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COLUMN

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ" 【第8回】

2019年08月号掲載

挫・人間 下川リヲの"モノホンプレーヤーになれねえ" 【第8回】

マハロ。皆さんすぐ終わる夏をエンジョイしただろうか?

"夏といえば"、のアレはやりました?やだなあ、アレですよ。このコラムの読者ならとっくにお判りでしょう。

そう、「美少女ゲーム」ですね!!

「美少女ゲーム」......ご存知でない?つまり、男性向けの恋愛シミュレーションゲームのことだ。

夏休み明けて、所謂"リア充"が「彼女と海に行った」だの言っているのを聞いて劣等感を感じたことがありませんか?

大丈夫、美少女ゲームには夏のすべてがある。海、山、プール、バイト、天体観測、肝試し、お祭り、花火、そして......kiss。もう現実は必要ありません。

そんなぼくは中学時代、有名美少女ゲームである『ときめきメモリアル2』、通称『ときメモ2』のヒロイン、陽ノ下光ちゃん(以下光ちゃん)に夢中だった。 光ちゃんは、設定すれば名前を呼んでくれるのだ。

「リヲくん」

「う うおおおお!!!!」

「リヲくん」

「んふおおおおお!!!!!」

学校では"隠れときメモリアン"だったが、実際は、少しでも会話しているという気分を味わおうと、主人公のセリフを心を込めて音読するほどやる気マンマンである。

下川「光~!」

光ちゃん「......何よ。憧れの『かすみおねーちゃん』と帰るんじゃなかったの?」

下川「何怒ってんだよ」

光ちゃん「怒ってなんかないよ」

下川「じゃ、なんなんだよ」

光ちゃん「いいよ、もう。......来てくれたし」

下川「んふおおおお!!!!!」

なんて悦びを甘受しているうちに大学生になっていた......。ぼくは夜中に『ときメモ2』の音声をギターアンプで再生する(やっとミュージシャンらしい一面がこんにちはしましたね)、「爆音ときメモ会」を開催していた。

大学をサボり、涎を垂らしながら「んんん爆音の光ちゃんボイス、超アポカリティック......」などと、のたまっていると、同級生のTがぼくの部屋に遊びにきた。

しかし、ぼくは連日孤独の「爆音ときメモ会」を行ったため、気付いたら眠ってしまっていた。

「......君」

なんだろう、光ちゃんの声がする......。

「......T君」

え......光ちゃん?

......そこには、寝ている間に勝手におれの『ときメモ2』をプレイするTの姿が。

「や、やめろ!!!!」

「うわっ下川どうした?!」

「お前、メモリーカード11ブロックも使って光ちゃんに名前呼ばせてんじゃねえよ!!!!」

光ちゃん「T君♪」(爆音)

「や、やめるんだ光ちゃん......そんな名前呼ぶんじゃない!」

光ちゃん「T君♪」(爆音)

「やめろおおおお」

おれは......暴れた。
鯉が滝を登るように(恋敵とかけてます)。
お腹を天井に向かって投げ出し、その場で手足を全力でジタバタさせながら......泣いた。

光ちゃん......どうして......?所詮きみもプログラムだって言うのかい......。

夏の、淡い......とても淡い、失恋の話だ。

挫・人間

2008年、熊本で結成。"閃光ライオット2009"の決勝大会に進出し、同大会のキャンペーン・ガール、夏未エレナが選出する"夏未エレナ賞"を受賞。2013年に1stアルバム『苺苺苺苺苺』をリリース。2018年5月に1stシングル『品がねえ 萎え』を発表。11月7日には4thアルバム『OSジャンクション』をリリースした。7月26日にはゲストに眉村ちあきを招き、滋賀B-FLATにて自主企画"城下町ワイワイワールドvol.2"を開催する。