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INTERVIEW

Japanese

KEYTALK

2021年09月号掲載

KEYTALK

メンバー:首藤 義勝(Vo/Ba) 八木 優樹(Dr/Cho)

インタビュアー:石角 友香

コロナ禍でも音楽に対するアクションはし続けてきたつもりで それをこの作品から感じ取ってほしいなと思って付けたタイトルです


-あと、首藤さんがヴォイス・トレーニングをしてらしたということなんですけど、前作からファルセットがいいなと思っていて。今回も「大脱走」が面白いですね。歌始まり且つサビ始まりで。闇なんだけど、エネルギーはあるぜというか。

首藤:そうですね。曲調も相まって、疾走感ですかね。これ、映画の"大脱走"じゃなくて、横浜でペットの巨大なニシキヘビが脱走したってニュースが世間を騒がせたんですけど、あのニュース見た瞬間に、もう完全に歌詞できあがって。すげぇあの蛇には感謝してます。

-逃げた蛇に心象を投影できる部分が?

首藤:まぁそうですね。後づけなんで、いくらでも言えるんですけど、わりとモラトリアムとか、反骨みたいなものを当てはめやすいんじゃないかなとは思います。

-モラトリアム性みたいなことって「不死鳥」にも出てくるじゃないですか。

首藤:そうですね。「不死鳥」も何かと闘ってる。ちょっと曖昧にはなってるんですけど、これは舞台が東京で、何か壁にぶつかることがあってふるさと、ホームタウンに思いを馳せて、その頃の自分を別人格に置き換えて、その人格との対話みたいな構図になってるんです。この『ACTION!』の中ではわりと難解な部類に入る歌詞だと思うんですけど、まぁ、それぞれ考えて楽しんでもらえたらいいなと。

-現実にはメジャー・シーンでバンドをやっていくことって大変なことだと思うんですけど、そこをあまりヘヴィなものとして表現しないのがKEYTALKらしいし、"偉大なモラトリアム"って歌うニュアンスに表れてるのかなと感じます。いつまでもやりたいことやってるよっていうような感じも受けたんですよね。

首藤:あぁ、でも、僕たちの精神性みたいなのはたしかに表れてるかもしれない。好きなことやってますっていうのが、決して嘘じゃないんで。だから、メンバーそれぞれ考えはいろいろあるだろうけど、音楽で飯を食っている環境が苦しいことだと感じることはないと思いますね。

-今回、リアリティみたいなものがサウンドに出てると思うんです。あまりきれいに整理しすぎてないし。

首藤:そうですね。たしかに。エンジニアの釆原(史明)さんとそのへんは話し合いました。彼はものすごい面白い人で、ちゃんとトレンドも押さえてるんですけど、一方遊び心みたいなのも持ってるエンジニアさんで。「ラグエモーション」って曲とか、ドラムすごいよね(笑)?

八木:うん。サウンド処理が曲に絶対合ってないもん。爽やかな曲の中にマッチョがおるんすよ(笑)。そういうところも今回、狙っていこうって話はしてて。

-EDM路線の中にたくましいやつがいてる感じですよね。この「ラグエモーション」はラヴ・ソングでもあり、セクシーな感じもありつつ、同時に音楽自体に全然飽きてないぜっていうニュアンスもあって。

首藤:一番、ワチャワチャやってるバンド感みたいなものはある曲だと思います。

-そしてアルバム終盤がすごく聴かせますね。

首藤:そうですね(笑)。「不死鳥」あたりから違うバンドになってますね。

-首藤さんのソロ・ヴォーカル曲は素直なメロディで。

首藤:特に「愛文」は飾り気のないというか、いかに歌詞を僕の意図通りに聴かせるかってところで、サウンドやアレンジを組んでいきました。今までは歌詞より曲のほうが大事だと思ってたんですけど、歌詞への意識は年々強まってきてるかもしれない。

-今、人と人が離れているのはリアルなことなので、この曲は切ないですね。

首藤:僕もちょっと寂しい曲だなというのは思っていて。特に2番に関しては大切な人を愛したいとか、直接会いたいけど、自分の弱さが邪魔をするみたいなことを歌っているんです。会いたい人に会えない状況っていうのはまさに今のコロナ禍だと思って。今、ちょっと切なく聴こえるのって、こういう状況も相まってるのかなとは感じます。

-でも思い出としてある情景は力強くて。例えば、"どしゃぶりの中で踊る僕ら"とか。

首藤:僕もこの表現すごく好きで。もうずーっと過去を振り返ってて、この曲、基本プロローグだけなんですよ。で、最後の1行だけ現在っていう時系列にしていて。思い出を振り返っているふたり、みたいなシチュエーションですかね。いろいろあったけど、今幸せならいいよね、みたいな、そういうメッセージかもしれない。

-単純に相思相愛なだけじゃなくて、想いに強度があるのがわかる言葉使いに変わってきたのかなと思います。

首藤:それは巨匠の書いた「照れ隠し」とかにも言えると思うんですけど、僕らも人間なんで歳を重ねるにつれて、自然とそういうのは変化が出てくるのかなと。作詞に限らず、楽器の演奏もそうだと思うんですけど。

-ラストの「照れ隠し」も、今、生きてることは当たり前じゃないというメッセージを感じるんですが、爽やかな印象よりも、力強くリアルな曲だなと思います。

首藤:「照れ隠し」に関しては曲だしの頃から、八木君がしみてましたね。

八木:しみてました。もう、曲だしの段階から弾き語りで、ほぼ今の歌詞がついてて。初めて聴いて、めっちゃ刺さるというか、ぐわっとなって。めっちゃいい曲。

-巨匠の曲って前向きで爽やかな印象がずっとありましたけど、別に無理に爽やかじゃなくていいというか、逆にそれが心強い。

首藤:そうですね。「照れ隠し」は何も押しつけがましくないというか、実際に起きたことと感じたことを羅列してるだけなんですけど、それがちゃんとしみるのって、歌詞として理想だなと思って。なので、改めて聴いて素敵な曲だなと感じますね。

-そして、それぞれの歌詞の中に散見されるワードなんですが、"ACTION"、しかもビックリマークつきっていうのはなかなかすごいアルバム・タイトルですね。

首藤:どの歌詞ができあがるよりも先にアルバム・タイトルができてて。八木君が付けたんですけど。

八木:まだ歌詞がついてない状態で、内容はわからない状態なんですけど、バンドの心情というか、今の僕ら、2年間の僕らを体現する言葉を考えてて。単純に2年ぶりっていうのもありますし、コロナ禍でも音楽に対するアクションはし続けてきたつもりで、それをこの作品から感じ取ってほしいなと思って付けたタイトルです。

-そしてようやく、まだ予断を許しませんが、10月からツアーらしいツアー("KEYTALK 全国ツアー2021最高の笑顔でいきますよ!よーい!ACTION! ~お待たせしました。お待たせしすぎたかもしれませんね。~")が始まります。今回のアルバムの収録曲は、ライヴが想像できる曲とライヴでどうなんの? って曲が両方あるので、さらに期待値が上がりますね。

八木:たしかに。ぼちぼち実はスタジオも入ってて。ワクワクが止まらないですし、そういう楽曲をどう表現するかって不安は、僕はなくて。もう、ただひたすら楽しみに思ってます。