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INTERVIEW

Japanese

THE BACK HORN

2020年10月号掲載

THE BACK HORN

メンバー:菅波 栄純(Gt) 岡峰 光舟(Ba)

インタビュアー:石角 友香

小説の中での、主人公の人との出会いや変化を自分に照らし合わせて考えることができましたね


-謎のワードになっちゃいますが(笑)、実感したい人はぜひ読んでいただいて。住野さんの今回の作品もそうですけど、バックホーンの今回の5曲も一歩大人としての現実も描いていると思いました。熱くてリアリティがあるバックホーンに加えて、今生きてる大人としてのリアリティもある作品なのかなと。

岡峰:熱量はあるんですけど、俺らの汗っぽい感じとかはあんまないかもしれない。

-大人になって忘れないこともあるけど、変わっちゃうこともある。そういうことも受け入れてる感じがすごくしたんです。

菅波:タイトルがまさにそれを予感させてますもんね。変化というか、時間的経過が絶対あるんだなっていうか。

-このタイトルが開始当初からあったってこともすごいなと思います。

菅波:でも、このタイトルに引っ張られて考えさせられたところはありますね。じゃあ忘れるってことがいいことなのか。悪いことばっかりじゃないだろうし、でも、忘れたくないこともあるっていうのがいいことなのかもしれないしとか、頭で忘れてても、あるときいきなり蘇ることってなんだろう? とか。あと身体が覚えてる......エロい意味じゃなくて(笑)、細胞レベルで覚えてるみたいな記憶ってあんのかなと思って。俺だったら、ロック・バンドになる、みたいな――何を恥ずかしいこと言ってるのか(笑)――いや、でも、そんな記憶っていうものに想いを馳せることができる作品だったんですよね。

-締めくくりに「輪郭」がありますけど、この曲にインタールードをつけようと思ったのは?

菅波:小説の中に歌詞が出てくるっていうアイディアがあって。そこから膨らませてフル・バージョンを作りました。インタールードのほうは小説を読んでるときに頭に浮かんでくるようなものを再現して、バンド・バージョンのほうは住野さんが4行書いてくれた歌詞が入ってて、より小説と音楽サイドの融合を目指した曲なんです。住野さんの書いたところは"産み落とされた"からの4行。で、小説の中に出てくる歌詞はマツが書いてて。

-"空っぽな世界で"からの4行は松田さんだったんですね。

菅波:で、フル・バージョンにしたときにこの大サビの4行を住野さんに書いてもらいました。

-まさに小説とのコラボ。インタールードは世武裕子さんが歌ってますが、経緯としては?

菅波:世武さんの声が良くて。住野さんと相談してイメージに近い人っていうので世武さんが挙がったんですけど、すごく良かったですね。

-いわば"輪郭"っていうのも小説の中で重要なモチーフですよね。松田さんは"輪郭"っていうタイトルの曲を作ろうとしてたんですか。

菅波:他のはわからないですけど、結構、試行錯誤してたのでタイトルはいくつかあったっぽいですね。でも、"輪郭"最終的にすごくいいなと思う。

-ピアノ・メインのミディアム・ナンバーかと思いきや、それだけじゃないし。

菅波:轟音ギターも結構入ってくるし、オルタナっぽいなと思って。あのアレンジは将司が最初にピアノを入れて、ピアノ・エモ的な感じというか。でも、将司はそのへんの音楽を趣味としては直接聴いてるわけではないと思うので、不思議なんですけど。

-小説の中で章立てとか見出しとか、タイトルは付いてないけど、4曲のタイトルがそれにあたる感じがしますね。

菅波:それはたぶん絶妙な距離感で作れたんだなっていう実感が今湧きましたね。

-では、ネタバレしない程度にこの小説自体の感想を聞かせてください。

岡峰:俺は感想というか、途中までは貰った資料や、今できたての原稿ですみたいな状態で読んでたんですけど、その"大人編"というか、途中ぐらいから連載で読み出したんです。だから、毎週普通に楽しみにするようになっちゃって。

-リアルタイムで読んでたんですね。

岡峰:だから、面白かったですけどね。1週間おきに"あー、もうバカ!"とか(笑)、ファン目線で見ちゃってたから。

菅波:"それは言うな!"とか(笑)。連載で読むときのテンション感あるよな。俺、連載で全然追っかけないのと、読むの早いんで、漫画とかは単行本派なんです。だから、俺は一気に読んだんですけど、感想としては初の恋愛長編であるとか、異世界という設定が出てくるとかがエンタメとして面白いのは前提であるとしても、カヤに結構感情移入して読んだんですよ。出会いによって自分がめちゃめちゃ変えられていくこと、自分がめちゃめちゃ大事だなと思ってたことが気づいたら薄れていくけど、なんらかの形で新しい自分として成立していくことは、悪いことじゃないんだなというのを自分に照らし合わせて考えることができました。そうすると、バンドに――THE BACK HORNに入ってなかったらこんなにライヴが好きになってなかっただろうし、コロナ禍になってファンに会えないのが寂しいとか思うこともなかっただろうし、メンバーに会いたいなとか感じるなんて思ってもなかったので、そういう変化があったんだなって。なんかわかんないけど、俺、ひとりで生きていけるみたいな自負が18歳ぐらいであったんですよ(笑)。ひとりで生きていけるし、寂しさとかも共感できないと思ってたけど、一丁前に寂しいっていうのを共感できるように変わってきた自分と照らし合わせて。それは弱くなったってことだけど、この小説を読んで、いい弱さでもあるのかなというのもちょっと思いましたね。

-他の制作もありながら、小説とコラボする経験はどうでしたか?

岡峰:発売日を迎えたときに、形態としても、今までと全然違うじゃないですか。"本屋に走ってくれ"って言ったことないし(笑)。いろんなことが俺らにとっても初めてだったし、スタッフ間でも、その出版業界と音楽業界の違いもあるだろうし、いろんな人の力添えがないとこのコラボも成立しなかったと思うんです。バックホーンだけでも住野さんだけでもできなかったことでもあるし。またひとつ違う視点で読んだり、聴いたりできる作品かなと思います。

RELEASE INFORMATION

THE BACK HORN
『この気持ちもいつか忘れる』
[SPEEDSTAR RECORDS]
NOW ON SALE
配信はこちら

住野よる
『この気持ちもいつか忘れる』
[新潮社]
【CD付・先行限定版】
978-4-10-350832-8/¥1,700(税別)
NOW ON SALE ※プレイパスコード付き
【書籍】
978-4-10-350833-5/¥1,600(税別)
NOW ON SALE
※10月に刊行の書籍にはCD&プレイパスは付きませんのでご注意ください。