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INTERVIEW

Japanese

MURO FESTIVAL 2018

2018年07月号掲載

MURO FESTIVAL 2018

"MURO FESTIVAL 2018"主催者:室 清登
アルカラ:稲村 太佑(Vo/Gt)
LACCO TOWER:塩﨑 啓示(Ba)
インタビュアー:秦 理絵 Photo by 大木 優美


"ムロフェス"は人間味がある都市型の夏フェス(稲村)
普段は群れない奴らが、群れる場所だなと思ってる(塩崎)


-太佑さん、啓示さんから見て、"ムロフェス"のカラーはどんなところだと思います?

稲村:まず、クレストっていうテーマがあって、クレストでやってたことで、クレストから飛び出してやろう、みたいなことですよね。あとは室君が実際に見て、いいと思ったバンドを出すこと。俺らはバンドマン目線だけど、室君はライヴハウスの店長として――今はもっと広い視野で見てる感じがするけど、ちゃんと一緒にやりたいと思う人を出してる。

室:そうだね。

稲村:これは清水音泉(※関西のイベンター)の野原が言ってて、"あ、そうやな"と思ったのが、フェスティバルって祭りじゃないですか。で、祭りっていうのは、共通の神様がいる。それがテーマというか。"とりあえず、みんな集まって何かしよう"じゃなくて、"ネコフェス"には"ネコフェス"の、"I ROCKS"には"I ROCKS"の、"ムロフェス"は"ムロフェス"の、揺るぎない全知全能の神様がおる。それがテーマとか、カラーって言われるもので。

塩﨑:うんうん。

稲村:それがあるからこそ人が集まってくるというか。例えば、高木誠司なんて、普段の弾き語りだと、クレストで2、3人呼べたらええくらいの奴が、"ネコフェス"では入場規制がかかる。ダイブが起きるっていうね。それは、どのフェスティバルにも存在してるから。神様がブレて、ちょっと良さそうやなっていう理由だけで呼んだら、それはもう趣旨が変わってくるし。だからブッキングはみんな悩むと思う。全員を入れてあげたいけど、選ばざるを得ないから。

塩﨑:あぁ、そうですね。

室:わかる、わかる。

稲村:神様側の試練みたいなね。そういうところを乗り越えたからこそ、出てるアーティストも"選ばれた"っていう気持ちになってくれるんやと思うし。あと、"ムロフェス"って、フェスティバルの時期になると、ライヴハウスの主要バンドがそっちに引っ張りだこで、ライヴハウスがガランとしてしまうっていう、そこに対しては、アンチテーゼって言えるブッキングやと思う。フェスっていうものに乗っかってるようで、乗っかってないというかね。

塩﨑:わかります。めっちゃわかります。

稲村:そのいいバランスが、"ムロフェス"が都心でやる挑戦なのかなって。

室:結局、その熱量とかお客さんをライヴハウスに持ち帰ってもらいたいんですよ。そうじゃないと、そもそも"ムロフェス"をやる趣旨が変わってきてしまうから。

塩﨑:そうですね。それは最初の1回目から言ってますもんね。

-室さんとしては、自分のブッキングするバンドって、どんな特徴があると思います?

室:ライヴハウスが好きなバンドが多いと思いますね。

塩﨑:それは、めちゃくちゃ正しいと思う。

室:基本的にね、打ち上げに残るバンドしか呼んでない(笑)。

塩﨑:たしかに。

室:そういうバンドがいいバンドなのよ、やっぱり。

稲村:結局、パーソナルなんですよね。他のフェスティバルのことを何か言うつもりはないけど、組んでる側がパブリックなのか、パーソナルなのかっていう大きな違いがあって。もちろんパーソナルだからいいとか、パブリックだからダメって言うんじゃなくて。"ムロフェス"は人間味のある都市型の夏フェスだから。

塩﨑:あと、"ムロフェス"って、普段は群れてないバンドが、この日だけは群れるみたいなところもありますよね。

室:普段は別で行動しつつ、何かあったら集まる、みたいな人たちが多いよね。

塩﨑:"俺らは俺ら"っていうのが、まずあるんですよね。LACCO TOWERも16年やってきて、自分らはこうだって言い合いながら固めてきてる部分があるから、もう昔のように、どこに行ってもどうにか馴染んで、群れてっていうスタンスでもなくなってきてる。だから、俺らはどこのフェスにもどうにか出たいとは思ってないし。呼ばれるところだけ、ちゃんとどういうイベントなのかっていうのを見ながら出たいんです。

室:結局、俺らは俺らだしっていうのを持ってるバンドの方がかっこいいよね。

稲村:そこのテーマ性がブレないから、みんな"ムロフェス"に出たいと思うし、出るバンドは、ちゃんと室君自身が好きなバンドだし。で、室君が好きなバンドっていうのは、人たらしなバンドやし。人たらしなバンドっていうことは、"ムロフェス"の打ち上げは全バンドが残るっていうことやし。打ち上げに出るからいいっていうわけじゃないけど、全部がぐる~って繋がってる。その答え合わせができる"ムロフェス"って面白いなと思う。

-すごくわかる気がします。

室:そういえば、若いバンドが最近よくフェスをやりたがるの。

稲村:そういうのをやりたい気持ちって、何が一番の理由なんやろうな?

室:自分たちが育った町が好きなんじゃない? そこを盛り上げたかったり、そこにお客さんを連れていきたかったり。俺だったらクレストだし、ラッコは群馬のシーンを盛り上げる、アルカラは神戸のライヴハウスの活性化みたいなところじゃないの?

稲村:いや、それも思ってはいるけど、一番はなんなんかな? と思って。逆にみんなに聞きたい。グドモとかも八王子でやってたり("八王子天狗祭")とか。

塩﨑:MAGIC OF LiFEもね、"栃フェス(Don't Stop Music Fes.TOCHIGI)"をやってるし。

稲村:そうそう。

塩﨑:たしかにな......俺らも地元に恩返しをしたいっていうのはあるんですけど。やっぱり近くで、G-FREAK(G-FREAK FACTORY)が"山人音楽祭"の前の"GUNMA ROCK FESTIVAL"っていうのをやっていたときに、いろいろ刺激を貰ったんですよね。"俺だったらこうするなぁ"みたいな。そのいい意味の反骨心が膨らんだというか。"ムロフェス"を観て、"ネコフェス"を観て、"自分らだったらこうしたい"、そういう感じだと思いますね。

稲村:だから、同じことをしたいっていうわけじゃないんやね。

塩﨑:そうそう。

稲村:それ、面白いな。たしかに。