挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第17回】

COLUMN

挫・人間下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ"【第17回】

2021年02月号掲載

挫・人間

とにかく理由も分からないが2021年になって突然、ずっと視界を覆っていたモヤがかった不安が、嵐が過ぎたかのようにサッと晴れ、心にはあたたかな光が差し始めた。そしておれは、今年は遂に気合い入れてバンドをやるぜ！と思い立った。

しかし自分の腑抜けっぷりは一筋縄ではいかないものである。
この熱い気持ちをキープするために、年明けから色々と環境を変えよう！と思い立ち、結果から言うと年明けから事故物件に住み始めた。

「事故物件、住んだことないんですか？」と聞かれたときに「ありますよ」と、平然と答えられる自分の方が好き......くらいの、自分探しをするOL的なマインドとノリで住んでみたが、考えてみるとなんだか光量の割に暗いし寒気もする。Kiroroを熱唱し、気持ちを熱くしてゆく。

正直に言うと、前に入居していたのが女性だったというのを聞いたとき、「オタク男だらけの生活の中に女の子のエッセンスが加えられて結構いいかもしれない」と思った。
この寂しさの解消法の間違い方に現状の人間関係が現れているような気もする。Kiroroを熱唱し、気持ちを強くしていく。

......えっ、もしかして俺の事が心配？大丈夫！俺、中学3年間、美しい女の霊が取り憑いてる設定で過ごしてたから。その頃のことを考えれば、実際に取り憑かれた方がマシである。むしろ後に引けなくなってからは「頼むから本当に取り憑いてくれ！」と叫んだものだ。そのまま成長しました。

それに、毎晩お札の貼ってあった場所で眠っているが、今のところなんの問題もない。元々霊感みたいなものが全くないのだ。よくよく考えてみたら今までの家も勝手にテレビや電気がついたり消えたりしていた。でも何とも思わない。宇多田ヒカルの「Automatic」のサビで歌われるようにドキドキしたりもしないので、やっぱ恋ってすげえと思った。

それに悪いことばかりでもない。例えば、いい感じの女の子が部屋に遊びにやってきたとして、おれは不意に肩を組み囁くのだ。
「霊って性的なムードが苦手らしいよ......？」

......ほら、何かが始まりそうな気がするでしょう？
友達にそんな話をすると「終わってるよ」と言われましたが私は元気です。憑依合体！！！！
こんなアタクシですが、2021年元気に生きて皆様にプレシャスを提供していくつもりなので本年もどうかよろしくお願いします！！！！！！！！！

挫・人間

2008年、熊本で結成。"閃光ライオット2009"の決勝大会に進出し、同大会のキャンペーン・ガール、夏未エレナが選出する"夏未エレナ賞"を受賞。2013年に1stアルバム『苺苺苺苺苺』をリリース。2020年3月に5thアルバム『ブラクラ』を発表。11月に、新メンバーが加入し2014年以来の正規メンバー4人組となり、配信シングル『マンガよみたい/誰かを救える歌』をリリース。2021年1月27日には、渋谷TSUTAYA O-EAST単独公演を収めたライヴDVDを発売した。

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