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INTERVIEW

Japanese

cinema staff

2015年04月号掲載

cinema staff

Member:辻 友貴 (Gt) 飯田 瑞規 (Vo/Gt) 三島 想平 (Ba) 久野 洋平 (Dr)

Interviewer:沖 さやこ

-始まりに向かって進み出しているけれど、"別れ"や"終列車"みたいに、終わりを思わせる描写も多くて、ポジティヴな別れというか、次に繋がるものになっている。Track.10「the ghost」の主人公の地縛霊も、生きている人をあたたかく見守っている印象があります。......cinema staffのFacebookページによると、こちらには前作のゲストに登場した、辻さんに瓜二つのエレクトリック・シタール奏者"ナマステさん"に続き、幽霊っぽいサウンドを出すために"ゴーストさん"を呼び寄せたとのことですけれど(笑)、レコーディングでゴーストさんは大活躍でした?

三島:大活躍......は全然してないです(笑)。

辻:登場も短時間でした(笑)。Cメロ前とかのノイズみたいなものを出しただけで......。

久野:衣装作る時間のほうが長かったかもね(笑)。

三島:スタジオを暗くして録りました(笑)。ゴーストさんが活躍していくのはこれからですね。まだプロットもコンセプトも何も決まってないですけど(笑)。

-ショーマンシップが高まっているcinema staffですからね、ゴーストさんにツアーで会える日を楽しみにしています(笑)。そういう"お客さんを楽しませたい"という気持ちゆえかもしれないですが、振り切ってる、大きく踏み出しているところを随所に感じるんですね。特にTrack.4「竹下通りクラウドサーフ」みたいなはじけたハイテンションなパンクな曲は、以前のcinema staffなら絶対に作らないと思うんです。

三島:まあ......やんないかなあ(笑)。この歌詞ね......やばいですね......。でもこれは友達と、上京4年目にして初めて竹下通りに行って。土曜日で雨降ってて、"なんじゃこの世界は......!"と思った、そのときの気持ちをただ正直に書いただけという(笑)。

飯田:でも今までにはやらない曲だよね。ヴォーカルも絶対に、お酒を飲んでる状態みたいな、アホな感じを出したいと思って......でもなかなかそれをシラフじゃ出せないんで、実際飲んで歌録りしました(笑)。そんなこと絶対今まではしたことがないです。

-はははは(笑)。歌詞も素朴で正直な気持ちをここまではっきり書いて、おまけにユーモラスに昇華できるようにもなっている。去年から特にcinema staffは4人のキャラクターがはっきりしてきて、ショーマンシップもありつつ、さらにロック・バンドになっているなと思っていまして。それは全員が自分自身を解放できているからなのかなと思います。

三島:ああ、それは正解かもしれないです。僕も"自分はこうじゃなきゃいけない"というものに縛られてきたところがあったんですよ。自信がなかったから、かっこつけてたところはいっぱいあります。でもそれはなくなったかな......『Drums,Bass,2(to) Guitars』以降、ちょっと自信がついたと思います。あのアルバムは僕個人としては結構苦しみながら作ったものだったんですけど、ツアーはかなりいい感じでやれて、そこでひとつ超えた感じがあって。"自分のキャラに合わない"と思っていたことも、ひとつタガがはずれると"もういいか"とラクになって(笑)。それからはすごく楽しいですね。

-いい傾向だと思います。新しいことがたくさん詰まっているのに、懐かしさも随所に感じられるところも、ドラマティックですね。例えばインストのTrack.1「陸にある海」などは。

飯田:ああ、それわかります。三島の曲にはどことなくいつも懐かしい感じがあるから。

三島:メロの進行とコードの組み合わせかな、そういうノスタルジックな雰囲気が単純に好きなので、そのへんは天然ですね。「陸にある海」は大昔から自分の中に流れていたメロディでもあるんですけど......今回実は、故郷のことを歌っているものは全然ないんですよ。むしろ今回はそこから脱却したかったんです。今年からは"『望郷』(2013年リリースの2ndフル・アルバム)の感じには頼らない"というのも僕の中のテーマでもあって。

-Twitterでも"東京でやり抜きます、這いつくばってでも!"つぶやいてらっしゃいましたね。

三島:結構今まで、故郷を逃げ道にしてたので。故郷を愛する気持ち、故郷に戻ることも素晴らしいものだと思うし、最終的には故郷の岐阜で――と思ってるんですけど、それは50歳くらいでいいかなって(笑)。自分を追い込んでいる部分もあるんですけど"まだまだバンドで、東京でやることがあるな"と思っているんです。抽象的ですけど、そういうところがこの『blueprint』に繋がっていく部分はありますね。自分の信じた道を堂々と歩いていくというか――もう、自分を信じるしかないですから。"これはいいでしょう!"と思う曲を書いていくだけです。それをより自信を持って言えるようになりましたね。