Japanese
cinema staff
2016年05月号掲載
Member:辻 友貴(Gt) 飯田 瑞規(Vo/Gt) 三島 想平(Ba) 久野 洋平(Dr)
Interviewer:吉羽 さおり
-次の曲「crysis maniac」(Track.7)を挟んで、アルバム後半はよりロックで、ディープな曲へと踏み込んでいきます。様々な曲があるだけに、この流れのある曲順もこだわったのでは。
三島:曲順は悩んでいましたね。
久野:特に『WAYPOINT E.P.』に収録した「AIMAI VISION」(Track.11)を、今回入れるのかどうかは悩みました。最初は僕が、"「AIMAI VISION」は入れたくない"と言っていたんですけど、僕が、"やっぱり入れたい"と言い出しまして(笑)。このアルバムを作っているときは、まったく新しいcinema staffになると思っていたので、そこに「AIMAI VISION」を入れるとブレるんじゃないかなと思っていたんです。でも例えば、最初の方の「希望の残骸」や「エイプリルフール」って――僕が10年前、大学生だったときにcinema staffに出会って、2回くらいお客さんとしてライヴを観ているんですけど、そのときにいいなと思った感じを受け継いでいる曲だと思っていて。デビュー当時には「AMK HOLLIC」(2008年リリースの1stミニ・アルバム『document』収録曲)のような曲もあったから、激しめなイメージで捉えられてもいると思うんですけど。僕が最初にライヴを観ていいなと思ったポップ・ミュージックとしての良さみたいなのが、まさに「AIMAI VISION」だったんです。その感じが今回の曲が出揃ったとき、逆に必要に思えてきて。「YOUR SONG」に向かうにあたって、「AIMAI VISION」はやっぱりほしいなという結論に至りました。
-そして、収録曲が増えたという?
久野:そうです。「AIMAI VISION」を入れたから、何か別の曲が削られたわけではないですね。12曲の予定が、13曲になりました(笑)。
-そして後半では、Track.8「person on the planet」がこれまでにないようなソウルっぽさが香る雰囲気です。
三島:これは自分としては、いろんなオマージュが入っている気がしますね。形にはなっていなかったんですけど、こういう跳ねるビートのアイディアは前からあって、それを改めて構築し直した感じですね。最初に大きなイメージとして、宇宙っぽいなと思っていたので、それを押し通すという感じでした。これは今思うと、もっと馬鹿みたいなスケール感があってもよかったなと思うくらい(笑)。でもこれはこれで、チャレンジだったかな。1番チャレンジだったかもしれない「somehow」もそうですけど。
-アルバムを一聴したときに、パッと印象深く"変化"を感じたのは、「somehow」と「person on the planet」でした。
三島:そうですね、これは今までなら僕は作れなかった気がします。コードの雰囲気も絶対になかったですからね、こういうタイプのものは。
-これはライヴが気持ち良さそうですね。
三島:難しいですけどね、裏ノリだし。これで盛り上げられるようになったら本物だなと。
久野:大きなステージが合いそうだなとは思うんですけど、これが受け入れられるかなという心配はちょっとあります。
三島:ほんとはブラス・セクションも入れたかったんですよ、この曲(笑)。あと、サビの裏に、こっそり打ち込みで入れてみんなに聴かせたんですけど、あんまりリアクションがなくて(笑)。結局却下されました。
辻:イントロの部分は、もとからネタとしてあったんですよね。
久野:たしか『blueprint』のときからあった。
辻:でも曲として作っていなくて。僕もこういうテイストはあまりやったことがなかったんですけど、もともとは三島が持ってきたフレーズで。感覚を掴むまではだいぶ時間がかかったんですけど、新しい感じで楽しかったですね。
-そういった様々なチャレンジは、今だからできるようになってきたという感覚ですか?
三島:そうですね。あとは、アルバムとしても5枚目ですし、そういった新しいチャレンジをやらないと、もう手の届く範囲のことはやり尽くしてきた気はするので。そこをチャレンジしていかないと面白くないし、バンドとしての成長もないかなっていうのもあるので。全部が全部チャレンジというわけではないですけど、そういうテイストも入れていかないとって思います。
-もうバンドの確固たるものができ上がっているから、というのもありますよね?
三島:ありますね。自分の中では、これは絶対やりたいですよっていうビートやサウンド、コード感というのはあるんですけど。そういうのが13曲あっても、誰も面白くないとは思ってますね。
-間口の広がった作品だと思いますが、やり方によってはとことんポップにもできると思うんです。でもそうじゃないところでしっかりと尖った、cinema staffらしさが出ている。そこは譲れないところですね。
三島:全部ポップだともう、辻君がやってくれないですからね(笑)。
辻:(笑)
飯田:どっか行っちゃいますよね(笑)。もうヤダって逃げ出す。
三島:その狭間で大変ですよ、僕は(笑)。ポップでキャッチーで、ハードコアで、メンバー全員とお客さんが納得するものを僕は作りたいので(笑)。
辻:はははは。
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