Japanese
THE BACK HORN
Member:山田将司 (Vo) 菅波栄純 (Gu) 岡峰光舟 (Ba) 松田晋二 (Dr)
Interviewer:Mio Yamada
――楽曲がスイッチとなって、記憶を呼び起こすことで、今ではない時間とのつながりをつくりたいということ?
菅波:そうかもしれない。今作っている曲は、独りぼっちだと思っていたけど、誰かとつながっていることを思い出したり、感じたりする曲。
岡峰光舟:そう感じる部分は自分もすごくある。人それぞれ、音楽や匂いで記憶がふっとフラッシュバックしたりする。その感覚はすごくわかるから、CDになって発売されて、みんなの手元に届いたものが、そうなってほしいなっていう思いはあります。この4人のなかでもまったく同じっていうことはないと思うし、聴いてくれる人がそれぞれ感じてくれればうれしいですね。
山田:疑いのない感情をパッケージにしたり、レコーディングでの衝動や自分が演奏しているときの“これは間違いないんだ”っていう最高の形を刻んでいる。お客さんに対しても、自分の中の思い出としても“最高のものを残したい”という気持ちでやってるから。
――確かに、この曲から“今のTHE BACK HORN”をすごく感じました。“つながり”や“記憶”といった他の存在との関係性が色濃く出ているなあと。ラストも“命は生きられない”ではなく、“命は一人じゃ生かしきれない”。誰かの存在があったうえで成り立つ“命”なのかなと思って。だからこそ、この一言は、この曲に対してもすごい大きなことだったんじゃないかと。
菅波:実は一番意識していなかったところなんです。最初は、俺自身があまり意味をわかっていなくて。だけど、絶対この音の中で聴こえる言葉ってこれだなっていう確信があったんです。その後に“世界を取り戻すよ”っていう歌詞ができたときに、この意味がわかってきた。いろいろな生きている状況があって、“生きたい”っていうのと“命を生かしたい”っていうのは違う。“生かしたい”って思った瞬間に、大事な人の顔とかが浮かんできて、自分のなかで沸いてくるパワーの前向きさがちょっと変化したのかなって。「番茶に梅干し」っていう曲でもそうだったけど、今までは“生きたい生きたい”ってそればっかり考えている歌詞を書いてたけど、“生かしたい”って思うようになってきたのかもしれないですね。命のとらえ方の色合いが変わってきたのかも。
松田:俺が思った“命は一人じゃ生かしきれない”っていうのは、命はそれくらいの重さを持っているというか、こんな自分ひとりのちっぽけな体じゃ持て余すくらいの生命力を感じていて。死んだ奴の分まで生きたいと思うし、それが残された俺らの使命だと思う。
――「シリウス」の“生かしきれない”という言葉から、「一つの光」の“生かされてることさえ忘れてゆく”とつながっているところも印象的で。最初は否定で入っているけれど、最後にはすべてを受け入れているなあって。この流れは意図的に?
山田:そうですね。でも曲の流れは全然意識していなかったです。「一つの光」の歌詞は、自分が書きたいことを見つめていて、そしたら近いものになったっていう。
――自分の世界で完結していたものが、誰かの存在が入ってくることによってきたから、命に対するとらえ方が変わったのでしょうか?
菅波:そうかもしれない。
山田:誰かの存在を自分が受け入れたことによって、他者を意識できるようになった。
――“他者の存在を受け入れられるようになった”というのは、どうしてでしょうか?
山田:自分だけがずっと大事だったけど、それだけじゃうまく生きていけないところもあったりして。徐々に周りの存在があって自分があることに気付くようになって、少しずつ周りを受け入れられるようになってきていますね。
岡峰:自分がうれしいことって、単純に人が喜んでくれるからうれしいっていうこともあると思うし。自分だけが楽しいと思うところから変わってきた。みんなが辛いときにいいことがあっても、自分だけうれしいって感じることってないと思うんですよ。
山田:自分が生きていて喜びを大きくしていこうとすると、どうしてもひとりだけの喜びじゃもの足りなくなっちゃうことってありますよね。だから“みんなで”っていう気持ちになることもあります。
――「ひょうひょうと」でも“この命意味などない”と叫んでいたバンドがこの歌詞を歌う。「シリウス」というタイトルもすごく象徴的で、バンドとしての軌跡が見える楽曲だと思います。
菅波:“シリウス”ってめちゃめちゃ明るい星じゃないですか。どこまで逃げても逃げ切れない運命みたい。突然訪れる悲しいこととか、抗えない運命のような強い力をイメージしているんだけど、同時に自分らが強い光でありたいと思っています。こっぱずかしいけど(笑)。
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