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INTERVIEW

Japanese

cinema staff

2021年07月号掲載

cinema staff

Member:辻 友貴(Gt) 飯田 瑞規(Vo/Gt) 三島 想平(Ba) 久野 洋平(Dr)

Interviewer:秦 理絵

-3曲目の「NEWDAWN」は、バンド結成当時、「DAWN」という曲名でよくライヴで演奏していた曲だそうですね。

三島:18歳のときに書いた曲です。

飯田:今までも音源化しようっていう話は出てたんですよ。でも、"なんか違うかな"っていうのを何回繰り返したんだろうっていう曲ですよね。

-「極夜」と「白夜」が太陽をテーマにしてるところがあるから、夜明けの意味を持つ「NEWDAWN」も合いそうだっていうことだったんですか?

三島:いや、そういうことではないかな。過去曲の中から何を入れようかっていうときに満場一致だったんですよ。特に久野が好きで。

久野:単純に昔からサビのメロディが好きで。

飯田:うん、めちゃくちゃいい。

久野:まだ自分が加入してないシネマ時代の印象的な曲だったんですよね。シネマっぽさがすごくあるから、ずっとやりたいって言ってたんですけど。当時のままだと、さすがにハズいよねみたいな部分があって。リアレンジも思いつかないしっていうので、10年ぐらい放置されてたんです。

三島:もともとすごくイントロが長い曲だったんですよ。たぶん当時ライヴで演奏するのを意識して作ってたんですよね。今聴くとそれがだるくて、でもそのイントロに曲に必要な要素が結構入ってるから、触れられないなっていうところに、ようやくメスが入りましたね。

飯田:三島が高校時代に宅録で作ったやつだもんね。教室で聴かせてもらって。そう考えるとすげぇな。VELTPUNCHとか、当時好きだった音楽に影響されてますね。

-今回のリアレンジでどんなふうに変わったんですか?

飯田:よりソリッドになったよね。

三島:無駄を削った感じです。

久野:ちゃんと若さがなくなったんですよ。

辻:当時、自分のギターがなかなか決まらなくて、なんとなくで弾いてたんです。そこからずっと音源化がされなかったのは、決定的な何かが足りなかったからだと思います。それをちゃんと納得のいく形で作り直せたのは良かったですね。

-CD盤のみに収録される「stereo future」と「ANSWER」は、さらにバンド初期のデモ音源から掘り起こしてきた曲ですね。アレンジもかなりストレートで。

飯田:高校の文化祭のときの曲なんですよね。

三島:このストレートさは飯田が作った曲だからっていうのがあるかもしれないです。

飯田:もう自分の曲とも思ってないですけど(笑)。あえてその当時と同じ感じでやってるんです。「ANSWER」のフランジャー(エフェクター)の感じとか。

三島:再現してるよね。

久野:「stereo future」と「ANSWER」に関しては、ファン・サービスです。昔はファン・サービスとしてもこういうのは恥ずかしさみたいなものがあったのが、"いや、これはこれでいいよね"って出せるようになりましたね。

-どうして、そう言えるようになったんですか?

三島:まぁ、歳をとったからですよね(笑)。

久野:今に自信があるからじゃないですかね。それを出したところでブレない。

三島:これはこれ、みたいな感じですよね。

久野:こういうのって言い出すのは僕なんですけど、それを言えるのも、僕がいない期間の曲だからなんですよね。本人たちが恥ずかしいのはわかるけど、客観的に見て、別にいい曲だよって思える。ちゃんといい曲だと思える成分が入ってたんです。

飯田:この2曲はCDについてる特典バッジぐらいの感じですよ。今の音でやってみて、その先の作品のために、いろいろ試せたらいいなっていうのもあったし。

-飯田さん、「stereo future」と「ANSWER」を作った当時のことは覚えてます?

飯田:マジで覚えてないです。

久野:特に「stereo future」はめちゃくちゃ変わってるしね。

三島:「stereo future」はコンピレーションCDにも入ってたんですよね。大学生のバンドのフェスが名古屋であって、そこで優勝して。出てたバンドのコンピで、一応流通はしたんですよ。そこから、『DAWNY SONG COLLECTION』(3rdデモ)に入るまで二転三転してるんです。ボサノヴァっぽいアレンジとかもあったからね。飯田がバンアパ(the band apart)に影響されてたから。

飯田:それ、「stereo future」だったっけ?

久野:それは「moon calf」(未発表曲)じゃない?

飯田:「moon calf」! よく出てきたな。なんでお前、それ出てくんの?

久野:叩けるようにしようと思ったから。

飯田:懐かしい。

久野:バンアパの「fool proof」みたいなアレンジだったんですよね。

飯田:雑誌にバンアパのコードが載ってたんですよ。そのコードを全部使った曲です。

三島:ずーっとマイナー・セブンスで。

-「ANSWER」のほうで覚えてることはありますか?

飯田:高校の文化祭のテーマ・ソング用に作ったんですけど。給食の時間に流してもらえたっていう曲でしたね。当時作ったデモはクソみたいなやつでした(笑)。

辻:今聴くと、ダサいギター弾いてるなって思うけど、それもそのまま入れてて。

三島:"考え直すと恥ずかしい"って言ってたもんね。

辻:レコーディングのときも、この2曲に関してはあんまり考えたくなくて。完全に竹さんに任せてました。"これはどうする?"って聞かれて......。

三島:"なんでもいいです!"ってね(笑)。

久野:でも、音色でそのダサいフレーズがかっこ良く聴こえるのがいいなと思ったんですよね。

飯田:それは絶対そうだね。

-あと、今作はShinya Hanafusaさんのパッケージ・デザインも素敵ですね。「極夜」と「白夜」の幻想的な世界が表現されていて。

三島:この期間でチーム感が強化されてる感じはしますね。Hanafusaは『eve』(2016年リリースの5thフル・アルバム)以降ずっとやってもらってはいるんですけど。だいぶ俺らの製作に入り込んでくれてて。デザインに関してはかなり汲み取ってもらえてるんです。何も言わずにどうしたいのかをわかってくれてる。そこが『白夜/極夜 E.P.』では成功してるところですよね。

久野:Hanafusaはもともとバンドマンで、同い年だし、当時対バンとかもしてたんですよ。Far Franceっていうバンドなんですけど。だから言わなくても通じるんですよね。

三島:"OOPARTS"のときは俺らより泣いてましたから(笑)。

-長くバンドを続けることで築き上げられるチーム感っていいですよね。チーム全体でcinema staffになっていくというか。

三島:そういうふうに思ってくれてる人が増えてる感じはありますね。マネジメントやカメラ・チームや、音響、照明、舞台チームもみんなです。"みんなで頑張ろうぜ"っていう感じになってるのはすごくいいなと思います。

-今のバンドのモードで作り上げる次回作も楽しみです。

三島:期待してほしいです。実はもう作り出してるんですよ。アルバムを作り始めてるっていうことはぜひ書いておいてください。

-オリジナル(アルバム)としては『熱源』以来ですよ。あれが2017年だから......。

飯田:もう4年も前か。

三島:やべぇ。

-今回、改めて自分たちの過去と向き合うような作業をしたことで、何かフィードバックするものもありそうですか?

三島:もちろん。正直すごい売れるんじゃないかと思ってるんですよね。

-おぉっ!

飯田:コロナ禍になったことで、俺ら、逆に"続けられるな"って思っちゃったんですよ。ともすれば淘汰されていくんだろうなっていうのはあるじゃないですか。業界的にも。

-本当に実力のある人、価値のあるものだけが残っていくことになるでしょうね。

飯田:そう、本当にかっこいいバンドだけが残っていくだろうなって思うんです。だったら、たぶん俺らは残れるわって思ってて。もちろん、昨日(※取材は6月9日)のハロ(Halo at 四畳半)みたいに、いろいろな理由で解散を選んだ最高にかっこいいバンドもいるけど。

三島:この世代のバンドとしては、後輩に戦っている姿を見せたいっていうのはすごく思うようになってますね。昨日ハロを観て特に思っちゃったな。

飯田:すごかったよね、あれ。

三島:頑張ろう、と思いましたよね。