Japanese
ぜんぶ君のせいだ。
2021年04月号掲載
Member:如月愛海 征之丞十五時 甘福氐 喑 もとちか襲 雫ふふ メイユイメイ 个喆
Interviewer:吉羽 さおり
今年新体制の7人となったぜんぶ君のせいだ。が、再録アルバム『Q.E.D.mono』をリリース。これまでもメンバーが代わった際になど、再録アルバムを出しており、その変遷や色合いの違い、その時々の個性を楽しめる作品になっていたが、今回はこれがぜん君。(ぜんぶ君のせいだ。)であるという決意が色濃い作品になっている。そんな意味合いを込めてのタイトルである。グループとしてはスタートして今年で6年。その初期の曲から、節目に発表してきた曲、ライヴ定番曲など全14曲が並ぶ。ずっと追ってきた"患い"と呼ばれるファンにとっては、頭から終わりまで聴くことで、この6年と現在進行形のぜん君。が美しく重なっていくストーリーが見えるかもしれない。また初めて手に取る人には、サウンド、歌ともに精度が上がった、洗練されたポップ・ミュージックに触れる機会にもなりそう。再録ではあるが、スタンダードなアルバムとして聴いてほしい1枚だ。
-昨年11月にZepp DiverCity(TOKYO)からスタートした全国47都道府県ツアー"re:voke tour for 47"も、このインタビューをしている3月中旬時点で残すところわずかとなりました。短期間で凝縮したツアーでしたが、そこで磨き上げてきたものが、今回の再録『Q.E.D.mono』に収録されたという感じですね。改めて、こうして7人で再構築した作品にどんな手応えがありますか?
メイユイメイ:こうしてぜん君。に加入するずっと前から聴いていた曲で、全部が知っている曲だったので。それほどぜん君。にとっても重要な曲なんだなって改めて思いました。"Q.E.D."もこれで証明完了という意味で、7人でこれからずっと進んでいくよってことの証明にもとれる再録になったなと。
-今回のタイトルは"Q.E.D.mono"ですね。この"mono"というのは?
如月愛海:これは、"ひとつの形として成り立ちました"という感じですね。証明というか、"この形になった"ってニュアンスに近いのかな。ぜん君。が、ひとつのものとして形になったというか。なので、どちらかというと"mono"って言葉が先にある感じだと思います。
-これまでも何度か節目となる時期、メンバーが代わった際に再録アルバムをリリースしてきましたが、今回の再録はよりストーリー性を感じる内容だなと思っています。選曲はどういう基準だったんでしょう?
如月愛海:選曲に関してはレーベルや社長にお任せだったんですけど。前回、2019年の再録アルバム『LIVE or DIE~ちぬいち~』、『LIVE or DIE~ちぬに~』はライヴでよくやる曲が中心で、そのときのメンバーで絶対聴いてほしい曲、聴いてライヴに足を運んでほしいという思いが強かったんです。でも、今回はこのアルバム1枚を聴いてくれるだけで、この7人の決意や、思いが伝わるような、ひとつひとつの曲に7人が自然と込めている感情というのがすごく出ているなと思います。「WORLD END CRISIS」から始まるのもそうだし、最後の曲「ぜんぶ僕のせいだ。」もそうですけど。続いていく物語の中で、"今の心情"が入っている楽曲が多いなと思います。
もとちか襲:当たり前ですけど、あとから加入した私たちにとっては、以前のメンバーが歌っていた曲でもあるじゃないですか。なので、最初はどこか、自分たちの曲じゃないというのがあったんです。それを今回の47都道府県ツアー"re:voke tour for 47"で自分たちのものにしていく、感覚を掴んでいくという感じで。この再録で、今の7人のぜん君。の曲たちだぞっていうのがすごく伝わるアルバムになったなと思います。
-現在の7人体制となって、より声のグラデーションが繊細になったのもそうだし、曲の色味が変わって聞こえてきます。なんというか、曲をもう1回輝かせるんだって思いを感じますね。
如月愛海:そうですね。これまでももちろん、それぞれの声質や、歌い方の違いというものがあって作ってきたんですけど。7人の意志が、こんなにひとつになることってあるのかなと思いました。人数が増えてれば、思いもバラバラだったりもするし、大変じゃないですか。だけど、みんなこれをぜん君。としての最後の形にしたいっていう思いが絶対的にあるので。そこが合致しているぶん、レコーディングのときにみんなが歌っているのをちょっとずつ聴いていたんですけど、"こういうニュアンスなんだ、わかるな"とか"ここはこうしたいよね"とか、そういうのも一個一個伝わってきたんですよ。自分はぜん君。に約6年いるけど、歌っていてあまり違和感がなかったんです。
-それくらい、すでにしっくりくるものになっていると。
如月愛海:ライヴを重ねてきたなかでレコーディングしているので、昨年加入した3人(甘福氐 喑、もとちか襲、雫ふふ)は、最初は曲に合わせにいくという感じだったけど。襲がよく言ってるけど、外から見ていたのと実際にグループに入ったのとでは、曲の意味も変わってくるし。そういうものがどんどん出せていたのではと思います。
-では、それぞれ印象的な曲、思い入れのある曲を挙げていきましょうか。
甘福氐 喑:「メスゲノムフェノメノン」は、ぜん君。っぽい片思いの歌じゃなくて、"女の子"に向けての歌、応援歌で。7人の女の子が集まって、各々の女の子像が曲にギュっと集まっているんですよね。"私を見て!"っていう曲でもあるし。7人のそれぞれの"かわいい"と、私を見てっていう自己主張がすごく入っているなと再録をして改めて思いました。
征之丞十五時:まずこの選曲を貰ったとき、十五時が加入してからの曲も多いなって思ったんですけど。ぜん君。の征之丞十五時として、初めてダンスの練習をしたのが「キミ君シンドロームX」で、歌を練習したのが「革鳴前夜」だったんです。レコーディングをしていても、自分がぜん君。になったときのことをすごく思い出して。エモい1枚だなって思います。
-どの曲も大事ですが、特に「革鳴前夜」はぜん君。にとってはここぞという曲に披露する曲であり、ここからまた行くんだっていう強い意志が込められた曲ですね。それが曲順でいうと2曲目に出てきて、この7人での物語を始めていく感じが最高だなって思います。
如月愛海:1曲目の「WORLD END CRISIS」が、歌詞の流れで言えば闇落ちじゃないけど、圧倒的な孤独を歌っている曲で。あなたとの世界の終わりを感じるような曲を最初に持ってきて、2曲目が「革鳴前夜」で。終わりからの始まり、というのがすごく強いですよね。しかも「革鳴前夜」では"決して 離さないと決めたよ"って歌っているじゃないですか。終わると感じていたところから、離さないって、もう一生一緒にいるしかないじゃないですか(笑)。堕ちるでも前を向くのでも、後ろを振り返るのでも絶対一緒にいないとダメだよっていうのを、この最初の2曲で言ってるのが、すごくぜん君。っぽくて。
-はい。この2曲で、ぜん君。の6年分の歴史を凝縮して見せている。そんな濃さがあります。
メイユイメイ:1曲目から2曲目への流れで、手を差し伸べるじゃないけど、引き上げられる感じがあるんですよね。
如月愛海:きっと、すごい地獄だろうけどね(笑)。
征之丞十五時:ズブズブだからね(笑)。
如月愛海:でも、そこから楽しい曲やかわいい曲が待っていて、エモい曲に繋がっていくというのが、ぜん君。特有の、本当に情緒溢れる1枚だなって思う。
-个喆さんは今回どの曲が印象深いですか?
个喆:个喆は加入前から、「せきららららいおっと」がずっと好きで。それは、かわいいイメージの遊んだ曲だから、大好きだったんです。この曲は勝手に、学生時代を想像していて、片思いで相手は振り向いてくれなくて、"ぜーんぜん結ばれない~なんで~!?"っていうかわいい女の子のつもりで歌ってます。それに対して十五時が、"ハッハッハッハ"って笑うところがあって。こういう子が学校にいたら絶対友達になりたいなって思いました。
如月愛海:あ、なりたいほうなんだ(笑)。
个喆:片思いだけど、元気が出るフレーズがたくさん挟まれてるから、楽しくなっちゃって。
雫ふふ:ふふは个喆が歌う"ぽんぽん楽しいっ笑"っていうところがすごく好き。今までにない楽しさになってて。
个喆:よかった(笑)。レコーディングのとき、最初に歌ったのが全然楽しくなさそうだったみたいで、ディレクションをしてくれるsyvaさんに、"ちょっとつまらないな"って言われて。そこから、いろんなやり方で録りまくったんです。最終的にはリズムをガタガタにしてみようとなって、それで今の、ぽん↑ぽん↓みたいな感じになりました。
如月愛海:文章で表現しづらいわ(笑)。
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