Japanese
cinema staff
2016年05月号掲載
Member:辻 友貴(Gt) 飯田 瑞規(Vo/Gt) 三島 想平(Ba) 久野 洋平(Dr)
Interviewer:吉羽 さおり
-そもそもなぜこの「エイプリルフール」の歌では、辻さんがイメージとして出てきたんですか?
三島:なんか身内を題材にしたかったんですよね(笑)。ラヴ・ソングと言えばラヴ・ソングなので、それをすべてフィクションで作るにはイメージが湧かなかったし。自分の中の漠然としたテーマとして、例えば"ラヴ・ソング"とか、"地球を救う"とか、"宇宙の話"っていうのが、スタートなんですけど。それは、意図があって決めているわけではなくて、思いつきなんですよね。で、これはこういう曲調だからこうしようというときに、たまには恋愛のことも歌いたいなと。でも自分の話は嫌だから、辻君がいいなと。それなら望みを書くのは恥ずかしくないなと(笑)。といっても、別に嫌な話ではないので。
-恋愛の話ではあるかもしれないけれど、少年が主人公で、その先の希望が見えるストーリーになっていますね。
三島:それは意識してましたね。それで終わりだとか、全然そういうことではないよっていう。
-青春期のもがきやあがきともまた違った、大人になるステップを踏んでいく内容が多い。人生は楽しいものだよっていうのを、ちゃんと伝える内容になっていて、それが全体のトーンをより軽やかなものにしていると思います。
三島:やっぱり今回は、さっきも言ったような葛藤やしんどさを出したくなかったし、でもまだまだ青さや若さも出したいと思って。「overground」はまたちょっと違う雰囲気の曲ですけど、それ以外はそういうことを考えましたね。やっぱり、エンターテイメントとして、娯楽としてちゃんと聴けるものにしたいというか。
飯田:あまり悩んでいる感じを出したくないというような話はしていたんですよね。前向きなものっていうか。今悩んでいるとかじゃなくて、明るいものでという。
-その他の曲で、いくつか変化を感じるものを挙げていくと、とてもいいなと思ったのがTrack.6「somehow」です。浮遊感のあるサウンドでアレンジの面白さが出ていますね。
三島:これは歌詞が、飯田君のものですね。アレンジは難産でした(笑)。
飯田:たまたまタイトルが重なったんですけど、クリスマス・イヴに知り合いが亡くなってしまったんです。街中の電飾がきれいなところで電話がかかってきて、その話を聞いて。そこまで楽しい気持ちでいたんですけど、ある出来事でここまで変わるんだなって思って。ずっと暗く、重い気持ちだったんですけど、曲や歌には前向きにしてくれる"力"があるんじゃないかと思って。その気持ちを曲にしたいなというのが、始まりだったんです。メロディは自分が歌いたいもので、コードはスタジオで三島にどういう感じでいこうかと相談して、そのあとにプロデューサーも入ってという感じで、だいぶ変わっていった曲ですね。
-これを弾き語りで歌うと切なさが出てしまいそうな曲ですが、ドリーミーなサウンドで、切なさとは違うベクトルに持っていってくれる仕上がりになっています。
飯田:どちらにも転びそうな曲だったんです。ガチャガチャとしたサウンドでもいけるし、もっとバラードっぽくもできるし。でも先に「YOUR SONG」(Track.12)もあったし、アルバムとしてはあまり暗いものにしたくなかったんです。
三島:このサウンドの感じはあまりやったことがなかったものですね。いろいろな案が出て、もっとセブンスっぽいコードを使ってお洒落にするかというプランもあったし。でも僕あまりセブンスは好きじゃないので。淡々としたところに、ウワモノを乗せるというのがいいかなと。トレモロの聴いたアンビエントっぽいピアノをプロデューサーが思いつきで入れたり、今までやれなかったアレンジになっていると思います。
-飯田さんは曲がある程度できたら、アレンジをバンドに任せるというやり方だったんですか?
飯田:弾き語りの曲は作ったりするんです。弾き語りだと、歌の呼吸でギターを弾けばいいんですけど、じゃあそれをバンドでどう曲にしていくのかっていうのは、よくわからないんですよね。
三島:彼は"シンガー・ソングライター"なんですよね。ロジカルではないんです(笑)。弾き語りだから、曲の中でビートが平気で変わったりするし。
飯田:いつも久野に、"ドラムがつけづらい"と言われるくらいで。
三島:俺もつけられない、あれは(笑)。
久野:例えばAメロとBメロでビートが違うとかじゃなくて、Aメロの中でも、歌に合わせてテンポが変わっていく感覚なんですよね。だから歌のリズムで成立しているような曲がくると、正直どうしていいのかわからなくて(笑)。今回の「somehow」は、この淡々としたリズムが1番合っていたんですよね。ちゃんとテンポが決まっていて、そこにふわっと歌が乗っていくというようなもので、完成して"こういうメロディ・ラインだったんだな"というのがわかる感覚で。それが面白かったですね。
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