ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第3回】
2020年06月号掲載
時代が移ろうにつれて、異常も正常も変わってゆくもの。
昔はどうだった、今時はこうだ、発展した未来からすればあれはただの迷信だった、昔の人間が恐れたものは化学で証明された、理解し難し前衛的なアートは今やただの凡庸な模範へ。
セクシャリティ、マイノリティは徐々に受け入れられているし、誰の隣にもあって今ではそれを隠さず表現しても昔よりは糾弾されない、むしろ貫き通せば後ろにはそれに感化された信者が歩く。
こんな世の中では正常も異常もすぐに手のひらを返してくるし、あたしは自分の何かを異常だとも正常だとも思った事がないのです。気付けば左右反対になっていたり混ざり合っていたりと判断がつかないので。
なので、異常正常を分けた境界線の上を曖昧にのらりくらりと渡り歩いて生きておりますが、あたしの中にはひとつだけ、「それ」が異常と言われる世の中になっても、正常であると認められていても、世界の基準がどちらでもどうでもいいくらいに固執しているものがあります。
それは、私はあたしが好きだという事。
世界中が敵になろうとも味方で在りたくて、世界で一等甘やかしてあげたくて、何にも触れさせたくなくて、他人に好きと言われると嬉しい以上に独占欲と嫉妬心に苛まれるほどに、一十三四が好きなのです。私にとって宝物のような女の子なのです。
私は元々、一十三四になる前は自分に対していい感情を抱いてはいませんでした。
劣等感だらけで侘しく、紙や画面の中で真っ直ぐに立ち上がる王道ヒーローや清純で健気なヒロイン達に憧れ、そうなれるように生きていればよかったと後悔ばかりしていました。
そんな自分を、「ならばぜんぶ自分に頂戴」と奪い去ってくれたのが一十三四だったのです。
しかし体はひとつですし、別に人格が違うなどというわけでもありません。人格というよりは、究極のナルシシズムの目覚めという方がしっくりきます。
それでも私はあたしが好きで、これは恋で、妄信的に愛しています。
一十三四が自分の心の中で足を組み横柄に自由に振る舞う様に劣情すら抱きます。
子供のように笑い、女らしく強請り、雄々しく叫ぶ姿はどう見たって世界一綺麗でしょう、もうそこに異常正常の判断は不要でしょう詮無い事でしょう野暮でしょうだって愛する女がそれでいいと言っているのだから。
こんな風にただ自分が自分に恋をしている様でさえ異常正常は二律背反。
異常に感じる世の中ならば異常で正常だと言う世の中ならば正常、どうでもいい線引きは世界のすぐ返る手のひらにでも任せます。
今はどう見られているのかわかりませんが、あたしとして振る舞う時に感じる高揚感さえあれば、異常でも正常でもどちらでもよいのです。
異常ならばきっと美しく皮肉屋なあたしは「どうでもいいわ」と鼻で笑うし、正常ならばただあたしが世界で一番正しく美しい、それだけの事ですから。
ぜんぶ君のせいだ。
如月愛海(きさらぎめぐみ)、ましろ、一十三四(ひとみよつ)、凪あけぼの(なぎあけぼの)、征之丞十五時(ゆきのじょうおやつ)からなる、病みかわいいをコンセプトとしたユニット。2015年結成。2019年4月に日比谷野外大音楽堂でワンマン・ライヴを開催。5月に現体制になり、12月に新体制初のフル・アルバム『或夢命』をリリースした。
Related Column
- 2023.03.15 Updated
- ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【最終回】
- 2023.01.20 Updated
- ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第19回】
- 2022.11.16 Updated
- ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第18回】
- 2022.09.22 Updated
- ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第17回】
- 2022.07.22 Updated
- ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第16回】
- 2022.05.19 Updated
- ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第15回】
- 2022.03.18 Updated
- ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第14回】
- 2022.01.21 Updated
- ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第13回】
- 2021.11.19 Updated
- ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第12回】
- 2021.09.21 Updated
- ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第11回】
- 2021.07.21 Updated
- ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第10回】
- 2021.05.20 Updated
- ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第9回】
- 2021.03.17 Updated
- ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第8回】
- 2021.01.28 Updated
- ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第7回】
- 2020.11.18 Updated
- ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第6回】
- 2020.09.17 Updated
- ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第5回】
- 2020.07.10 Updated
- ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第4回】
- 2020.06.08 Updated
- ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第3回】
- 2020.03.18 Updated
- ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第2回】
- 2020.01.20 Updated
- ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第1回】
LIVE INFO
- 2025.10.09
-
キュウソネコカミ
Rei
OKAMOTO'S
終活クラブ
JON SPENCER
DOES
アイナ・ジ・エンド
感覚ピエロ
Hedigan's
Plastic Tree
羊文学
Kroi
- 2025.10.10
-
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
暴動クラブ × 大江慎也
Rei
SUPER BEAVER
ザ・シスターズハイ
KING BROTHERS
PEDRO
YOASOBI
moon drop
オレンジスパイニクラブ
OKAMOTO'S
the cabs
WHISPER OUT LOUD
FRONTIER BACKYARD
LEGO BIG MORL
JON SPENCER
NOMELON NOLEMON
a flood of circle
DOES
水曜日のカンパネラ
FOO FIGHTERS
キタニタツヤ
たかはしほのか(リーガルリリー)
ExWHYZ
MONOEYES
藤森元生(SAKANAMON)
大塚紗英
感覚ピエロ
ZAZEN BOYS×サニーデイ・サービス
East Of Eden
アーバンギャルド
JYOCHO
羊文学
小林私
THE SPELLBOUND
- 2025.10.11
-
終活クラブ
キュウソネコカミ
トンボコープ
Appare!
cinema staff
秋山黄色
YOASOBI
moon drop
コレサワ
OKAMOTO'S
"FM802 MINAMI WHEEL 2025"
KNOCK OUT MONKEY
INORAN
WtB
阿部真央
I Don't Like Mondays.
"京都音楽博覧会2025 in 梅小路公園"
KANA-BOON
ExWHYZ
FRONTIER BACKYARD
androp
カミナリグモ
brainchild's
フレデリック
envy × world's end girlfriend × bacho
"JUNE ROCK FESTIVAL 2025"
East Of Eden
Official髭男dism
藤沢アユミ
豆柴の大群
"TOKYO ISLAND 2025"
- 2025.10.12
-
a flood of circle
キュウソネコカミ
SUPER BEAVER
WtB
キタニタツヤ
セックスマシーン!!
WESSION FESTIVAL 2025
"FM802 MINAMI WHEEL 2025"
INORAN
"京都音楽博覧会2025 in 梅小路公園"
Omoinotake
Bimi
ART-SCHOOL
Official髭男dism
eastern youth
なきごと
"TOKYO ISLAND 2025"
- 2025.10.13
-
WtB
阿部真央
I Don't Like Mondays.
Awesome City Club
ExWHYZ
Appare!
The Biscats
brainchild's
Rei
OKAMOTO'S
秋山黄色
Age Factory
トンボコープ
CYNHN × タイトル未定 × fishbowl
"WESSION FESTIVAL 2025"
岡崎体育
"FM802 MINAMI WHEEL 2025"
シド
SCANDAL
cinema staff
Cody・Lee(李)
コレサワ
ネクライトーキー×ポップしなないで
リュックと添い寝ごはん
eastern youth
hockrockb
Omoinotake
Kroi
PIGGS
清 竜人25
Plastic Tree
ぜんぶ君のせいだ。
LiSA
"TOKYO ISLAND 2025"
- 2025.10.14
-
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
ドミコ
THE ORAL CIGARETTES
Hump Back
Survive Said The Prophet × NEE
MONOEYES
ぜんぶ君のせいだ。
超☆社会的サンダル
go!go!vanillas
武瑠 × MAQIA
- 2025.10.15
-
ドミコ
LONGMAN
PEDRO
キュウソネコカミ
MONOEYES
打首獄門同好会
アカシック
HY × マカロニえんぴつ
ポルカドットスティングレイ
藤巻亮太
- 2025.10.16
-
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
YOASOBI
PEDRO
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
"Shimokitazawa SOUND CRUISING presents. サウクルラボ vol.1"
SCANDAL
SIX LOUNGE
brainchild's
- 2025.10.17
-
挫・人間
キュウソネコカミ
打首獄門同好会
アイナ・ジ・エンド
YOASOBI
a flood of circle
ズーカラデル
LONGMAN
chilldspot
otsumami feat.mikan
リュックと添い寝ごはん
コレサワ
神聖かまってちゃん
終活クラブ
NOMELON NOLEMON
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
フラワーカンパニーズ
SUPER BEAVER
東京スカパラダイスオーケストラ
BIGMAMA
Bimi
- 2025.10.18
-
TOKYOてふてふ
伊東歌詞太郎
挫・人間
シド
OKAMOTO'S
YONA YONA WEEKENDERS
ENTH × SPARK!!SOUND!!SHOW!!
アイナ・ジ・エンド
moon drop
RADWIMPS
キュウソネコカミ
ぜんぶ君のせいだ。
bokula.
the cabs
SWANKY DOGS
amazarashi
INORAN
WtB
osage
"LIVE AZUMA 2025"
カミナリグモ
Cody・Lee(李)
阿部真央
Newspeak
センチミリメンタル
東京スカパラダイスオーケストラ
Keishi Tanaka × 村松 拓
"ASAGIRI JAM'25"
ズーカラデル
I Don't Like Mondays.
Victoria(MÅNESKIN) ※振替公演
ロザリーナ
the paddles
神聖かまってちゃん
LACCO TOWER
星野源
- 2025.10.19
-
DYGL
リュックと添い寝ごはん
OKAMOTO'S
Age Factory
bokula.
ぜんぶ君のせいだ。
moon drop
コレサワ
TOKYOてふてふ
RADWIMPS
SIX LOUNGE
リリカル / みじんこらっく / とにもかくにも / ティプシーズ / 台所きっちん
SUPER BEAVER
Laura day romance
WtB
Omoinotake
"LIVE AZUMA 2025"
Cody・Lee(李)
ビレッジマンズストア
SPRISE
伊東歌詞太郎
浪漫革命
LUCKY TAPES
ハンブレッダーズ / KANA-BOON / キュウソネコカミ / マカロニえんぴつ ほか
ネクライトーキー×ポップしなないで
Keishi Tanaka × 村松 拓
ナナヲアカリ
"ASAGIRI JAM'25"
高岩 遼
Sou
森 翼
SCANDAL
パピプペポは難しい
osage
星野源
PIGGS
- 2025.10.20
-
打首獄門同好会
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
TOKYOてふてふ
TenTwenty
- 2025.10.21
-
The fin.
神聖かまってちゃん
ASIAN KUNG-FU GENERATION × ASH
- 2025.10.22
-
ザ・シスターズハイ
打首獄門同好会
キュウソネコカミ
ハク。× YONLAPA
ザ・ダービーズ
MONOEYES
挫・人間
VOI SQUARE CAT
kiki vivi lily
RELEASE INFO
- 2025.10.09
- 2025.10.10
- 2025.10.11
- 2025.10.12
- 2025.10.13
- 2025.10.14
- 2025.10.15
- 2025.10.17
- 2025.10.19
- 2025.10.22
- 2025.10.24
- 2025.10.26
- 2025.10.29
- 2025.10.30
- 2025.10.31
- 2025.11.05
FREE MAGAZINE

-
Cover Artists
OASIS
Skream! 2025年09月号































