Japanese
挫・人間
Skream! マガジン 2021年09月号掲載
2021.08.04 @渋谷CLUB QUATTRO
Writer 秦 理絵 Photo by 森好弘
筋金入り"引きこもり"である下川リヲ(Vo/Gt)は、コロナ禍の人に会えない生活でも、"僕の日常はマジで変わらなかった"と、インタビュー(※2021年8月号掲載)で言っていた。寂しいと思うこともなかった、と。だがこの日、"やるっきゃNIGHT~ママのお金で天城越え~"で渋谷CLUB QUATTROのステージに立った下川は、"会わなくてもいいと思ったけど、会ったら嬉しいです!"と、リアルにお客さんと対面する歓びを素直な言葉で伝えていた。さらに、ここ半年ほどはメンバーの脱退が相次いだこともあり、"3ヶ月でドラマーがやめるようなバンドによくぞ集まってくれた"と自虐的に言いつつ、"声児(マジル声児/Ba/Cho)も、夏目(創太/Gt/Cho)も、ありがとうございます"と、お客さんやメンバーに感謝を伝える場面もあった。
挫・人間が半年ぶりに開催したこの日のライヴは、図らずも、挫・人間がロック・バンドである意味とロマンを心から噛みしめてしまう、そんな一夜だった。
最新作『散漫』のリリース日でもあったこの日は、アルバムでもオープニングを飾る「I LOVE YOU」から始まった。腕組みをしたメンバー同士が、"Are you sports man?"と低音ヴォイスで掛け合って突入する高速パンク・チューン。コロナ禍の感染対策のため、座席ありのライヴということで、フロアのお客さんは座ったままそれを聴くというシュールな光景が広がる。下川にギターを渡すはずのローディー、小山氏がイントロを弾くという前代未聞の展開で突入したのは「人間やめますか?」。マジル声児が低く腰を落として跳ねるベースを聴かせた曲中、下川が"おい、お前ら、立っていいんだぞ?"と言うとお客さんは待ってましたとばかりに一斉に立ち上がった。その曲をサポート・ドラムの菅 大智(ゴールデンシルバーズ/電化アベジュリー)が豪快に締め、メタルからポップスへと滑らかにグライドする「人生地獄絵図」では、ステージ際まで歩み出た夏目のギター・ソロで湧かせた。序盤から出鱈目なテンションで乱高下するライヴ。その熱量は終演まで変わらないまま続いていく。
前半のハイライトになったのは「誰かを救える歌」だった。疾走感のあるポップなメロディに乗せて、"ぼくはきみの味方だよ"と、ストレートに歌う。初めて下川が明確にリスナーの人生の支えになることを意識して完成させた、人間くさくて、涙まみれのエール・ソング。引きこもりで、オタクで、キモくて(褒め言葉)、リア充への恨み節全開な下川がそれでも、"もしもぼくの闇が役に立つなら"とぶちまけるこの歌は、挫・人間というバンドの存在意義そのものとも言える歌だ。
歌で心を強く揺さぶったかと思えば、次の瞬間には、コミカルなアプローチでせっかくの感動を上塗りしてしまうが挫・人間のスタイル。自分を変えたいと、"リカちゃんに電話したんですよ"という下川のオタク感全開のMCに、歓声が禁止のフロアから思わず悲鳴が漏れた「ソモサン・セッパ」、途中で、"もうダメだぁ......"と、ステージに崩れ落ちた下川がスタッフに運ばれていく「ピカデリーナ受精」へと、寸劇を交えた楽曲たちでフロアを笑わせていく。
メンバーが女の子に扮したMCから繋いだのは「☆君☆と☆メ☆タ☆モ☆る☆」だ。昨年11月に加入した声児が"うち、初めて♡"と言い、下川が"挫・人間をやめた人を嫌いになっても、挫・人間は嫌いにならないでください"と、前田敦子の名言をもじって届けた「☆君☆と☆メ☆タ☆モ☆る☆」は、ミラーボールが回るなか、全員が楽器を置きキラキラとしたオケの音源に合わせてアイドル風の振りつけで踊った。この曲を終えて、"できたーっ!!"と喜び合う3人。その姿を見たとき、このバンドのいろいろな経緯が頭を過ぎり、ぐっときてしまった。挫・人間のライヴでは、いわゆる"泣ける曲"ではないはずなのに、なんだか無性に泣けてしまう瞬間が何度か訪れる。
最後のMCでは冒頭に書いたとおり、下川がまっすぐな言葉でお客さんだけでなく、メンバーにも感謝を伝えた。突然のことに"びっくりした!"と驚く夏目に、"感極まっちゃった。大変だと思うんだよね、俺とバンドをやるのって(笑)"と下川。さらに、"おかげさまで楽しいです。やめませんよ、やめる、とかすぐ言いますけど。これからも素晴らしい曲を作っていきたい、人生かけてそれを続けていきたいと思いますので"と語り掛けると、野球の応援団風の熱血なナンバー「マジメと云う」では、普段はにこやかで楽しそうに歌うその表情がぐっと引き締まった。"かっとばせ!マジメ!"と、渾身の力で叫んだその歌は、「誰かを救える歌」に続き、終盤のハイライトのひとつだった。
フロアを優しく揺らした「マンガよみたい」から、爆発力のある言葉と演奏力で最高潮へと昇りつめた「セルアウト禅問答」まで全力で畳み掛け、本編のラストは「ダンス・スタンス・レボリューション」。コロナ以前は"ウォーク・オブ・ハイタッチ"で平和なカオスを巻き起こしていたが、"それをやると大変になることになる"、"ロック・バンドは自由にルールを作っていくもの"と、フロアのお客さんをその場でぐるぐると回転させるという新たな遊び方を発明して、本編を締めくくった。
アンコールはタオルが重要な役割を果たす2曲だった。その1曲目の「デスサウナ」は、サウナの店番のようなキャラに扮する下川のセリフによって、身も心もととのうはずが、地獄の人喰いサウナに吞み込まれてしまう不気味なナンバー。オケを流し、タオルを使った振付で踊ったあと、本編の「☆君☆と☆メ☆タ☆モ☆る☆」と同じように、3人で"できたー!"と、嬉しそうにハイタッチをする。最後は、下川が"また気持ち良くお会いしましょう"と別れを告げ、アルバム『散漫』でも最後に収録されている「アイオワの風」で終演。湘南乃風の「睡蓮花」のようなサビでタオル回しを巻き起こしたかと思えば、最後は"みんないてくれてうれしい"という合唱で終わる。どんなにふざけていても、大切な場所では、ちゃんと大切なことを言う。そんな挫・人間のバンドイズムと"本音"にぐっとくるフィナーレ。最新作のタイトルのとおり、まさに"散漫"に駆け抜けた全18曲は、ひとつのバンドのライヴとは思えないほどジャンルレスに振り切りながら、どこを切っても挫・人間と言えるライヴだった。
[Setlist]
1. I LOVE YOU
2. 人間やめますか?
3. 人生地獄絵図
4. オタルの光
5. 誰かを救える歌
6. 大人の事情
7. 童貞トキメキ☆パラダイス
8. ソモサン・セッパ
9. ピカデリーナ受精10. 一生のお願い
11. さよならベイベー
12. ☆君☆と☆メ☆タ☆モ☆る☆
13. マジメと云う
14. マンガよみたい
15. セルアウト禅問答
16. ダンス・スタンス・レボリューション
En1. デスサウナ
En2. アイオワの風
- 1
LIVE INFO
- 2025.10.08
-
THE ORAL CIGARETTES
TOKYOてふてふ
FOO FIGHTERS
Re:name × Enfants
JON SPENCER
MONO NO AWARE
ORCALAND × Gum-9
- 2025.10.09
-
キュウソネコカミ
Rei
OKAMOTO'S
終活クラブ
JON SPENCER
DOES
アイナ・ジ・エンド
感覚ピエロ
Hedigan's
Plastic Tree
羊文学
Kroi
- 2025.10.10
-
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
暴動クラブ × 大江慎也
Rei
SUPER BEAVER
ザ・シスターズハイ
KING BROTHERS
PEDRO
YOASOBI
moon drop
オレンジスパイニクラブ
OKAMOTO'S
the cabs
WHISPER OUT LOUD
FRONTIER BACKYARD
LEGO BIG MORL
JON SPENCER
NOMELON NOLEMON
a flood of circle
DOES
水曜日のカンパネラ
FOO FIGHTERS
キタニタツヤ
たかはしほのか(リーガルリリー)
ExWHYZ
MONOEYES
藤森元生(SAKANAMON)
大塚紗英
感覚ピエロ
ZAZEN BOYS×サニーデイ・サービス
East Of Eden
アーバンギャルド
JYOCHO
羊文学
小林私
THE SPELLBOUND
- 2025.10.11
-
終活クラブ
キュウソネコカミ
トンボコープ
Appare!
cinema staff
秋山黄色
YOASOBI
moon drop
コレサワ
OKAMOTO'S
"FM802 MINAMI WHEEL 2025"
KNOCK OUT MONKEY
INORAN
WtB
阿部真央
I Don't Like Mondays.
"京都音楽博覧会2025 in 梅小路公園"
KANA-BOON
ExWHYZ
FRONTIER BACKYARD
androp
カミナリグモ
brainchild's
フレデリック
envy × world's end girlfriend × bacho
"JUNE ROCK FESTIVAL 2025"
East Of Eden
Official髭男dism
藤沢アユミ
豆柴の大群
"TOKYO ISLAND 2025"
- 2025.10.12
-
a flood of circle
キュウソネコカミ
SUPER BEAVER
WtB
キタニタツヤ
セックスマシーン!!
WESSION FESTIVAL 2025
"FM802 MINAMI WHEEL 2025"
INORAN
"京都音楽博覧会2025 in 梅小路公園"
Omoinotake
Bimi
ART-SCHOOL
Official髭男dism
eastern youth
なきごと
"TOKYO ISLAND 2025"
- 2025.10.13
-
WtB
阿部真央
I Don't Like Mondays.
Awesome City Club
ExWHYZ
Appare!
The Biscats
brainchild's
Rei
OKAMOTO'S
秋山黄色
Age Factory
トンボコープ
CYNHN × タイトル未定 × fishbowl
"WESSION FESTIVAL 2025"
岡崎体育
"FM802 MINAMI WHEEL 2025"
シド
SCANDAL
cinema staff
Cody・Lee(李)
コレサワ
ネクライトーキー×ポップしなないで
リュックと添い寝ごはん
eastern youth
hockrockb
Omoinotake
Kroi
PIGGS
清 竜人25
Plastic Tree
ぜんぶ君のせいだ。
LiSA
"TOKYO ISLAND 2025"
- 2025.10.14
-
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
ドミコ
THE ORAL CIGARETTES
Hump Back
Survive Said The Prophet × NEE
MONOEYES
ぜんぶ君のせいだ。
超☆社会的サンダル
go!go!vanillas
武瑠 × MAQIA
- 2025.10.15
-
ドミコ
LONGMAN
PEDRO
キュウソネコカミ
MONOEYES
打首獄門同好会
アカシック
HY × マカロニえんぴつ
ポルカドットスティングレイ
藤巻亮太
- 2025.10.16
-
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
YOASOBI
PEDRO
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
"Shimokitazawa SOUND CRUISING presents. サウクルラボ vol.1"
SCANDAL
SIX LOUNGE
brainchild's
- 2025.10.17
-
挫・人間
キュウソネコカミ
打首獄門同好会
アイナ・ジ・エンド
YOASOBI
a flood of circle
ズーカラデル
LONGMAN
chilldspot
otsumami feat.mikan
リュックと添い寝ごはん
コレサワ
神聖かまってちゃん
終活クラブ
NOMELON NOLEMON
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
フラワーカンパニーズ
SUPER BEAVER
東京スカパラダイスオーケストラ
BIGMAMA
Bimi
- 2025.10.18
-
TOKYOてふてふ
伊東歌詞太郎
挫・人間
シド
OKAMOTO'S
YONA YONA WEEKENDERS
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
アイナ・ジ・エンド
moon drop
RADWIMPS
キュウソネコカミ
ぜんぶ君のせいだ。
bokula.
the cabs
SWANKY DOGS
amazarashi
INORAN
WtB
osage
"LIVE AZUMA 2025"
カミナリグモ
Cody・Lee(李)
阿部真央
Newspeak
センチミリメンタル
東京スカパラダイスオーケストラ
Keishi Tanaka × 村松 拓
"ASAGIRI JAM'25"
ズーカラデル
I Don't Like Mondays.
Victoria(MÅNESKIN) ※振替公演
ロザリーナ
the paddles
神聖かまってちゃん
LACCO TOWER
星野源
- 2025.10.19
-
DYGL
リュックと添い寝ごはん
OKAMOTO'S
Age Factory
bokula.
ぜんぶ君のせいだ。
moon drop
コレサワ
TOKYOてふてふ
RADWIMPS
SIX LOUNGE
リリカル / みじんこらっく / とにもかくにも / ティプシーズ / 台所きっちん
SUPER BEAVER
Laura day romance
WtB
Omoinotake
"LIVE AZUMA 2025"
Cody・Lee(李)
ビレッジマンズストア
SPRISE
伊東歌詞太郎
浪漫革命
LUCKY TAPES
ハンブレッダーズ / KANA-BOON / キュウソネコカミ / マカロニえんぴつ ほか
ネクライトーキー×ポップしなないで
Keishi Tanaka × 村松 拓
ナナヲアカリ
"ASAGIRI JAM'25"
高岩 遼
Sou
森 翼
SCANDAL
パピプペポは難しい
osage
星野源
PIGGS
- 2025.10.20
-
打首獄門同好会
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
TOKYOてふてふ
TenTwenty
- 2025.10.21
-
The fin.
神聖かまってちゃん
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
RELEASE INFO
- 2025.10.08
- 2025.10.10
- 2025.10.11
- 2025.10.12
- 2025.10.13
- 2025.10.14
- 2025.10.15
- 2025.10.17
- 2025.10.19
- 2025.10.22
- 2025.10.24
- 2025.10.26
- 2025.10.29
- 2025.10.30
- 2025.10.31
- 2025.11.05
FREE MAGAZINE
-
Cover Artists
OASIS
Skream! 2025年09月号