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LIVE REPORT

Japanese

shallm / sajou no hana / IneedS(O.A.)

2025.09.24 @下北沢LIVEHOLIC

Writer : 中島 希実 Photographer:小山田 祐介

激ロック/Skream!を有する激ロックエンタテインメントがプロデュースするライヴハウス 下北沢LIVEHOLICが、オープンからついに10周年を迎えた。これを記念して、6月から10月にかけてライヴ・イベント"LIVEHOLIC 10th Anniversary series"を開催。10周年を祝うステージに今回の公演"Diva"にちなんで、shallmとsajou no hanaが登場した。アニメ・タイアップで注目を集める2組の競演を一目見ようと、チケットはソールド・アウト。両者の個性がぶつかり合い、興奮に満ちた特別なステージとなった。

本イベントは、オープニング・アクト IneedSの「Precious days」で幕を開けた。軽快なギター・リフと伸びやかな歌声に、Arina(Vo)の煽りが合わさり、序盤から場内の温度を一気に引き上げ、瞬く間に最高潮へと導いていく。壮大なサウンドに自然とクラップが鳴り響き、会場の一体感がさらに増した「平行線」を披露した後に、今回shallmとsajou no hanaと同じステージに立てる喜びを語った。続いて、ライヴで披露するのは2回目という「Shooting Star」では、勢い溢れるリズムが炸裂し、一斉に拳が突き上がる。ラップ・パートに突入するとフロアでは揃ってヘドバンが起こり、会場の高揚感をさらに加速していった。テンポを落とし披露した「ささくれ」は、かすかな痛みを抱えた歌詞がじんわりと心に届き、まるでオーディエンス一人一人の内面に寄り添うよう。

ArinaがMCで"エゴサしていたら"(次の曲は)飛びポ(ジャンプするポイント)がある"って言っている人がいて......"と切り出し、さらに客席にその本人を見つけると会場はどっと笑いに包まれた。アーティストと観客の距離がぐっと近付いた、そんな微笑ましい瞬間の後に披露された「Endless Blue」では、先程のMCを有言実行するかのように、大サビで観客が同時に飛び上がり、まるで天井に届かんばかりのジャンプでフロアを揺らす。筆者は、初ライヴだった"恋せよ2025([LIVEHOLIC presents. "恋せよ男子2025" supported by 激ロック & Skream!])"を観ていたため、ライヴ・パフォーマンスの成長に圧倒されると共に、確かにIneedSの "今"を観ることができた。

IneedSの熱気に包まれながら、続いてshallmのステージがスタートした。最初に披露したのは「境界戦」。走り抜けるサウンドに応えるかのように、観客は一挙に前のめりになり、拳を突き上げる。shallmの開演直後とは思えない程、会場の温度が一気に上がった。続く「虚飾のキス」では妖艶なメロディに合わせて身体を揺らし、「G2G」ではスピード感溢れるリズムに合わせて観客がジャンプし、ステージと客席の距離が一気に縮まる。会場中に歓声と手拍子が鳴り響き、まるで大きな波が押し寄せるような熱狂が生まれていた。

lia(Vo)が、改めて下北沢LIVEHOLICの10周年を祝い、さらにshallmがライヴ前日に3周年を迎えたことを伝えると、客席からは温かな"おめでとう"の声が飛ぶ。その言葉を受け取ったliaは、満面の笑みを浮かべながら深く頷き、会場全体が祝福の空気に包まれた。そして、10周年のLIVEHOLICに向けて歌う「トワイライト」が始まる。"ずっとずっと側にいてよ"という歌詞が、これからのLIVEHOLICとの歩みや、この場に集った観客との特別な繋がりを象徴しているかのように響く。「センチメンタル☆ラッキーガール」が鳴り出すと、待っていましたとばかりに手拍子が揃い、さらに「アイ・ラブ・ジェー・ケー・キス・デート」では、ストレートなロック・サウンドが響き渡るなか、観客がクラップで応え、サビではミュージック・ビデオでお馴染みの指占いの振付がフロアに広がった。

ライヴも後半に差し掛かり、liaが"今年のライヴの中で一番暑い"と語る通り、会場は熱を帯びた空気で溢れていた。その熱狂が冷めやらぬまま、前月初ツアーを完走し、3年間の集大成として生まれた楽曲「ゾンビ」を披露。続くギター・ロック・チューン「脳内ディストーション」では、アップテンポのリズムに合わせオーディエンスを揺らし、さらにボルテージを上げていく。個人的にsajou no hanaが好きだと語るliaが、この後に何かあるかも? と匂わせをしてなだれ込んだのは、「まっさかさマジック!」。観客はイントロの瞬間から大歓声を上げ、サビに差し掛かると全員が一段となって飛び跳ね、熱を最大まで高めたままsajou no hanaへバトンタッチした。

"盛り上がっていきましょー!!"の掛け声と共に登場したsajou no hanaは、「天灯」を披露。鳴り響くクラップと歓声に応えるように力強く伸びる歌声が、会場を一気にsajou no hana色に染め上げる。続く「淡く微か」では軽快なリズムとエモーショナルな歌声で観客を巻き込み、「Parole」では重厚なビートが鳴り響いて空間を揺らす。sajou no hanaらしい華やかでエネルギッシュなスタートを切った。

"なんでこんなに暑いの? どんなにパフォーマンスをしても汗をかかないを売りにしているのに......"と話すsana(Vo)。その言葉通り、会場の暑さで汗を浮かべる姿は、普段とは違う新鮮な一面として観客の目に映ったかもしれない。夏の終わりに一緒に楽しみたいと歌った「青嵐のあとで」が始まると、疾走感のあるメロディに合わせて観客が大きく手を掲げ、サビでは歓声で応える。「溺愛」では一転して雰囲気が変わり、力強く胸を打つ歌声でsajou no hanaの世界にぐっと引き込んだ。

海外のライヴ・イベントにも参加しているsajou no hana。少し長めのMCでは、ドイツのヴィースバーデンで開催された"Connichi 2025"の帰路での面白エピソードを話し、会場全体が笑顔で溢れた。そしてsanaが初作詞した「THE IOLITE」では、きらめく旋律と力強いグルーヴが重なり、観客が一体となり拳を振り上げる。青い照明がステージを染め上げ、楽曲タイトルそのものを視覚的に表現しているかのようだった。そしてバラード「切り傷」では、透き通る歌声に思わず息を呑み、その繊細且つ力強いライヴ・パフォーマンスに圧倒された。

10月からワンマン・ツアー([sajou no hana LIVE TOUR "Unfold"])を開催することを告知し、そこから一転、「99.9」では場内の興奮が一気に跳ね上がる。勢い溢れるリズムにフロアが大きく揺れ、オーディエンスの歓声と手拍子が曲をさらに押し上げ、終盤に披露された「1」では、観客のシンガロングや合いの手が次々と響き渡り、会場をさらに暑くさせた。そしてsajou no hanaのステージのラストは「グレイ」。深みのあるサウンドに合わせてクラップが鳴り響き、ステージとファンが1つに重なって、温かく濃密な時間が流れた。

sajou no hanaのステージが終わると、shallmのliaがステージに呼ばれ、MCで匂わせていた初のコラボ・ステージが始まったが、たまたまsanaが白色、liaが黒色のフリルのロング・スカートという対照的でユニットのような衣装が話題に。そして、開演前に2人で話していたカフェ"(喫茶)透明薔薇"の話や、お互い人見知りながらも仲良くなりたいと自己紹介を始め、sanaの好きな食べ物がトマトであるのに対し、liaは食べられないと告白。それでも気まずさはなく、笑顔が絶えない2人のやりとりは、初共演ながら今後の共演にも期待が膨らむ時間だった。

コラボ最初の楽曲は、sanaがリクエストしたshallmの「白魔」。原曲で際立つliaの繊細な歌声に、sanaの力強く芯のある声が重なることで、新たな表情を帯びた「白魔」が生まれた。2人のコントラストが楽曲のダークな世界観をより濃く浮かび上がらせ、さらに観客を引き込む。本楽曲は、liaがキタニタツヤを意識して作曲したこともあり、sanaがその「白魔」をコラボ楽曲として選んだことに、liaは深く感銘を受けた様子。満足げに微笑む姿からも、この特別な共演への喜びが伝わってきた。

そしてイベントとしても最後の楽曲は、lia がリクエストしたsajou no hanaの「修羅に堕として」。疾走感のあるピアノのイントロから、liaが切り込むように歌い出すことで原曲にはない新たな色が加わる。続いてsanaが応じ、2人が向かい合いながら歌声をぶつけ合うたびに、ステージはいっそうの高揚感に包まれていく。サビに突入すると、観客は一斉に拳を突き上げ、フロア全体が高揚の波へと飲み込まれた。まさにこの夜だからこそ実現した、2人のコラボならではの迫力を体感できる圧巻のフィナーレだった。

初共演とは思えない程、息の合ったパフォーマンスを披露した2人。その姿に、またいつか対バンで共演してくれることを願わずにはいられない。そしてもし、公演後には噂のカフェ"透明薔薇"に一緒に足を運んでいたら――そんな微笑ましい想像までしたくなる程、心温まる余韻が残った。

[Setlist]
■IneedS
1. Precious days
2. 平行線
3. Shooting Star
4. ささくれ
5. Endless Blue

■shallm
1. 境界戦
2. 虚飾のキス
3. G2G
4. トワイライト
5. センチメンタル☆ラッキーガール
6. アイ・ラブ・ジェー・ケー・キス・デート
7. ゾンビ
8. 脳内ディストーション
9. まっさかさマジック!

■sajou no hana
1. 天灯
2. 淡く微か
3. Parole
4. 青嵐のあとで
5. 溺愛
6. THE IOLITE
7. 切り傷
8. 99.9
9. 1
10. グレイ

■shallm × sajou no hana
1. 白魔
2. 修羅に堕として

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