Japanese
ぜんぶ君のせいだ。
2025年02月号掲載
Member:如月愛海 メイユイメイ 寝こもち むく 煌乃光
Interviewer:吉羽 さおり
-たしかに「Sleeping Dirty」は前2曲とは色合いが変わる曲調ですしね。
如月愛海:「こゆび」、「眩盲暈詩」、「Sleeping Dirty」という流れは、3ヶ月連続リリースの流れとしては合ってるんですけど、ライヴで披露するとなると「Sleeping Dirty」を先にやることでより印象が強くなるというか。「眩盲暈詩」はどうなるんですかっていう空気もヒシヒシ感じてますけど。
メイユイメイ:もったいぶってる(笑)。
煌乃光:"こっち(「Sleeping Dirty」)先にやるんだ?"ってめっちゃ言われるし。
-では先に「Sleeping Dirty」の話を聞きたいと思いますが、こちらもまたライヴでの強力な1曲になりそうですよね、かっこいいぜん君。が見られる曲で。
如月愛海:ちょっと昔を思い出すんですよね。「常花」(2018年リリースの4thフル・アルバム『NEORDER NATION』収録曲)とかそっち系の感じもあって、よりエモさが強くて。思っているよりもストレートに響く曲で。
メイユイメイ:私も最初にデモを貰ったときから、3作の中で一番好きな曲調だなって思っていて。むくは高い、かわいい声の印象のほうが強いけど、案外低音が映えているなって思うし。むくとこもちの並びがいいなぁとか。みんなで歌をバトンタッチしていく感じがすごく好きで。そういうのが、「Sleeping Dirty」が一番曲調的にも分かりやすくて、新しく感じることが多かったですね。特におめぐ(如月愛海)が歌う"「戻れなくていい」"っていうところがいい、すごくまっすぐで。
如月愛海:戻る気ないから。過去に縋ってないからね。
煌乃光:私はこういうどっしりとした歌は初めてだったから、新しい自分を見つけられた気がします。こういう曲は自分に似合うと思ってなかったんです。意外と声、かわいいじゃないですか。
如月愛海:澄んだヴォーカルだよね(笑)。
煌乃光:かっこいい感じの歌声ではないのかなって自分で思っていたので、こういう曲もいけるんだって思えました。
メイユイメイ:光のそのまっすぐな声も映えていてすごくいい感じだった。
寝こもち:ぜん君。って本当にオールジャンルだなって思うんですけど、この曲も最初に聴いたときに、"ぜん君。って10年やってきてまだ新鮮味が感じられるんだ"と思った。こもちやむくは、もともと患いとして初期からぜん君。の曲を聴いていたので、まだ"うわ、新しい!"って感覚になれるのが嬉しいんですよね。歌うのも楽しみだったし。ただ歌詞を読んだときに、これは歌うのには覚悟が必要な曲だなと思ったし、レコーディングでみんなの声を入れていって、完成に近づくたびにより重くなっていって。ちょっとライヴでやるのが怖かったんですけど、初披露したときにそれぞれの覚悟みたいなものも感じられて嬉しかった。
むく:むくは、今までのレコーディングで一番叫んだ曲でした。"ひとりじゃきえない ふたり様のこたえ"というパートがあるんですけど、この最後の"え"の叫びで新しい扉を開いたなって気がして。ライヴでやったらかっこいいなと。でも歌詞はすごく重たい、ヘヴィな内容だから、全ての思いを伝えられるように、ライヴで一番かっこ良く伝えられるように頑張ろうと思っている歌です。
-ライヴではお客さんが目の前にいるからこそより気持ちが乗りますね。
煌乃光:"覚めることない夢だけ見て 明日などない世界に光を"って全員で歌うパートがあるんですけど、ここがすごくヤバいです。好きなパートでしたけど、レコーディングでは1人ずつ録っていたから、ライヴで初めてやったときに5人の思いが凄まじいパワーを生んでいて。今思い返しても泣きそうなくらい、より大切な曲になっていく気がします。
-ここでまたいろんな思いが加速していくんだよ、っていうのが聴こえてきます。
如月愛海:夢を追いかけるのって楽しいですけど、苦しいことなので。その重みは伝わるのかなって思いますね。「こゆび」も「眩盲暈詩」もそうなんですけど、例えばこもちは兼任していた星歴13夜の活動を終えたり、むくと光は加入して1つのワンマン・ツアー([26都市LIVEHOUSE53公演〜YMKAWIIちぬるTOUR〜])を終えたり、私とメイはNot Secured,Loose Endsでの活動が1周年を迎えたりとか、いろんなタイミングがあって。「こゆび」も「眩盲暈詩」も「Sleeping Dirty」も、各々が自分の中で何かの節目や終止符を思い出せるじゃないけど、そういうタイミングだったんです。3曲で、それぞれ大事なところを歌っていたりもする。私はよく"お前たち、ぜん君。やれるのか?"ってみんなに言ってるんですけど。
寝こもち:もはや口癖だよね。
如月愛海:やっぱり続けていくのってつらいことも多いし、大変なことですから。ぜん君。でいることの意味じゃないけど、それをそれぞれが見いだしてくれたらいいなと思っているんです。例えばの話、もし誰かが抜けますってなったら、その人のパートを歌うって結構重いことじゃない?
-その人が歌っていた思いを受け継ぐことにもなりますしね。
如月愛海:新しいものも見せないといけないけど、その人がここまで繋いできたものも見せなきゃいけない。これってなかなか難しくて。ここまでのぜん君。の歴史でそういう経験をしてきた身としては、一個一個、歌うフレーズへの責任感じゃないですけど、伝えることの大切さを感じてほしいなと思っていて。今回は3曲ともそれぞれ長尺で歌うパートがあったり、各々エモいパートや"伝える"パートを貰っていたりするんですよね。それがみんなに伝わっていったらいい、今の5人の時代をみんなに植え付けられたらいいなと。そう思うからこそ"ぜん君。やれんの?"って。
むく:うん、やれるの!
如月愛海:やれるらしいです(笑)。ただね、この重鎮たち(メイユイメイ、寝こもち)は"やれんの?"って聞いても、すぐ答えてくれないんですよ。
寝こもち:まーた言ってるよって感じで(笑)。
メイユイメイ:今日何回目だっていう感じでね(笑)。
-では改めて、「眩盲暈詩」のほうはどのような楽曲なんでしょうか。
メイユイメイ:曲調的には3曲の中でも一番せわしなくて、すごくぜん君。っぽいなっていう曲なんですよね。
如月愛海:昔からぜん君。が好きな人が好きな曲調だって言われましたね。そういう意味も込めて、歌い出しが自分なのもいい流れだなと思うし。歌詞的にかなり"ぜん君。"だよね。世界にうちらと君しかいないみたいな。
むく:むくは、こもちゃん(寝こもち)が歌う"ぼくは僕が嫌い/でも君を想えるぼくは/ちょっとは...好き"っていうのがかわいい歌詞だなって。分かるよっていう。
如月愛海:恋に恋してる感じがぜん君。っぽい。10年経っても根は変わらないんだなっていう。最初から、恋に恋してる女の子の感じがあったじゃないですか。恋に恋して病んでるみたいな。「こゆび」ではちょっと怖いところを見せちゃったから。
寝こもち:一回、ここでかわいいところも見せておかないとね。
煌乃光:そこのパートはみんな"私もそう"っていう感じがあるかな。患いさんへの気持ちが入る感じもあるから。
如月愛海:分かる、個人的には「僕喰賜君ノ全ヲ」(2016年リリースの2ndシングル表題曲)を思い出す感じで。この曲の"僕に成って 君に逢えた それが唯一の誇り"と同じ感覚があって。患いさんありきというか。だって目標だった武道館を終えても、ツアーを回るといろんなところで待っていてくれて、しかも今も患いさんが増えている状況って、よく分からないよね。
寝こもち:すごいことだと思う。
-10年間グループとして続けていくことって並大抵ではないし、形は変わっているかもしれないけれど、名前も精神も変わることなく、一緒に患いさんと歳も重ねていける存在ってなかなかいないと思いますよ。
如月愛海:ありがたいことに元患いのメンバーもいますしね。それこそ一緒に歳を重ねてくれている人もいて。そりゃ世の中に新しいものがどんどん出てくるし、"たしか私たちのこと好きでしたよね?"って思うこともあるけど、4~5年前にライヴに来てくれていた人が、今また戻ってきてくれていたりもするんですね。きっとみんなの中にずっとぜん君。の曲があるんだろうなと思うと、言ってることは変えたくないなって。「眩盲暈詩」にはそれが入っているなと思います。
煌乃光:"やっぱ好きだな"の"やっぱ"ってめちゃくちゃ大切だもんね。
メイユイメイ:自分にもあるよね。昔自分が好きだったバンドとかが急に聴きたくなったりして、検索してみたら"まだ活動してるんだ!"って嬉しくなることが。そういう感覚が今、患いさんにも起きてるのかもしれない。
寝こもち:ただやっぱり、ちゃんと1年くらい同じメンバーで活動を続けてないと、始まったということも知らない人がいるんです。あとは、どうなるのかなって様子を見ちゃったりもするじゃないですか。
如月愛海:自分が推してる人が抜けてしまうって悲しいじゃないですか。
寝こもち:それだけでもう知らないグループに感じちゃうのかな。
如月愛海:全くそんなことはないんですけどね。同じくらいこちらも苦しみを背負っているし、私たちはそのみんなが感じる思いも伝えられるから。さらに、新しい命を吹き込んでくれたり、ぜん君。が最後のグループだと思って頑張りますって人がいたり、患いの時代から愛してくれていて、ぜん君。の歌を歌うのが好きですっていう人がいてくれたりすることで、新たに知ってくれた人がいたり、昔から応援してくれていた人も、また応援しようと思い始めてくれているのが今で。それがすごく嬉しいんですよね。
寝こもち:だからこそ、今回の3ヶ月連続リリースが超大事だなと思っているんです。このメンバーでぜん君。まだやっていくよっていう覚悟とか頑張る姿勢が伝わらなかったら、もうファンは帰ってきてくれないと思うから。だからこそ今回っているツアーも、TOKYOてふてふとの対バンという形ではありますけど、デカいところでやるワンマンくらいの気持ちで全部やらなきゃなって考えてます。
如月愛海:じゃあ"ぜん君。やれんの?"って聞いたときに"やれる"って言ってくれる(笑)?
寝こもち:だって何回も聞くじゃん(笑)。なんか恥ずかしい。
如月愛海:素直じゃないんですよ。
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