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INTERVIEW

Japanese

ぜんぶ君のせいだ。

2025年02月号掲載

ぜんぶ君のせいだ。

Member:如月愛海 メイユイメイ 寝こもち むく 煌乃光

Interviewer:吉羽 さおり

2024年11月から3ヶ月連続でシングルをリリースしてきたぜんぶ君のせいだ。(以下:ぜん君。)。「こゆび」、「眩盲暈詩」に続きラストを「Sleeping Dirty」が飾り、三曲三様で加速度的に進化を続けるグループの今を提示する曲となった。昨年3月にむく、煌乃光が加わり再始動、Skream!ではその夏に発表した「蓮華粧」で新体制初のインタビューを行ったが(※2024年8月号掲載)、そこから怒濤のツアーを重ね、今回の3曲では5人それぞれの個性やグループとしての空気感がよりあらわに。新しい形であり、タフさに磨きが掛かっているが、活動の原点からの感情や妄想がつんのめったかわいさも顔を出す、そんな曲や表現もまた見えてきた。ツアーを行うごとに新たなファンが増え、古くからの患い(※ぜん君。ファンの呼称)が戻ってきてくれることも増えたというのは、惜しみなくフル・スロットルなぜん君。に魅せられているからだろうか。


今回のツアーを終えたらぜん君。としての新たな目標を決めたい


-2025年に入り、すでに[ぜんぶ君のせいだ。× TOKYOてふてふ SPLIT TOUR "NEO ROMANCE BUTTERFLY"]がスタートしています。2024年もライヴを中心に全速力で走ってきて、こうしてまた新たなツアーが始まって、今のグループの感触や変化していること等はありますか。

むく:まとまっていると思います!

煌乃光:簡潔(笑)。

むく:5人それぞれ個性が違う、その違いがあってこそのぜん君。だなって思うんですけど、自分でも個性が出てきたなと感じているので、今すごくぜん君。っぽくなってきているのではないのかなって。

煌乃光:たしかに。前のツアーもみんな仲良く回っていたんですけど、どんどん素が出てきた感じで。普段から何も隠すことなく、このままの煌乃光をバーン! とメンバーに出せるようになっていて。ライヴでも、そういう"自分"が出るようになったなと思います。

-そのそれぞれの個が立っているのは、3ヶ月連続でリリースされたシングル「こゆび」、「眩盲暈詩」、「Sleeping Dirty」にも出ていると思います。三曲三様で5人がしっかりパッケージされたなと。

如月愛海:新体制で初めて「蓮華粧」を出したときに、思ったよりもまとまりすぎてるなって思っちゃったんですよね、私は。

メイユイメイ:あぁ、分かる。

如月愛海:今までの作品よりも"これって1人か2人で歌ってるんじゃないか"という感じがあったんですけど、「こゆび」からまた賑やかになりだしてきて。「蓮華粧」はむくと光にとっては初めてのぜん君。としての曲だったこともあったし。

煌乃光:やっぱりガチガチだったんだろうなって思う。

如月愛海:「こゆび」からみんなの声質が分かりやすくなってきていて。それが出たほうがぜん君。としては嬉しいし、いいほうに進んでいるぜーって思ってます。

寝こもち:ごちゃごちゃ感があったほうがぜん君。っぽいもんね。

-第1弾の「こゆび」は曲調としてもカオスでアグレッシヴで、遊びも映える曲になっていましたしね。

如月愛海:最近観に来てくれるようになった患いさんは「こゆび」にアガりたいらしくて。

煌乃光:聞かれるもん、"今日は「こゆび」やるの?"って。

如月愛海:その人たちからしたら、自分にとってのぜん君。のスタートが「こゆび」になっているのかもしれない。

-すごくいいことですよね。グループとしての活動は長くなりますが、新曲を入口にファンになってライヴに足を運んでくれているっていうのは。実際「こゆび」という曲が来たときはどう思いましたか。

寝こもち:"こゆび"っていうタイトルを見たときにエモい系が来たと思っていたら"うおーい!"みたいなのが来たから、"そっちなんだ!?"って。

煌乃光:そのギャップがすごくいいよね。タイトルだけを見るとひらがなでかわいい感じもあるけど、聴いてみたら拳が上がる曲で。

如月愛海:曲の展開も速いし、ライヴのときも拳を上げろとかは言ってないんですけど、自然と上げてくれたりとか。

むく:"オイオイ!"してくれるもんね。

煌乃光:その"オイオイ!"の声もみんな吠えてる感じで。いいなぁって思って。

メイユイメイ:1発目のライヴからこれが1回目の披露とは思えないくらいの盛り上がりで。それは自分たちもそうでしたね。ライヴ映えする曲だなと。

如月愛海:完成度が高いというかね。

寝こもち:馴染んでいたしね。

如月愛海:もはや昔の曲の感覚だよね。

-これは盛り上がるだろうなとは思うんですが、曲としてはかなり難易度が高いじゃないですか。それでも馴染みは早かったんですね。

如月愛海:むくと光という新たなメンバーが2人入りましたけど、技術的な面で下がることがなかったんです。それがすごいなと思っていて。昔からぜん君。は展開が速い曲が多くて、きれいには聞こえなくても楽しさが伝わればいいなっていう感じで歌っていたけど、活動の年数を重ねてくるとそれぞれ歌い方や表現で少しずつ技術を身に付けてくるじゃないですか。スキルが上がっている状態で今一緒に歌えているので、それはありがたいなと思っています。

煌乃光:やった、嬉しい。

如月愛海:っていうのは普段調子に乗るから言わないけど(笑)。でも2人とも純粋に歌うことに真面目に取り組んでくれているから、どんな曲もあまり心配してないし、歌えているので。それがいいなと思っていて。

煌乃光:分からないところは聞けばみんなすぐに教えてくれて。そういうことで支えてくれるから、新しい曲でもガツンといけるんです。

如月愛海:まぁ、歌ってる内容は今回もエグいですけどね。

メイユイメイ:今回は"「小指賭けてご覧」"って歌だからね。

むく:今までは小指といえば"繋ぐ"とかが多かったのに。

如月愛海:小指を賭けるくらいの強さを持っていかないと、という思いがあるんですよね。ぜん君。のキャリアで言えば10年目なんですが、これまで寄り添ってきてくれた人たちで、(日本)武道館公演("ぜんぶ君のせいだ。日本武道館 単独公演〜この指とまれ〜")を終えて去っていった人も多いんですよ。グループとして目標としていたところに一緒に行けたっていうことで。

-ファンとしても、1つの達成感を得た感覚があったかもしれないですね。

如月愛海:あそこで達成感とか卒業感があって。でもうちらはまだ進みたいから、進みたいっていう気持ちを前面に出さないと──ずっと応援してくれている人も、新しく応援してくれている人も、うちらが次に目指すところがどこなのかがたぶんまだ分からないと思うんで、そういう思いも込めて楽曲で強く"賭けろ"って言ってるんです。またいい未来を見せなきゃいけないというか。そういう意味でも、ぜん君。に一回お主の人生を......土日だけでも預けてみないかっていう(笑)。そういうところはありますね。

-この新体制となってからは、明確に"今ここを目指して進んでいるよ"とは特に言ってないですよね。

メイユイメイ:実は今回のツアーが終わったら、目標を決めたいねって話をしているんです。

-約1年走ってきたからこそ見えてきた景色もある、という感覚ですかね。

如月愛海:それもありますし、今は武道館以降の新体制となったグループを推してくれている人も結構多いんですけど、"また武道館行ってよ"って言われてもすぐには答えられないんですよね。私たちはその夢の重さが分かっているので。そうなってくると、むくと光も今は"楽しい"とか"成長しよう"があると思うけど、目標を決めるとそこに背負うものが乗っかってきたりする。そういうものに対して5人が受け入れられるタイミングで決めたいと思っていて──ってすごく真面目なこと言ってますけど(笑)。適当に言っていいなら全然あるんですよ、歌番組出たいなとか、全国の公民館を回るツアーをしたいなとか。

寝こもち:公民館でのライヴはよく言ってるよね。

如月愛海:ちゃんとグループとして行きたいところを決めるのであれば、ツアーが終わってから、1年で成長し切ってからにしたいなと思ってます。

-そして3ヶ月連続リリースの第2弾が12月にリリースした「眩盲暈詩」です。

如月愛海:実はこの曲はライヴでまだ披露をしていないんです(※取材は1月中旬)。これが掲載される頃にやっているのかなっていうのも分からないんですけど。

-ぜん君。はライヴで新曲をどんどん披露していくことが多いなかで、そのパターンって珍しいですよね?

如月愛海:珍しいんですよ。この曲は振付があるということもあるんですけど、どちらかといえば流れ的に「眩盲暈詩」のほうが、「こゆび」よりもっとガチャガチャとした遊びが多いタイプの曲で。「こゆび」はかっこいいガチャガチャ感があるんですけど、「眩盲暈詩」は──。

メイユイメイ:よりポップな感じだよね。

如月愛海:3ヶ月連続リリースで「こゆび」、「眩盲暈詩」、そして「Sleeping Dirty」と続くんですけど、ライヴでは先に「Sleeping Dirty」を披露しているんです。