ハルカトミユキの「伝言ゲーム」【第37回】

COLUMN

そういえば子供の頃、花という花全てが怖かった

パンジーの花びらを見ていると段々と色鮮やかな模様が大嫌いな蝶に見えて鳥肌が立った
ユリの花粉がけむしのように見えてユリ全体が花ではない恐ろしい生命体に見えた
しまいには家の花瓶の花をこっちに向けないでと祖母に訴えたこともあった

怖いのわかってるくせに子供のころって好奇心の方が勝ってつい見てしまう
花は私にとって小さなかいぶつのような存在だった

そんなことを感じていたことすらいつの間にか忘れ
いつの日からか花は美しく、癒され、時に音楽制作に必要な存在に変わっていた

LIVEで頂く花を家で飾っては癒された
脳が鈍ってると感じると花屋で花を買いパソコンの隣に飾って曲を作った
しまいには先日唐突に紫陽花が見たくなり京都の三室戸寺へ行ってきた

右も左も紫陽花だらけでめちゃめちゃ綺麗だった



色鮮やかなのも美しく、命の終わりを感じるものにもまた違う美しさを感じた

そして紫陽花を眺めてふと子供の頃の自分を想い出した
あれ、私いつから花を美しいと感じるようになったんだろう？

時の経過と共に最近"慣れ"というものをよく怖く感じる
上京した時は刺激的だった東京も、いつのまにか日常になり無の感情で歩いていたり
本当は身近な所に落ちているものをいつのまにか大切にできなくなってしまったり
慣れることで本当は自分がどう思っていたのかすら時に忘れてしまったり

そんな中京都に紫陽花を見に行って
時の経過があるからこそ得ている素敵なこともしっかりあるってことを感じた
そう思ったら恐怖心が少しおさまって今までより自分を素敵だと思えた旅になった

花をモンスターと思うような突飛な想像力もまだまだ消えてほしくないけどね

さて8月からThe Origin TOURが始まります
The Originだけにハルカトミユキの原点に触れるようなLIVEになります
ただ振り返るんじゃなくて結成したあの時から今までに得た感情や経験をふまえた今だからこそできる

そんなLIVEにしたいと思っています
待ってるね

ミユキ

ハルカトミユキ

歌人ハルカ（Vo/Gt）と奇人ミユキ（Key/Cho）によるフォーク・ロック・ユニット。立教大学の音楽サークルで知り合ったふたりは"同じ匂いがする"と惹かれ合い結成し、2012年、H＋M Recordsよりインディーズ・デビュー。2013年にアルバム『シアノタイプ』でメジャー・デビューを果たす。2016年に2ndフル・アルバム『LOVELESS/ARTLESS』を発表。デビュー5周年を迎えた2017年には、3rdアルバム『溜息の断面図』のリリースに加え、5周年記念ツアーや日比谷野外大音楽堂でのワンマン・ライヴ、全国ツアーを実施した。2018年11月に、初のTVアニメOPテーマを表題に据えたシングル『17才』を発表。2019年5月には初のベスト・アルバムをリリースし、8月18日からはふたり編成でのツアー[Best Album Release Tour 2019 "The Origin"]を開催する。

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