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INTERVIEW

Japanese

cinema staff

2012年09月号掲載

cinema staff

Member:久野 洋平 (Dr) 飯田 瑞規 (Vo/Gt) 辻 友貴 (Gt) 三島 想平 (Ba)

Interviewer:沖 さやこ


-今作はミニ・アルバムですが、テーマが確立されていることもあってフル・アルバム的なボリュームと流れで、筋の通ったアルバムになっていると思います。改めてcinema staffの音楽ってロマンチックだなぁと感じました。

三島:……そうですね、ロマンチックだと思います(笑)。でも意識をしてないんですよね。なので根っからのロマンチストなんですよね、僕が(笑)。自然とこうなっちゃって……。

-他のメンバーさんもロマンチストですか?

三島:いや、根本的にロマンチストなのは俺だけじゃないっすか? 辻も違うし、飯田もそうでもないし……久野とか絶対違うし(笑)。

久野:あれ? (三島の)次は俺かなって思ってたのに(笑)。でも、自分がロマンチストかは別として、そういう音楽は好きだよね。

飯田:ロマンチックというよりは“ドラマチック”ですかね。どっかで感動するポイントがあったりとか、そういうところがないと音楽は聴けないと思うんで。

辻:“曲のどっかにグッとくるポイントがあるっていうのが大事だ”って、DEATH CAB FOR CUTIEのChrisも言うとったね。すごく印象的な言葉で覚えてるんですけど。

三島:ドラマ性や、曲の流れや起伏は無意識のうちにやってるものだと思います。そういう方がやってて楽しいし、気持ちもノりますよね。

-今回はギターの音が前面に出てたのも印象的で。これまでは4人の音がいろんなところから聴こえてくるイメージだったんですが、ベースとドラムがギターを支えてる感じがして。

三島:確かにサウンドは今までとは大分変わったと思います。前の方がある意味ごちゃごちゃしていたというか。全体がぐちゃっとなって聴こえてたのが、今回は結構はっきり分かれているんで。パキッとしているというか。音のひとつひとつが良くなってきたと思います。それぞれの自分の出す音にはどんどん責任が出てきてるし。

飯田:ベースとドラムの上にギターが乗ってる気がするんで、散った音が派手ですね。

-Track.1の「奇跡」は膨らみのあるギターと上昇していくイメージが爽やかさと力強さが共存する曲ですが、こちらをリード・トラックにした理由とは?

三島:……リード・トラックっぽいからですかね。

一同:(笑)。

飯田:そういうのは、各々が思ってて、それが絶対に一致するんですよね。この曲はリード・トラックだ!って。

久野:自然に決まったんできちんとした理由はないんですけど、この曲はこのミニ・アルバムが持っている気持ちを表していると思います。割とリード・トラックでそのアルバムが判断されちゃうじゃないですか。でも「奇跡」だったら『SALVAGE YOU』を誤解されないなって思ったからみんなそれを選んだんだと思いますね。

三島:自分らがどうしたいか、どう進んでいくかっていうのを表していると思うんですよね。「奇跡」なのに“奇跡はいらない”って言ってるんで(笑)。“奇跡に頼らない、何とか自分たちで立ち上がって、振り返らないでやるぞ”というのがはっきり示されてて分かり易いとは思いますね。

-“奇跡には頼らない”“自分たちの力で”と思ったのはなぜでしょうか?

三島:例えばバンドで言うと……cinema staffが今からバーン!といきなり飛ぶように売れて、セールスも50万枚!っていうのは、ならんと思うし、なりたくない。僕ら9年やってるんですけど、今までもやるべきステップをしっかり踏んで、やっとメジャーで出せてるっていうのもありますし。レーベルの力を借りながら、根本的には自分たちが“こうしたい”“こうありたい”という信念でやってきて。そういう感情をとても大切にしたいと強く思って。だから突然何か……宝くじ状態みたいなのは今更要らんなって思いますね。自分たちの力でやれることをちゃんとやっていきたいです。そういうやり方でないと僕らはできないし、望んでいる姿でもありますしね。すごく美しい話だし、説得力があると思うんです。

飯田:何年もバンドをやっていると思うのは、自分たちがやりたいこと、やれること、こうでありたいっていう気持ちは、自分たちで勝ち取っていかないといけないってことで。“今までも勝ち取ってきたし、これからもそうであります”ってことをこの曲が強く示していると思うので。だから、さっき言ったようにリード曲になるような自分たちの意思がしっかり反映された曲になってるのかなと思います。