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INTERVIEW

Japanese

cinema staff

2015年04月号掲載

cinema staff

Member:辻 友貴 (Gt) 飯田 瑞規 (Vo/Gt) 三島 想平 (Ba) 久野 洋平 (Dr)

Interviewer:沖 さやこ

-たしかに、『blueprint』は聴いていてすごく励まされて、自分の進みたい未来に向かっていく力をもらいました。そして、昨年末三島さんにお会いしたときおっしゃっていた、"Death Bandwagon 2(to) Glory"を終えてから"プロとしての意識を強く持てたこと"が今作にも大きく影響していると思いました。

三島:あのツアーで、"もうちょっとショーマンシップを持ったライヴをやりたい"、"プロということを意識しないといけない"と思って。昔はそんなことはやろうとも思ってもなかったし、考えてもいなくて――例えばDTMを勉強することなんてまったく必要ないと思ってたので、勉強し始めたのもここ1、2年くらいからなんです。でも理屈でわかってくると、見えてくるものがあるなと思いました。音楽理論とかも勉強してて"今までこんなに知らなかったんだ!"という発見と変化は、僕の中ではかなり大きいですね。

久野:昔は"ライヴでプロとしてどうする"とかを考えるのは嘘くさい感じがしちゃってて、そういうことを意識するのは嫌だったんです。でも前のツアーくらいから、お客さんが求めていることをやる楽しさを覚えちゃって。"これをやれば喜んでもらえる"ということをやっても、予定調和じゃなくできるようになったというか。そこがかなり変わったし、曲を作るうえでもそれを意識することに抵抗がなくなったし。それぞれの精神面の変化もあると思います。

辻:僕は去年の7月から残響shopの店長をやらせてもらうようになって、cinema staffのお客さんとCD屋でリアルに接して......それがすごく自分にとって新しくて。お客さんひとりひとりと接するようになったことで、ライヴにもショーマンシップを持つようになったのかなと思います。

飯田:『great escape』(2013年リリースのシングル)を出して以降、お客さんと気持ちを共有することがすごく大切なことだなと思って、ショーとしてすごく楽しいステージを見せることはやりたいなとすごく思っているんです。最近は辻と向き合ってギターを弾いたりして......あれは結構照れるんですけど(笑)、お客さんが喜んでくれるんですよね。それで『Drums,Bass,2(to) Guitars』のような、4人でバッと音を鳴らしてテンションが上がる、僕らが楽しいと思うような演奏をして......その延長線上で"さらに歌を聴かせる"という話し合いでこういうアルバムができたんです。

-たしかに、今までよりも歌が前に出ていると思いました。

三島:今回は"メロディ"を前に聴こえるようにしたい、言葉や歌をより聴かせたいというのはテーマでもありました。それが"今のcinema staff"が最もかっこよく聴こえる方法かな、と"Death Bandwagon 2(to) Glory"が終わったときに思ったんですよね。今自分たちはどういう面を出していくのがいいのか、かっこいいのかというのはそのときのモードでもあるし。みんなで話し合って"飯田君の声を出そう""メッセージをもっと前に出そう"と。もちろん今までそこをフィーチャーしていないわけではないんですけど、よりそれを前に出してもいいタイミングなんじゃないかな......と感覚的に思ったんです。メロディも今回はシーケンスっぽく作っているというか、音の並びも理屈で作っているところがあるので、結構飯田君に無理させてるのかもしれないな、と思うところもあるんです。でもそれもチャレンジかなと。

飯田:上がってきた三島の歌詞に、すごく力を感じて。嘘じゃなく、(歌うたびに)自分が"生きているんだ"と強く思うというか。『blueprint』を作っていく中で歌詞をもらうたびに、"いろんな人に投影できる歌詞だな""どんな人でも思うところはあるんじゃないかな"と思って。......バンドを11年やってきたからこその深みって絶対あると思うんです。例えば「シャドウ」(Track.3)は本当に好きな曲で、歌詞を読んだときに泣きそうに......というか泣いたし、レコーディング中でも涙が出てきちゃうくらい。そういうエモい気持ちに勝手になりますね。この曲は"憧れている人に追いつきたくても追いつけなくて、でもなんとか追いつきたい。僕はまだまだやれるし進んでいくんだ"ということを歌っているんですけど、11年やってきていろいろ経験した今でも、まだまだ届かないところなんていっぱいあるんですよね。でも演奏する人間の経験値で、曲の力強さは全然変わると思うんです。歌詞がもっと注目されてもいいのになと思うところもずっとあったし、年齢を重ねて三島の歌詞がさらに力強くなっているので、このタイミングでそれを押し出したいと思って。

辻:ギターを作るうえでも歌詞は重要で。歌詞ができたあとにフレーズが変わることもあるし、歌詞があると悩んでるフレーズも決まったりします。"この歌詞を聴かせたいな"と思ったらここはギターを弾かないほうがいいなと考えたり、そういうことが見えてきたりもしますね。

-今までで最も具体性の強い歌詞だと思います。物語調のフィクションの歌詞も、描写が具体的なので、絵は想像しやすいですし。それはさっき飯田さんがおっしゃっていた"どんな人でも思うところはある"ということと繋がると思います。だからお話にも生々しさがある。

三島:うんうん。フィクションのものもファンタジックな感じにはなってないですね。そういうものを書くのは得意なはずなんですけど。「青写真」にも"飛行船"が出て来たり、世界観にもそれっぽいんだけど......聴いている人がこれに近い経験を思い出してくれるんじゃないかな。歌詞は常にキーワードを書き溜めてるんですけど、"これは来た!"と思える1行ができるかどうかが重要で。そこができたらあとは速いんです。「孤独のルール」(Track.11)は"孤独のルール"という言葉が最初に出てきて、書き出したら一瞬でした。