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LIVE REPORT

Japanese

ぜんぶ君のせいだ。

Skream! マガジン 2022年01月号掲載

ぜんぶ君のせいだ。

Official Site

2021.11.23 @下北沢LIVEHOLIC

Reported by 是永 鈴菜 Photo by yui

当初9月9日に予定されていた"LIVEHOLIC 6th Anniversary series~コドモメンタルナイト vol.2~"の、延期公演が開催された。ライヴ翌日に6thフル・アルバム『FlashBack NightMare』のリリースを控えたぜんぶ君のせいだ。の世界観は、より濃く仕上がっており、まばゆく弾けながらも繊細さを帯びた存在感は、下北沢LIVEHOLICという箱の中で異彩を終始放ち続けた。ステージとフロアから溢れ出す熱量と絡み合う、ぜん君。(ぜんぶ君のせいだ。)のかわいさと危うさ。その化学反応は鮮烈なロックとしか言いようがなく、1時間の公演時間も一瞬でラストまで駆け抜けていったような感覚だった。またそれと同時に、あまりにも長い余韻を残す熱い一夜だったと先に書き記しておこうと思う。

オープニングは最新シングルc/wの「live生live」。バチバチのバンド・サウンドを響き渡らせながら横一列に7人が並び、手拍子を煽る。ステージ中央で円になりヘドバンを繰り返す様に熱くならない人などいないだろう。彼女たちが畳み掛けるシャウトを脳内に反響させては、ただただ眼前で奏でられる音楽に身を委ねることで、歌詞の通り"今、生きる。"と思わせられる空間がそこにはあった。

そこから"みんな手挙げて!"と如月愛海が呼び掛け、「メスゲノムフェノメノン」からの新たなターム。コロコロと変わるメンバーの表情をカラフルに照明が映し出していき、ぜん君。の表現の幅の広さを冒頭から見せつける。さらに会場全体を煽り「みすふぃっとらゔぁーず」、「Greedy Survive」、「オルタナティブメランコリー」と、まさにぜん君。の"かわいいの供給過多"なナンバーを続々と投下。キャッチーなメロディ・ラインについ口ずさんでしまうフレーズ、絶妙に"重い"メッセージ性が潜在的な本能に刺さり続け中毒性を増幅させていく。

息をつく、そんな暇なんて一瞬もない。ライヴ定番曲「唯君論.」で"此処に君が居てほしい。"と歌う7人は、身を乗り出しフロアとの近さを全身で感じながら、患い(※ファンの呼称)ひとりひとりを見つけ出すように歌い掛ける。その姿を見て、彼女たちが"誰か"ではなく此処にいる"君"に歌っているのだと確信した。歌うこと以外を極限までそぎ落とした彼女たちのMCは自己紹介のみでほんの数秒。すぐにダークな世界観をより纏う「堕堕」から魂を揺さぶるような後半戦をスタートさせた。そしてシャウトが光る最新シングルの表題曲「Heavenlyheaven」と、ノれるライヴ・ナンバーが続く。「When you 2 WANT」でとどまることなく煽り続ける7人と、拳を高く掲げ、応えるフロアの間では、熱いエネルギーの交換が行われた。ラスト・スパートに向かって演奏した、音の高低差が激しい「Sophomore Sick Sacrifice」は高音で切なさが加速。また自然と身体が動き出す、踊れる「ロマンスセクト」と緩急のある楽曲を続けざまに披露し、パフォーマンスにもより気持ちが乗っていくのが目に見えてわかる。ここでの「WORLD END CRISIS」の投下に、待ってましたというようにフロアは一気に手拍子で応戦。歓声はなくとも、距離を保ちながらも、今置かれている世界線でどうかこの時間を特別なものにしたいという想いのぶつかり合いは、最高潮に達する。7人は力強さの中に今にも壊れてしまいそうな儚さを表現した。それは狂気的で歪な愛情を綴る歌詞にさらに彩りを与えているように感じた。

続いて披露された「Cult Scream」の泣き叫ぶようなパフォーマンスには、心がぐわんぐわんと揺さぶられる。シャウトはより強く切なく響き渡り、言葉にできない感情が一気に押し寄せてくるからもうどうしようもない。"僕がもがくその時に/君がそこに居るだけで/ただそれだけでいい"。そんなふうに"僕"が生きる意味を、"君"と生きる意味を、ただひたすらにラストまで提示し続ける。そんな彼女たちが贈るラスト・ナンバーは「無題合唱」。人生が傷つき、傷つけ合い、そのなかで人というものを知りながら、自分が望んだ幸せへと歩んでいくものだとしたら、彼女たちの歌はいつもその幸せへの道の途中でもがいている姿を、感情を、切り取っている。しかしその葛藤、喜怒哀楽のすべてさえも肯定するような、彼女たちの世界観。マイナスな側面にこそ寄り添ってくれる音楽がそこにはあった。そして冒頭に記述した通り燃え尽きたような、その場を懸命に生きた証のような、長い余韻を彼女たちは我々に残した。そのときに激しく燃えて一気に静まっていく線香花火のようなぜん君。のパフォーマンスは、観た人の心を決して離さない。


[Setlist]
1. live生live
2. メスゲノムフェノメノン
3. みすふぃっとらゔぁーず
4. Greedy Survive
5. オルタナティブメランコリー
6. 唯君論.
7. ROMANTICISM
8. 堕堕
9. Heavenlyheaven
10. When you 2 WANT
11. Sophomore Sick Sacrifice
12. ロマンスセクト
13. WORLD END CRISIS
14. Cult Scream
15. 無題合唱

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