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LIVE REPORT

Japanese

ぜんぶ君のせいだ。

2025.05.04 @渋谷WWW

Writer : 吉羽 さおり Photographer:清水舞

ぜんぶ君のせいだ。(以下:ぜん君。)とレーベルメイト TOKYOてふてふとで、今年1月から全国を回ってきたツアー[ぜんぶ君のせいだ。× TOKYOてふてふ SPLIT TOUR "NEO ROMANCE BUTTERFLY"]が、5月4日、渋谷WWWでファイナルを迎えた。この日はぜん君。のワンマン・ライヴとなり(前日には渋谷WWW XでTOKYOてふてふのワンマンが開催された)、バンド・セットでツアーの集大成となるステージで魅せた。

昨年3月の再始動から如月愛海、メイユイメイ、寝こもち、そしてむくと煌乃光が加わった新体制で、ライヴハウス・ツアー"26都市LIVEHOUSE53公演~YMKWIIちぬるTOUR~"等全国各地をライヴで駆け回ってきたぜん君。。今回のスプリット・ツアーのファイナル公演は、新たな5人で過ごしてきた1年間の軌跡と現在地とを示すステージでもある。2015年の1stデジタル・シングルとなった「ねおじぇらす✡めろかおす」でスタートしたライヴは、カラフルなステージ・セットやVJを交えた鮮やかなものだったが、それ以上に5人がエネルギッシュに、ポップに、ぜん君。を表現しているという感覚だ。患い(※ぜん君。ファンの呼称)が大きなコールで盛り上げる初期の曲「オルタナティブメランコリー」から、現体制でリリースした「こゆび」、全員がステージ最前線でエモーショナルに歌い上げる「Sleeping Dirty」まで、前半からノンストップで全力疾走のライヴとなった。

自己紹介から折り返した後半戦もまたノンストップ。「唯君論」や「DEADENDprisoner」、「トナリコレアラタ」等これまでにも増してキラッキラなアイドル感(と言ってもその曲は感情も妄想も大爆発なのだが)が眩しい。初期からの曲も多数セットリストに組み込まれた内容でグッと来る瞬間があったのか、如月愛海が涙を堪えるようなシーンも見られた。事務所であるコドモメンタルと共に立ち上がり、今年活動開始から10周年を迎えるぜん君。。そのオリジナル・メンバーである如月愛海は、ここまでグループを離れるメンバーを何度も見送ってきた。活動初期から他グループで切磋琢磨してきた盟友 メイユイメイや、寝こもちも加わって、2023年には目標だった日本武道館でワンマン・ライヴを行った。その歴史を知る患いや新しくライヴに来てくれている患いを前に、これまでのメンバーで継いできた曲を歌う、その一筋縄でない想いの深さは彼女だけのとてもパーソナルなものだ。表情も表現も豊かな如月愛海、メイユイメイ、寝こもちの3人に、天真爛漫に真面目にぜん君。を体現するむくと煌乃光のケミストリーもまたいい感じ。新体制で1年走ってきたからこそ、新しいぜんぶ君のせいだ。ができあがってきた感覚も強いのだろう。いろんな想いとシーンとが去来しての涙だったのだと(勝手に)思う。

この後半パートではポップでぜん君。らしい癖が満載の新曲も披露。そして"もっと遊ぶぞ"という掛け声から「Sophomore Sick Sacrifice」等、怒濤のハイパーチューンを連投し、本編のラストは、ぜん君。にとって大事な場面で披露されることが多い「革鳴前夜」、そして「無題合唱」へと続く。"この指止まれ"という「無題合唱」のフレーズで会場にはエモーショナルな空気が満ちて、フロアからも大きな歌声が響いた。笑顔で"ありがとうございました"と挨拶をする5人に、歓声や大きな拍手が送られる。

さらにアンコールでは「眩盲暈詩」や、少年がミルクをゲストに迎えた銀杏BOYZのカバー「駆け抜けて性春」、新曲「GOLD」等全7曲を披露。7月から新たなツアー"ぜんぶ君のせいだ。??国都市日の本も飛び出し〜増変侵喰愛rosion〜TOUR"を開催することを発表し、"ぜん君。はこれからも進んでいくので、ずっと一緒にいよう!"と締めくくった。


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