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COLUMN

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第4回】

2018年12月号掲載

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第4回】

メリクリ!(Weezerのボーナストラック爆音で)

このコラムが皆様に届く頃、もう日本中がクリスマスムードだろう。平成最後のクリスマス、誰と過ごすか決めたかい。
家族と?恋人と?大切な友人と?片思いの相手と?昔の恋人と?犬と?音楽と?
素晴らしい。ぼくは車内で、挫・人間と......。

ぼくはクリスマスが大すきだ。なにせ、生まれた瞬間に天を指差し「メリークリスマス!!!」と叫んだほどである。
だから、人間性が暗くても、恋人がいなくても、クリスマスを楽しみたいのだ!
つい最近もメンバーに「おれはサンタさんを信じることにした男だ!八つ裂きにされたくなければメリークリスマスと言え!」と迫り、断ったメンバーを火炙りにしたばかりだ。

そういえば中学生の頃、クリスマスが耐えられない友人Kのために、オタク3人、カラオケで聖飢魔IIの曲だけを熱唱し続けるという哀しいクリスマスイベントを行った。

3人でこれでもかと熱唱すると、気分はもうメタルヒーロー。学校指定のジャージ(ゼッケン付き)をひるがえし、跳びはねて、絶叫し、我を忘れた。俺は、悪魔だ。
そのとき、ガチャ!という音と共に、ギャルの店員さんがドリンクを運ぶために部屋に入ってくる。ぼくたちはフニャフニャとしだし、歌うのをやめ、手を膝の上にのせ着席した。恥ずかしいのだ。ドリンクがテーブルに置かれる間が無限に感じた。うつむいて黙る体操服の男3人に、歌無しで流れ続ける『地獄の皇太子』......。この世のものとは思えないほど切ないBGMだった。これが『悪魔のメリークリスマス』でも、同じことだっただろう......。

冬なのに汗だくでカラオケを出て、フードコートにでも行くかと歩いていると、Kの片思いしている女の子が、白くてモコモコしたコートを着て歩いてくるのが見えた。その左手で高校生の男の右手を握って......。
そのときにぼくらは、Kがクリスマスを耐えられなかった理由に気付いた。イルミネーションのあたたかな光に、ただただ影を濃くしてしまうからだ......。

でも、あのカラオケは楽しかったのだ。他にも、腐った卵がどれだけ臭いのか実験したり、夜が明けるまで正拳突きをしたり、そのすべてが楽しかった。点滅するクリスマスツリーの電飾に照らされた夜道を歩いて、男と食べるケーキを買いに行くのも、だ。

毎年初恋の人のことを思い出す。きみはクリスマスにどんな風に笑って、どんな風に泣くのだろう。ぼくやきみが死んでも、世界中でクリスマスを祝う人はいなくならない。誰かがクリスマスに手首を切ったり、好きな人と笑い合ったり、それを見て思わずヘビメタを熱唱したりしているのだ。そうやって世界中に愛と笑いとトラウマが溢れますように。
そして今年も臭いオタクとピザとか食べながら徹夜でゲームをやるクリスマスになるといいな、とぼくは思うのでした。メリークリスマス!世界中の自分が不幸だと思っている人たちに。そして幸福な人たちに!


挫・人間

2008年、熊本で結成。"閃光ライオット2009"の決勝大会に進出し、同大会のキャンペーン・ガール、夏未エレナが選出する"夏未エレナ賞"を受賞。2013年に1stアルバム『苺苺苺苺苺』をリリース。2018年5月に1stシングル『品がねえ 萎え』を発表し、11月7日には4thアルバム『OSジャンクション』のリリースが決定。同アルバムを引っ提げた全国17ヶ所を回るツアー"挫・人間 TOUR 2018/19 ~厨二病?いや、チューしよう~"を敢行中。