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INTERVIEW

Japanese

cinema staff

2017年05月号掲載

cinema staff

メンバー:飯田 瑞規(Vo/Gt) 辻 友貴(Gt) 三島 想平(Ba) 久野 洋平(Dr)

インタビュアー:吉羽 さおり

-特に、アウトロ部分のコーラスの高揚感、クライマックス感がいいんですよね。そして、その曲からの「el golazo」(Track.7)で、アルバム曲らしいヘンテコなポップさで一転させてしまうと。

三島:これは、うん(笑)。内容は、わかる人にわかってもらえればいいかなと。

-歌詞の内容は、サッカー好きでないとピンとこないかもしれないですね(笑)。でもサウンドの面白さとか、明るいシュール感がある曲で楽しめますよ。

三島:そうですね。BUILT TO SPILLですね、これは(笑)。結局、キャッチーな落としどころを作りたいっていうので、自分たちらしくはなってしまうんですけど。

-辻さんのギター・フレーズが効いていますが、この手のフレーズは得意分野ですしね。

辻:そうですね、この感じは好きなので。わりと楽しく、すっと出てきました。

-またミディアムな曲で、物語を想像させるのが「souvenir」(Track.4)。

三島:これはもう大好きな曲ですね。ミドル・テンポの曲を自由に作ってくれって言われたら、こういうのが好きかなっていう曲で。勝手なフランスのイメージで書いた曲で、小麦が揺れていて、ワイン工場があって、みたいな(笑)。バージニアちゃんというキャラクターが大人になっていく様を書いているんです。昔は秘密基地に集合していたような少女たちが、成長して、変わることと変わらないことがあって、というストーリーで。

-「メーヴェの帰還」も、世界観としては近い感覚がありました。

三島:こっちはもうちょっと重たい感じですけどね。世界観の共通は意識してます。完全に同じ世界というよりは、同じ世界線の話というか。ガンダムで言えば、すべて宇宙世紀の話ではありますね(笑)。ウイングガンダムとかは入らない、みたいな。

-多くは、主人公の少年少女たちを取り巻く世界が描かれていますが、人物として、ローティーンの目線で描かれているのは、なぜでしょう。

三島:その方が、純粋に見えているから描きやすいんですよね。政治的なことだったり、戦争があるっていうのをわかっちゃっていると、リアリティがないというか。

-説教くさくなってしまう?

三島:そうですね、説明くさくなってしまうので。「souvenir」に出てくる7月14日は、フランス革命の日なんですよ。例えば、王様が決まったのはなんとなく知ってるんだけど、自分はこうだと思ってる世界と違うところで世界が動いている感覚があるというか。どこか自分が阻害された気持ちになるんだけど、それでも大人にはなるし、きっと結婚もして......という側面の話は、子供目線の方が描きやすいし、イメージしやすいんですよね。大人の観点で描くと、いろいろ考え出してしまうので。特に「souvenir」や「メーヴェの帰還」は、物語っぽいものなのでその方が書きやすいですね。全部が全部、そういう歌詞ではないんですけど。

-子供目線の方が、歌のベクトルとしても希望を持てるところもありますしね。

三島:自分が希望を込めているところもあると思いますしね。

-そのテーマや世界観というのは、制作のどの時点で上がってきたんですか。

三島:僕の脳内では、ある程度こういうベクトルの歌詞を乗せよう、世界観にしようというのは決めているんですけど。もしかしたら、『eve』とか『blueprint』のときの方が明確に決めていたかもしれないです。前回、『Vektor E.P.』を作ったときに、島国で起きている戦争の話を、いろんな側面から描こうというのがあって。今回も具体的にイメージしてなかったんですけど、ヨーロッパの中で起きていることのいろんな方向から描くというのは、なんとなくありましたね。ただ、完全な縛りにはしてないので。「熱源」は、基本的には自分のことを言っている、自分語りの曲ですしね。メッセージ的には『blueprint』とかに近いことがあるので。これは30歳の曲として、書かざるを得なかった曲でもありました。

-今回はアルバムとして、自由に、湧き上がるままに作った作品となりましたが、完成しての手応えとしては、これまでの作品と違うものもありますか。

三島:少なくともここ数年の中では、感触が違う手応えですね。

飯田:『Vektor E.P.』ができあがったとき、ミックスの状態ですごく納得していて、でもマスタリングでまた化けたんです。本当に、鳥肌が立つくらいのいいものができたと思っていて。EPがあまりに良かったから、どうなるかなっていうのは不安半分、期待も半分だったんですけど。結果的に、できたものがcinema staffだったし。聴いたことがないようなものを自分たちで鳴らせる楽しさや、嬉しさもある。早くライヴで演奏したいし、すごく納得していますね。

-前作『eve』でのプロデューサーとのタッグによるいい流れもありましたが、そこをあっさりと破壊してもう1回、自分たちのエネルギーを取り戻しながら作っていくという。それを思い切ってできるのは、このバンドの面白さでもあるし、やっぱりちょっと捻くれてきてるんだなっていうのが伝わりますね(笑)。メジャーで活動しながら、自分たちの核をブレずにやっているっていうのが、cinema staffでもあります。

三島:ここは、守られるだろうというところは守られているなというのは、毎回思いますね。一番振り切ったアルバム『eve』でもそれはあったし。それはきっと、この歳にして変わることじゃないかなっていうのも思うし、そこは4人はもちろん、ディレクターやA&Rも意識してくれるというか、そこはそうだよねって思ってくれている。だから、5年もやってもらっていると思うし。

-バンドとして、いいモデルになっているのでは?

飯田:だといいですね。今回はすべて、大切なものを大切にしたいなって話なんですよね。こう守ってきて、こう大切にしていきたいんだっていう話で、ひとつひとつ説明できるくらい。そういう歌が詰まっていると思います。