ハルカトミユキの「伝言ゲーム」【第30回】

COLUMN

ハルカトミユキの「伝言ゲーム」【第30回】

2018年06月号掲載

ハルカトミユキ

私の名前はメーテル。
じゃなかった。ハルカです。
　
4月の解体新章の二人編を終え
身も心も解体されてすっかり空っぽになった私たちは
そこからまた新たな章を構築すべくせっせと日々を過ごしています。
　
　
個人的な話題で言えばついに舞台『銀河鉄道999』の稽古が始まったところ
稽古と言っても、よく見る稽古場風景みたいにいきなりセリフを合わせて
本番さながらに練習する......わけではなくて色々と順序があるんですね
まずはボイストレーニングから始まり、実際の曲を使って歌稽古
それから殺陣稽古、振り付けをしてダンスレッスン
で、諸々のパートが確定したところでやっと台本を見ながらみんなで読み合わせ
という怒涛の流れ

ボイトレから歌稽古、までは予想通りだったのですが
ある日稽古場に行ったら側転をさせられました
（いやいや、メーテル、スカートめくれて髪ばっさーなるわ）
と思いながらとりあえず必死にやってみる。

みなさん、いきなり側転しろと言われてできますか？
ええ、10代はできるでしょう、体育でやらされますからね
20代前半も運動神経のいい方なら身体が覚えているのでできるでしょう
さて20代後半からそれ以上のあなた
ここ10年くらい前転すらしてませんよというあなた
側転してみてください。恐怖ですよ。
そしたらあろうことか今度は「側転して足を着く前に手を離せ」と言う。

Pardon?
私の聞き間違いですか？

ええやりましたよ
できるかできないかはいいんです、もうやるしかないので。
本当に人生何が起こるかわからない。側転の練習もしておくべきだなと肝に銘じました。（いらない）

そのあとも旋風脚やら後ろ回し蹴りやら
今まで生きてきて一度もしたことのないような動きをし
敵のパンチを避け、膝蹴りからの肘鉄砲でボスを倒し、無事に生還

あれ、これなんの舞台だっけ？
メーテルって悪と戦う女戦士だっけ？

と、わからなくなりながらも食らいつく
そう、何かをやるときは、一見全然必要ないようなことまでやり尽くして
準備しなきゃいけないのだ
それがほんの小さな動きの細部に宿るのだ
と、頭では十分わかっていても身体が動きません、先生。
でも半べそかきながら頑張りました。
　
　
　
まあそんなことを言っている間に、1ヶ月足らずで本番。
それが終われば9月にはバンドの解体新章。
私はある意味、身も心も本当に解体されて還ってくるかもしれません。
子供の頃のように毎日成長できはしない私たちは、自分の手で自分を壊して大きくしていくしかない。

さあ何を感じて何を書こうか
何に苦しんで何を楽しんで何を歌おうか
こんなに苦しめるチャンスも楽しめるチャンスもそうそうない

頭で考えろと言われたってわからないことばっかり
心が動けば歌ができる、っていうことだけは忘れたくないね
そこから生まれてくる歌と
9月のバンドツアーをどうかお楽しみに。

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