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INTERVIEW

Japanese

ぜんぶ君のせいだ。

2019年11月号掲載

ぜんぶ君のせいだ。

Member:如月愛海 ましろ 一十三四 征之丞十五時 凪あけぼの

Interviewer:吉羽 さおり

7月の新体制初リリースのシングル『AntiIyours』から早くも、第2弾で通算10作目となるニュー・シングル『ぜんぶ僕のせいだ。』がリリース。活動4年目、そして10作目にして"僕のせいだ"と名付けた今作。ただここには、不甲斐なさや弱さを背負い込んでいくようなヘヴィさはなく、自分の心を切り開いてその小さな心臓にちょっとため息をつきながらも、それでもここまでいろんなことを乗り越えて生きてきたという、確かな自信と勇気とを確認するような温かで優しい強さがある。僕は生きる。だから、君は君のままで生きて。その思いをまっすぐに伝えるとてもいい歌だ。現在、全国ツアー"CULT CHAOS CUTIE TOUR 2019"真っ最中だが、5人体制となってステージを重ねながら互いの心を繋いでいる、その姿が透けて見えるようなシングルである。


"誰にも邪魔されてない私たちの声"になりました


-ついにこの"ぜんぶ僕のせいだ。"というタイトルのシングル曲がリリースになりました。そしてこれが、とってもいい曲でグッと刺さりますね。

如月愛海:そうなんですよ。これがemoですという。

ましろ:やっと、やっとできるようになりましたね。いろんなものを超えてきて、ついにこういう形で作れるようになったという感じで。

-歌詞が送られてきたとき、どう思いましたか?

如月愛海:今までは"君のせい、君のせい"と歌いながらも、たぶん自分を責めるとかしかできなかったところが、やっとお互いを認めようとしたんだなっていうのが強いなと思って。やっと"ぜんぶ僕のせい"って言えたっていう。

一十三四:最初に歌詞がきたとき、これは喩えだけど、地元でブイブイ言わせてた先輩が──

如月愛海:どんな喩え!?

一十三四:久しぶりに会ったときにすごく丸くなってた感覚になっちゃって。あぁ、きっといろんなことがあって、優しくなれたんだなっていうかね(笑)。

如月愛海:なるほどね(笑)。

凪あけぼの:ぼの(凪あけぼの)は初めて歌詞を見たときに、ぜんぶ君のせいだ。そのものじゃんって思ったんです。自分の弱いところも認めているっていうか、曝け出していて。患い(※ぜんぶ君のせいだ。ファンの呼称)さんへの気持ちも赤裸々に綴ってるような歌詞だなって思ったので、これまで以上に感情を込めて歌って、大切にしていかなきゃならない曲だなって思いました。

ましろ:これまで以上にって(笑)。

如月愛海:ベテランだな。

ましろ:まだこの体制で2作目なのに。

-(笑)前回のインタビュー(※2019年8月発行のSkream!マガジン"ぜんぶ君のせいだ。 SPECIAL ISSUE"掲載)でも感じましたけど、それくらいこの5人ですごく馴染んでいますからね。

凪あけぼの:はい(笑)。前作の『AntiIyours』よりも、"もっともっと"みたいな気持ちで成長したっていうのもあるので、その成長も見てもらいたいです。

-短い間でのふたりの急成長は感じます。

如月愛海:そうですよね。精神面もちょっとずつ強くなってきてるから。

凪あけぼの:ぼのは精神面ですごく強くなりました。最初は、ダンスの覚えが結構悪かったので、しょっちゅう泣いたりしてたんです。今では、ちょっとのことでは挫けなくなりました。前は"私なんて......"ってなっていたところがあったんですけど、最近では"もっとやってやるぞ"っていう気持ちが出てくるようになりましたね。

一十三四:良かった。

-すぐに全国ツアー"CULT CHAOS CUTIE TOUR 2019"(2019年7月より開催中)がスタートして、現場で鍛えられているのがいいのかもしれないですね。日に日に更新していける感じがあって。

如月愛海:確実にそれは大きいと思いますね。応援してくれている人がいるというのは、ありがたいし、大きい。もし患いさんがひとりもいなかったら、うちらも挫けて終わっていたから。ツアーをしていてふたりもそのことがわかったと思うし、"今この人たちが応援してくれているんだ、頑張らなきゃ"というものが今のツアーで出ているんですよね。

ましろ:そういうことを体感していないと、今回の曲も歌えなかったというか。前作の「AntiIyours」も今作も、共依存関係みたいなところはある曲で、今までもそういうのは大事にしてきたんですけど、前作はそれを確固たる意志として歌ったもので、絶対に思いがブレないようにみんな気を張って作っていたと思うんです。そこからツアーがスタートして。この3人(如月愛海、ましろ、一十三四)はここまでいろんなことを越えてきて、いろんなものを踏んできたから強い気持ちも抱けるんですけど、ぼのと十五時のふたりも、今の段階で今までの自分を含めていろんなものを越えてきたと思うので、共依存の仕方も柔らかくなった感覚があるんですよね。

如月愛海:うん、互いを押しつけ合うだけは終わった感じが強いかな。

-だからこそ、この曲を優しくエモーショナルに歌えると。

征之丞十五時:十五時はこの曲をいただいたときに、自分に当てはまるなと思ったんです。歌詞にもあるような、生きる意味がわからないとか、不安や......それが何に対する不安なのかもわからない、不安なことが不安で泣くしかないような弱い自分がいたんですけど、ぜんぶ君のせいだ。に加入して、ぜん君。(ぜんぶ君のせいだ。)のメンバーや患いさんたちが、自分の生きる意味なんだなって気がついたら思っていて。この曲を聴いたときに改めてみんなの大切さに気づかされました。そのことをメンバーにも患いさんにも届くように歌いたいんです。

-十五時さん、いいフレーズを歌っているんですよね。"見つけに行くから 約束は一つ、ただそこで生きて。"の"見つけに行くから"という部分とか。

如月愛海:逆に、十五時とかぼのがそういうパートを歌うのがベストだなっていうのもあるんですよね。私たち3人だったら、もう"見つけに行く"スタイルというよりは、"ついてきてね"とか、"一緒に行こうね"というスタイルになってきていて(笑)。その意味もあって、十五時やぼのという歌詞割りになっていると思うので、歌っていても聴いていてもしっくりくる曲になったなと思うんです。"誰にも邪魔されてない私たちの声"という感じになりました。

ましろ:たしかに。

如月愛海:あとは自分の中では1回完結した感がありますね。1stアルバム『やみかわIMRAD』(2016年1月リリース)からずっと走ってきて、メンバーもたくさん変わって、もう去っていったメンバーのほうが多いんですけど(笑)。

一十三四:今のメンバーとこれまでのメンバーを足したら10人だからね。

如月愛海:いろんなことがあったから、何かがあるたびにすごく強くなっちゃったり、すごく弱くなっちゃったり、お前がいないと続けられないんだよ~みたいな執着が生まれたりもあったけど、1回思春期が終わったような感覚で。人生の流れがひとつ終わって、新しい気持ちとかじゃなくて、これまでのことを含めてもう1回やれるというか。

ましろ:そうだね。めっちゃかっこつけたり、めっちゃかわいくしたり、ギリギリを攻めながら自分たちを高めていたものをやっと下ろせたというか。きっと聴いてくれる人や支えてくれる人たちも、応援しようってすごく考えていたと思うんです。でもいったんその感じを置いて、もっとナチュラルに聴ける曲になったのは新しいし、10枚目のシングルだなっていう感じなんですよ。

如月愛海:そう、これが10枚目なんですよね。節目に来たかと。いろいろとあったので、もう10年目くらいの気持ちなんですけど(笑)。