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LIVE REPORT

Japanese

ぜんぶ君のせいだ。

Skream! マガジン 2020年12月号掲載

2020.11.03 @Zepp DiverCity(TOKYO)

Writer 吉羽 さおり Photo by Takaya Sekigami(コドモメンタルINC.)

7月24日に中野サンプラザで行った有観客での"単独公演~生鳴兆候~"後に、一時活動休止を発表したぜんぶ君のせいだ。(以下:ぜん君。)が、11月3日に新体制となって初のライヴを開催した。休止直後に一十三四、凪あけぼのの脱退が発表され、9月にも結成時からのメンバーであるましろの脱退が発表になって、ここからぜん君。はどうなっていくのか、続いていくのかと気を揉んだファンも多かったと思う。特に、"生鳴兆候"のエンディングでバイタルサインがフラットになる意味深な演出も、その思いを助長するものだっただろう。その"生鳴兆候"から約3ヶ月。再びステージに立ったぜん君。は、如月愛海、征之丞十五時に加えて、新しいメンバー 甘福氐 喑、もとちか襲、雫ふふを迎えた5人体制になった。ここまでの約5年の活動で、メンバー半数以上が一挙に変わるのは初めてのことだ。この新生ぜん君。で47都道府県を回る"re:voke tour for 47"の初日が11月3日Zepp DiverCity(TOKYO)でキックオフした。

バンド・セットとなったこの日、そのバンド・メンバーもこれまではキーボードにぜん君。の曲を多く手掛ける水谷和樹が加わった編成が多かったが、今回のステージはドラム、ベース、ギターという編成で、サウンドはかなりソリッドなものになった。ただでさえ、新型コロナウイルスの感染対策のためフロアには椅子が置かれ、歓声やコール、シンガロングなどができない状況なうえに、新体制お披露目とあって、会場内の緊張感も高い。そこにまず見舞ったのは、新曲「インソムニア」だ。ぜん君。のこれまでを背負い、これからへの思いも託された、歴史をつないでいく1曲で、"re:voke tour for 47"が幕を開けた。

どんなメンバーが加入したのか、また新曲はどんな内容なのかと食い入るように見つめる観客に対し、続く「Cult Scream」で、"なんで座ってんの!? 立てよお前ら!"とフロアを目覚めさせるように声を上げる如月愛海。ライヴのキラーチューンでもあるこの曲から、さらに「常花」、「ロマンスセクト」とアクセルを踏み続けるような曲が続いていく。「常花」は各ソロ・パートが長い曲だが、前半は、まだまだ如月愛海、征之丞十五時がステージを引っ張っていくような印象が強い。勢いのある曲を中心にした前半から、中盤では多種多様な、というかこれぞぜん君。という感情のアップダウンを繰り返す情緒不安定気味な構成で、ドタバタな「僕喰賜君ノ全ヲ」に始まり、「世界にたった一人ちっぽけな君を」でエモーショナルに聴かせたかと思うと、「君想ゐ花散りぬ」からシャウト・チューン「WORLD END CRISIS」で爆発させるなど、フロアや、メンバー自身のリミットも外していく。甘福氐 喑、もとちか襲、雫ふふは、まだステージングに奥ゆかしさが感じられるけれども、「キミ君シンドロームX」や「メスゲノムフェノメノン」、そして「みすふぃっとらゔぁーず」といったステージを駆け回るようなカオスな曲で、笑顔も垣間見える。ラストの「When you 2 WANT」まで本編は通常通りMCなしのノンストップのステージで駆け抜け、アンコールに立った5人は改めて自己紹介をした。新メンバーはそれぞれ初舞台がZepp DiverCity(TOKYO)という大舞台への緊張感や高揚感を語りながら、如月愛海は"(コロナ禍の)こんないろんな状況のなか、激動のなか──ぜん君。は激動の年ばかりだけど(笑)。この日を迎えられて良かったです"と初日を迎えられた胸の内を語る。そしていつも大事な場面で歌ってきた曲だと「革鳴前夜」を披露し、前体制でのラスト・シングルとなり、ある種の集大成となった「ぜんぶ僕のせいだ。」から、ぜん君。1stシングル「無題合唱」へとつなぎ、初日の幕を下ろした。エンディングでは会場に再び、鼓動が響きわたる。ツアー・タイトルの"re:voke"には"re voke(vocalの語源)"再び声を合わせる意味合いと、"revoke"無効にするという意味合いもあるだろうか。一度は止まってしまった時間を帳消しにして、また歩んでいく。今の社会にも思いを重ね合わせて、ぜんぶ君のせいだ。の第2章をスタートさせた一夜となった。

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