほど、赤ちゃんは人間の本能的な部分に可愛いと思わせる力を持っているみたいなんですよね。

もう......もう嫌です!!ぼくもみんなと一緒に赤ちゃんを愛でたい!!!

しばらく考えてみて、「指みじかいねえ!」とか「まつげうすいねえ!」とか、そういうところ一瞬可愛い気がしましたが、それ、"弱さ"ですよね。赤さんの弱さを可愛いとするのは魔王の発想ですよ。やめましょう。

ていうかそもそも赤ちゃん赤ちゃんって言うけど、赤"さん"じゃないですか?みんな知らず知らずのうちに「こっちが早く生まれてきましたマウント」を取ろうとしていますよね。

あと、「バブバブゥ......ダアアアアアア!!!」
みたいなこと言って楽しませるやつ、みんな大人になったら出来るようになるじゃないですか。でもぼくは赤さんを同じ人間として扱ってしまうので、ついジョイマンの物真似で踊りながら「赤んぼう 感動」などとラップを披露し、ドスべり、そして憎しみを歌にしてしまうという、負の精神活動を重ねてしまうというわけですね。つまり精神面でも合わない。

しかし、こうして書いているうちに、どうして赤さんを可愛いと思えないのか、少しずつ分かってきました。
その、「ダアアアアアア!」みたいなやつ、「確かに赤さんは弱いが弱者として扱うのは赤さんに失礼」みたいな気持ちがあって(下川君遅いからみんなでペース合わせてあげよう、みたいな優しさで傷ついた経験から)できなかったのですが、
そもそも、「おれは赤さんより弱いのでは?」「赤さんが自分より強いかもしれない」という気持ちが、ある。あります。

悔しいんです。わかりました。つまり、ぼくは悔しい。裸でいても愛される赤さんが恨めしい!一身に愛情を受ける赤さんが羨ましい。私は、赤さんほど愛された記憶がない......。
赤さんより大声で泣き喚くので、誰か愛してください!!!!
(東京都 28歳 ミュージシャン志望 男性)

挫・人間

2008年、熊本で結成。"閃光ライオット2009"の決勝大会に進出し、同大会のキャンペーン・ガール、夏未エレナが選出する"夏未エレナ賞"を受賞。2013年に1stアルバム『苺苺苺苺苺』をリリース。2018年5月に初のシングル『品がねえ 萎え』、11月に4thアルバム『OSジャンクション』を発表した。2020年3月4日には5thアルバム『ブラクラ』のリリースを控えており、3月21日から"挫・人間 TOUR 2020~さような来世!風と共に去りヌンティウス~"を行う。