ハルカトミユキの「伝言ゲーム」【第38回】

COLUMN

ハルカトミユキの「伝言ゲーム」【第38回】

2019年10月号掲載

ハルカトミユキ

ツアーの移動車の後部座席で、PCにミニ鍵盤をつなげてカチャカチャと曲を作っていたら、ずっとルービックキューブをやっているのだとマネージャーさんに思われていたハルカです。

二人きりのツアー、"The Origin"。
日本全国、色んな場所で色んな人たちと会うことができました。
直接会わないとわからないような熱や想いがあって、それを存分に受け取ってきた。
ありがとう。

ただ今回も中々の移動距離があり、バッテリーもデータ通信容量も気力もまあ保たない。
ラジオからは流行りの曲たちがエンドレスに。わすーれらーれないの～、ですよまったく。
でも閃いてしまった。
こんなに身動きの取れない、長時間拘束された密室が他にあるだろうかと。
否、ない。
これはもしかして曲作りにもってこいなのではないか。

家でパソコンを広げて、とりあえずコーヒーを淹れ、あ、ついでに洗い物をして、ひとまず椅子に座り、ちょっと参考に本持ってこよう、あーこれまだ途中までしか読んでないから読もうかな、あ、こっちも、
みたいな余計な選択肢が一切排除された、歩くことはおろか立ち上がることさえできない車内は、強制的に集中せざるを得ない空間になる。速度制限マンともおさらば。
なんて画期的なんだろう。

そしてひたすら作業すること7時間（ご飯とうたた寝含まず）、驚異の集中力で曲のカケラがたくさんできる。
これでもう移動は怖くない！
決してルービックキューブにハマっているわけではないのです。

今から、移動中にできた曲たちを詰めていく。
本当に大変なのはここからなんだけど。
でもなんだか、未知の扉を開ける前のような、純粋なワクワクを今すごく感じている。

11月23日、"7DOORS"で、今までの私たちと、そしてまた新しいものを見せられるように。
私もあなたも、たくさんくぐってきた扉の先に、日本橋三井ホールの扉がありますように、願っています。

ハルカ

ハルカトミユキ

歌人ハルカ（Vo/Gt）と奇人ミユキ（Key/Cho）によるフォーク・ロック・ユニット。立教大学の音楽サークルで知り合ったふたりは"同じ匂いがする"と惹かれ合い結成し、2012年、H＋M Recordsよりインディーズ・デビュー。2013年にアルバム『シアノタイプ』でメジャー・デビューを果たす。2016年に2ndフル・アルバム『LOVELESS/ARTLESS』を発表。デビュー5周年を迎えた2017年には、3rdアルバム『溜息の断面図』のリリースに加え、5周年記念ツアーや日比谷野外大音楽堂でのワンマン・ライヴ、全国ツアーを実施した。2018年11月に、初のTVアニメOPテーマを表題に据えたシングル『17才』を発表。2019年5月には初のベスト・アルバムをリリースし、11月23日には[Best Album Release Special Live "7 DOORS"]を日本橋三井ホールで開催する。

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