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Japanese

sajou no hana

2019年07月号掲載

sajou no hana

ライター:蜂須賀 ちなみ

渡辺 翔、キタニタツヤ、sanaによる3人組バンド sajou no hanaが、シングル『Parole』(読み:パロール)をリリースした。3月に2枚同時リリースされたシングル『99.9』、『メモセピア / グレイ』、そして5月に配信限定でリリースされたシングル『誰のせい』に続き、今年発表した作品は早くも4作目。渡辺は楽曲提供も行っているし、キタニには自身のソロ活動や他アーティストのサポート活動もあるが、sajou no hanaも精力的なペースで活動を続けている。

前作『誰のせい』の表題曲では、ドラムに山口大吾(People In The Box)を迎えたsajou no hana。今回のシングルでは、3曲それぞれ違う楽器がフィーチャーされており、バンドの多面的な魅力をさらに押し広げるような内容になっている。

表題曲「Parole」は7月から放送が始まるTVアニメ"とある科学の一方通行"のエンディング・テーマに起用されている。この曲はバンド・サウンドとデジタル・サウンドを掛け合わせたサウンドとなっており、バンド・サウンドを抜き差しすることにより、静寂から激情までを幅広く表現している。Cメロをはじめとした音数の少ない箇所における電子音の用いり方がとりわけ興味深く、ミクスチャーというよりもヒップホップのトラックに近いアレンジという印象を受ける。曲自体の構成もやや特殊で、例えば、通常2番サビ後に入りがちな間奏がBメロとCメロの間に入っていたりする。また、sanaのヴォーカルの幅広いアプローチを味わうことができるのもこの曲の魅力だろう。力強く張り上げた声、ハスキー・ヴォイスに近いファルセット、Bメロでみられるエフェクトのかかった声、という3パターンの歌い分けがされている。超能力者の中でも特に優れた能力を持つ者の戦いを描いた"とある科学の一方通行"のストーリーは一見私たちの日常からは距離のあるものだが、そのストーリーから本質を抽出し、美しい日本語に変換して、私たちの生活にも通ずるレベルに落とし込んだ歌詞もいい。思考せず、ルーティンのような日常を繰り返すことによって少しずつ心が蝕まれていくような生活と、眠っていた感情を覚醒させ、苦しい思いをしてでも自由を取り戻さんとする戦いみたいな日々。はたしてどちらの方が幸せだと言えるのだろうか。ちなみにタイトルの"Parole"とは"執行猶予"の意であるという。

2曲目の「Hedgehog」は、歌い出しがピアノとsanaのヴォーカルのみであり、全体的にピアノのメロディがフィーチャーされている。サビに入るまではsanaが呟くような歌い方をしているほか、アレンジ的に最も盛り上がるサビを英詞にすることによってクールな印象を保っている。要所要所で見受けられるジャズっぽいアプローチも新鮮だ。この曲は特に2番Aメロ後の展開が面白い。新たなブロックを挟みつつ、転調を重ねながらサビに向かっていく様子は非常にドラマチックだ。1曲目の「Parole」もそうだが、sajou no hanaの楽曲には2番以降に予想外の展開が控えているパターンが多い。TVアニメのエンディング・テーマでもある「Parole」は特にショート・バージョンで聴かれる機会も多いかと思うが、フル・サイズの音源を聴いた方が楽しめるポイントは多そうだ。

3曲目の「ex」は2本のエレキ・ギターがバンド・サウンドを引っ張っていくようなアレンジとなっている。ギタリストがいないバンドがこのような選択を行うなんてなかなか大胆だが、おそらく彼らは自分たちの編成を"ギタリストがいない"というふうには捉えておらず、むしろ"どんな楽器も取り入れることができる"、"どんなサウンドでも鳴らすことができる"というふうに考えているのだろう。全3曲からはそのようなバンドの姿勢が窺える。


VIDEO MESSAGE



▼リリース情報
sajou no hana
ニュー・シングル
『Parole』

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1. Parole ※TV アニメ「とある科学の一方通行」エンディングテーマ
2. Hedgehog
3. ex

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