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INTERVIEW

Japanese

THE BACK HORN

2017年10月号掲載

THE BACK HORN

Member:岡峰 光舟(Ba) 山田 将司(Vo) 菅波 栄純(Gt) 松田 晋二(Dr)

Interviewer:石角 友香

-バンド的に大きなターニング・ポイントの曲ですもんね。

岡峰:やっぱどうしても震災が起きてから、バンド的にも世の中的にもいったん区切りになりました。それまではなんだかんだ1回1回もがきながらも、突っ走ってる感もあったんですけど、あの地震のときは止まらざるを得ないというか。ライヴもできないし。曲作りのシーズンにちょうど地震があったんですけど、曲すらも方向性がちょっとわかんなくなって。逆に立ち返るいい機会――いい機会って言い方は合ってるかわかんないですけど、そこでこの曲がまずパーン! とできたのが俺らの中で大きいなって思いましたね。この曲を持って、震災から即座には動けなかったけど、1~2ヶ月ぐらい経って東北に行けて。この曲で励まされた人たちがいる、で、自分たち自身もこの曲で気分を上げていられてた部分もある、そういう意味ですごく印象深いですね。

-震災の直後はそれまで作ってた曲を捨てた人もいるし、音楽をやっていいのか悩んでいたアーティストも多くて。

松田:曲を作るっていうのがTHE BACK HORNらしい回答だったなと思います。じゃあ、僕もその流れで「世界中に花束を」の話なんですけど、この曲の歌詞は自分と将司の合作なんです。曲も、将司の曲があって、栄純の曲と合わせて最後の展開も含めて完成っていう、短期間の制作になったんですね。で、タイトルの"世界中に花束を"っていう言葉自体が東日本の危機のときに楽観的というか、広すぎる言葉なんじゃないか? って思って。でも、この言葉とこの歌詞の展開ってTHE BACK HORNがほぼ毎回歌うテーマでもあるというか。悲しみとかさよなら、"もう今日はほんとやってらんないな"って気持ちに毎回毎回別れを告げて生まれ変わっていくみたいなのが、自分たちの希望の歌い方で、そこからヒントを得て書いた歌詞なんです。それがこう、将司のもっと内面的な部分と合体して、よりいい完成に向かっていきました。でも、「覚醒」の歌詞の話とまったく一緒なんですけど、もしこのまま日本の状況がずっと立ち止まってるとしたら、"世界"って言葉が、この世の中を意味する世界とはまた別に、自分の中の世界とか、音楽の中の世界っていうふうに思えてしまうんじゃないか......ってずーっとタイトルだけ渋って(笑)、みんな"世界中に花束を"はダメなんじゃない? って延々言ってました。

岡峰:これ時期がすごくて、11日に地震があって、19日にライヴができるからってリハをやってたんですね。17日か18日に。そのときにもうこの曲をリハスタで録ろうって言って、録ったバージョンが今回入ってるものなんですけど。その時期だから"世界中に"って言葉を渋ったのかな。

松田:だからと言って"東日本に花束を"でもないわけだし、"日本に"っていうことでもないので。でも、その"世界中"っていう言葉の感じを今解釈できたってみんなからも話をもらって、あぁ、そうだなって感じます。それぐらい言葉のチョイスに敏感な時間だったかなと思いますね。

-震災以降のTHE BACK HORNは、よりリスナーを励ますというか、優しいバンドになってきたイメージがあって。

松田:『世界中に花束を』から『リヴスコール』っていう2012年のアルバムで、震災から今、鳴らすべき音楽っていうのをパッケージングしたんですけど、そのあとから、メッセージ性とか自分たちが発信する言葉とは別に、もっと音楽としてのあり方とか音楽としての楽しみとか、彩りとしてそういう部分を考える段階に入っていった流れもあると思いますね。

-山田さんはいかがですか?

山田:人に響かせるとか、聴いた人に届けるっていろんなやり方があるんだなっていう。届いたことでその人の人生が変わることもあるし。届かせ方って、励ましたり背中押したりするだけじゃなくて、いろんなやり方があると思うんです。痛みに毛布を掛けたりとか。そんなやり方は、THE BACK HORNは昔からしてるし、もともと表現自体ってそういうものも含めたことで考えていかないとどんどん面白くなくなっちゃうなと思うんで。改めてこうやって見ると、ほんといろんなシングルを、いろんな気持ちを書いてきたんだなっていう。そういう意味でバンドの懐が豊かになったところはありますよね。

松田:結成から前半の10年って、まだ無自覚に鳴らしながらも聴く人を巻き込んでたところはありますね。それをこっちから発信するという流れも2008年以降は出てきたし、そういう意味で後半は地に足のついた10年だったと思うんです。時代のムードだったり、感じる空気だったりもありつつ、ひとりひとりの中にある感情や経験、これから直面すること。それは生きてる限りあるので、そこでTHE BACK HORNの音楽が少しでも届いてくれたらっていうのは、今に近くなるにつれて曲に表れてるかなと思います。

-先ほど音楽としての楽しみという話がありましたけど、THE BACK HORNの場合は深みとともに意外とユーモアというか、音楽的なアプローチにおいてチャレンジすることが増えてきたのかなと思います。DISC-1の後半は最近の聴かせる曲が集まってますし。

菅波:そうですね。その時々にやれることを確実にやってきてる感じがします。逆に言えばそれしかやってないというか、変に浮き足立ったこともやってないけど、そのとき精一杯やれることにチャレンジするっていう姿勢なのかな? って気はしますね。だって「世界中に花束を」がなかったら、ずっと激しい曲ばっかりというか(笑)、「With You」(2016年リリースの24thシングル表題曲)までずっとロックだっていうのもまた面白かったですけどね。20年近いゾーンに入ったら、まったりした曲が多くなってもおかしくないけど、今も激しいじゃないですか(笑)。