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COLUMN

ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第11回】

2021年09月号掲載

ぜんぶ君のせいだ。の"異常こそ正常だ。"【第11回】

ぜんぶ君のせいだ。

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ぜんぶ君のせいだ。如月愛海です。
『自分の中には無数の人が住んでいる』と、よく思います。

小さい頃、学校の教科書やテスト用紙に隙間を見つけると文字を書いていました。
目に入ったもの、事柄から、発展していく空想や想像、一瞬でその世界に行っては、断片的な物語をメモのように残し。
読み返すと、面白いくらい鮮明に何度でもその物語を感じることができる。

それが癖付いているのか、今も私のスマホやパソコンの中は物語の端っこを残したメモだらけです。

例えば、「ミルクティーとアップルパイ」。
カフェでご飯を食べていた時にメモしたものです。不思議なことに私が飲んでいたのは煎茶、そのお店にはアップルパイなんて置いていません。
ただ、このメモで今も鮮明に思い出します。物語の端っこを。
「ミルクティーとアップルパイ」
僕は昔、この店でアップルパイを注文した。
アップルパイは少し食べ辛く、こぼさないように両手でしっかり持って丁寧に食べていた。それでもポロポロと端が落ちていく。それを見て、真向かいに座る美人な友人がクスクスと笑ったのだ。僕は食べにくくなり、満腹のふりをしてアップルパイを皿に戻した。それを見て、またその友人は笑ったのだ。 最近、僕はアップルパイが苦手になった。笑われたからじゃない、彼女の笑顔を思い出すからだ。

物語には続きがあるのですが、こうして何度もメモを見て思い出してはその世界に一瞬で入れる。ありきたりな物語もあれば、突拍子もないものもあり、ぜんぶ君のせいだ。に入ってからも、このメモ癖は止まっていません。
それどころか、このメモから本(縁罪)を出すことにまで。有難いことですが、不思議な感覚でした。
自分自身の物語はぜんぶ君のせいだ。の中にいる如月愛海として今なお終わりなく継続中です。でも、自分の中にいる無数の主人公たちが勝手にわーわーと自分の物語を話し出すのです。何かをきっかけに。その結果、物語を書いてみた後、自分が書いたとゆう感覚がまるでありません。メモも物語自体も、いつでもそこに一瞬で行くための道具に近いです。ドラえもんのタケコプターとかどこでもドアみたいな。我ながら便利な道具と能力を身につけたなぁ、と。

その甲斐あってなのか、歌詞を書く機会も多く有ります。たっぷりと自分の道具を使わせてもらっています。曲を聞くとすぐにワンフレーズが出てきて、そのワンフレーズからグループに重ねていったり物語を形成したり。公に、物思いに耽て良いですよと言われるようで、歌詞を書くことも、とても好きです。


本を出させてもらうことになった際、周りにいる方、メンバーに先に読んでもらいました。自分的にはそこまで強く分かりませんが、自分が書いたものを見てくれた方は私が書いた本っぽいと言っていたり。きっとどんな主人公が物語を広げてきても世に落とすのが自分だから、そうなるんだろうなと思います。それくらい、物語を作ることに感覚がないです。

映画や本、ドラマなど見過ぎなくらい見過ぎてきた結果、自分の頭の中で物語を作成するまで至ったのか。小さい頃あまり過ごしたい場所がなく、過ごしたい場所を頭の中で創造していたのか。きっかけはもう全く覚えていませんが、無数の人間が自分の中に存在しているなら無数の人間の人生を歩めないかなと思って役者を目指し、縁あって今のグループに居ます。
かっこよく言ってみようとしましたが、だめだ、笑ってしまいました。
実際は自分の中にいる無数の人もぜんぶ自分が創り出した、ワガママの具現化。将来の夢がありすぎて決められなかった私が、ぜんぶできる役者になりたいと思った、あの頃のまま、欲張りな考えのまま今も全人生を楽しみたいと思ってる。その結果の、メモ魔、です。
そんなこと百も承知で、きっとこれからもメモは増え続け、ふとした瞬間に自分の中にいる主人公たちと一緒に過ごすんだと思います。

自分の人生自体もこうなるとは全く思っていなかったため、不思議な感じです。
物語も人生もいつも突然でなかなか面白いです。

自分の人生とは別で、隣にはずっと幾多の物語の『端っこ』がついてきてくれている。なかなか面白い脳内してるでしょう?

ぜんぶ君のせいだ。

如月愛海(きさらぎめぐみ)、征之丞十五時(ゆきのじょうおやつ)、甘福氐 喑(あまねちあん)、もとちか襲(もとちか かさね)、雫ふふ(しずくふふ)、メイユイメイ、个喆(こてつ)からなる病みかわいいをコンセプトとしたユニット。2015年結成。2021年2月に現体制初のシングル『堕堕』を発表。5月より47都道府県ツアーを開催中。6月には現体制での再録アルバム2作目『Q.E.D.bi』をリリースした。