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INTERVIEW

Japanese

GLIM SPANKY × Skream! × バイトル

2018年11月号掲載

GLIM SPANKY × Skream! × バイトル

Member:松尾 レミ(Vo/Gt) 亀本 寛貴(Gt)

Interviewer:吉羽 さおり Photo by 石崎祥子

GLIM SPANKY × Skream! × バイトル
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-そうならないように必死でバンドを頑張ったんじゃないですか。

亀本:それはありますね。音楽がダメだったらマジでクズになるから頑張ろうって。親には大学は辞めるなと言われていたんですけど、絶対に辞めるって思っていたんです。だから、音楽でダメだったらヤバいなという気持ちでやってました。

松尾:私は大学がとにかく厳しかったので、それがすごくしんどかったですね。バンドでお金がないとか、忙しくてしんどさを感じることはなかったんです。でも大学は、人生で一番くらいしんどかったかもしれない。授業が難しくて。うちの大学は、入学式の次の日から先生がみんなに説教するんですよ。"あなたたちは大学に遊びに来たんじゃないんです。あなたたちはクリエイターの卵だから、今から社会に出たつもりで必死でやれ"って。私は何もしてないのに、全員の前で怒られたりしました(笑)。

亀本:"私はデザイナーじゃなくバンドをやるんだから"とは言わなかったの?

松尾:でも、バンドのアートワークのデザインとかも自分でやりたかったから、ちゃんと学ばないといけないと思ってやっていたんです。作品作りで寝ずにやることもあるんですけど、それで"しんどいな"とか言ってると、先生が後ろから来て、"そんなことでへこたれるな"って言われるという。大学がすごく厳しかったから、バンドは息抜きにもなったし、楽しかったんですよね。あと、バイトも楽しかったし。

-では、当時の自分たちのように夢を追い掛けながらバイトをしている人へ、おふたりからメッセージをお願いします。

亀本:当たり前だけど、何かを成功させるにはしんどいことがあるんですよね。昨日もちょうどミュージシャンの友達と飲んでいて、"松岡修造さんみたいに熱くてウザい"って言われたんだけど──

松尾:言われたんだ(笑)。

亀本:楽器を運ぶのが重くてしんどいとか言っている人がいるんですけど、それをやってないと、プロになって人にやってもらったときにありがたみがわからないし。アンプがどれだけ重いかわかってない奴は、いい音出せないだろっていう話をしていたんですよね。それと一緒で、お金を稼ぐのって大変だし、めんどくささも必要じゃないですか。でもそれをわかってないと結局ダメでしょうっていうところがあると思うので。必要な努力だし、労力だなって思うんです。だから、頑張ってくださいっていう気持ちですね。

松尾:たしかにそれをしないとわからない痛みとかはあるよね。知っておかなきゃダメだとは言わないけど、知っておくと糧になるなって思いますね。怒られることもそうだし。

亀本:怒られないに越したことはないし、親がお金持ちでバイトしなくてもいいなら、それに越したことはないけど、自分でお金を稼ぐ大変さやしんどさをわかって、また表現できることってあると思うから、プラスには絶対になるんじゃないかな。

松尾:そうだね。あとは自分で稼いだお金を使う楽しさ(笑)。それは、かなり大きいと思います。

-ではここで、今回ドリームバイトに選ばれた平松さんにバトンタッチしますが、ちなみに平松さんは松尾さんの大学の後輩にあたるそうです。

松尾:ほんとですか! 何学部ですか。

平松:音楽です、情報音楽を専攻してます。

松尾:情報音楽は厳しいですか。

平松:はい、厳しいです(笑)。では、よろしくお願いします。今、私は大学4年生で就職活動が終わって、あと少しで大学卒業というところなんですが──

亀本:進路は決まったんですか。

平松:はい、決まりました。

松尾&亀本:おめでとうございます!

平松:ありがとうございます。GLIM SPANKYのおふたりは音楽やアートワーク、活動に関わるすべてのことを楽しんでやっている印象があります。私も希望する職場への就職が決まって、楽しんでやりたいんですけど、好きなことが仕事になることで、それを楽しめなくなってしまう瞬間はありますか。

亀本:僕らの場合は一応これでお金を稼いでいるけど、"仕事"じゃないじゃん? 音楽っていう創作物を作って発表してるだけなので。それって仕事なの? みたいな感じがあって。

松尾:私たちは、結構そういう話をするんです。でも、"しんどい"って言うミュージシャンももちろんいます。

亀本:たしかにね。

松尾:私の場合は、その仕事が苦しいというよりは、作品の生みの苦しみはありますね。でもそれで音楽が嫌いになったり、楽しくなくなったりというのはないですね。

平松:私自身、大学で作品を作ったり発表したりしていたので、その生みの苦しみというのはちょっとわかる感覚があります。松尾さんは、その生みの苦しみに陥ったときに、どういうものがモチベーションとなって乗り越えられていますか。

松尾:カッコいいものを作りたい、っていうことかな。自分の欲というか。

亀本:ある意味自己満足だよね。

松尾:ただ例えば映画とかドラマとかへの書き下ろし曲だと、クライアント仕事じゃない?

亀本:ある意味でね。自分の作品でもあるけど。

松尾:そう。でも、GLIM SPANKYの場合は本当に幸運なことに、"こういう歌詞にしろ"とか"こういう曲にしろ"と言ってくる人はいないんです。たとえ、"テンポが速い曲を作ってください"とか、"攻撃的な、刺激的な歌詞を書いてください"という要望があったとしても、それを理解したうえで、自分が何を表現できるかで。クライアントの要望にも応えつつ、それを上回るくらい自分の欲が満たされる音楽を作ろうという感覚でやっているので、結局は自分が満足いったかどうかなんですよね。

亀本:要するにあまり気にしなくていい仕事なので、そういうストレスっていうのはないんです。そのぶん従業員や社員ではないので、何も生活が保証されていない。例えば今日こうしてレコード会社で取材をしていますけど、レコード会社にとって僕らは従業員ではなくて、CDという作品を作っているアーティストという商品であって。レコード会社は、それが売れなかったら違う商品に取り替えるだけの話で、僕らが売れなかったら僕らが退場するだけなんです。そういうリスクは背負っているけど、だからこそ絶対に自分たちが納得できるものを作りたいという気持ちでやっていますね。

松尾:うん。私たちは結構特殊だとも言われます。他のバンドの子と、例えば"書き下ろしとか、大変なこともあるよね"っていう話になったときに、"なんでそんなにしんどそうな顔してないの?"って言われたこともあって。私たちの考えがめちゃくちゃ楽観的なのかもしれないし、特殊なのかもしれないけど、私たち自身いろんな大きなことを言うので、それも逆に自分の糧になっているのかもしれない。"これができないのに、なんであれを言えたのか"って自分でも思うから。

亀本:(サッカーの)本田圭佑選手のスタイルだね。デカいことを言って、自分にプレッシャーをかけて頑張るっていう。ただ、仮に"仕事"をするとしたら、自分はこうだと思うけど求められていることは違う、という葛藤も絶対にあるよね。

松尾:絶対あると思う。

亀本:僕らもそれはないわけじゃないけど、ほぼない仕事かなという感じです。答えになってないかもしれないけど(笑)。