Japanese
マカロニえんぴつ × Skream! × バイトル
2019年08月号掲載
Member:はっとり(Vo/Gt)
Interviewer:吉羽 さおり Photo by 石崎祥子
日本最大級のアルバイト求人情報サイト"バイトル"とSkream!による企画"激的アルバイトーーク!"の今回のゲストは、マカロニえんぴつのフロントマン、はっとり。2012年に音大の仲間で結成したマカロニえんぴつは、耳に残るキャッチーでフレンドリー(で、シニカル)な歌と、シンプルでいて洗練されたサウンドでファンの裾野を広げており、フェスやイベント、多彩なバンドのツアー・ゲストに呼ばれるなど、そのポップ・センスで四方八方にマカロック・アディクトを増やしているバンドだ。9月にはニュー・ミニ・アルバム『season』をリリースし、10月よりワンマン・ツアーを開催と、さらに勢いづいているが、そんな彼が学生時代をどんなふうに過ごし、どんなアルバイトをしてきたのか話を訊いた。今回はマカロニえんぴつにインタビューをするドリームバイト企画に選ばれた大学生、西川沙里さんもSkream!編集部員として取材に参加して、質問をぶつけてもらった。
マカロニえんぴつ × Skream! × バイトル
キャンペーン情報
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-初めてのアルバイトはどんな仕事でしたか?
高校時代は、学校でバイト禁止だったんですけど、卒業間近でバンドの機材が欲しいというので隠れてバイトをしたのが最初でしたね。短期のバイトだったんですけど、工場でクリスマスケーキのイチゴを乗せるバイトをしてました(笑)。結局、給料明細が家に届いたことで親にバレて、めちゃくちゃ怒られましたね。
-家族にも内緒だったんですね。その欲しかった機材は買えたんですか?
そうですね。エフェクターとかだったと思うんですけど、それが買えるだけの出勤期間でやっていたんです。でも、きつかったですね。しかも、泊まり込みでやっていたんです。高校3年生で長い休み期間だったので、友達の家に泊まりにいくみたいな適当な口実をつけて、工場に泊まって朝から晩まで働くというのを5日間くらいやっていたのかな? その寝る部屋が暗かったんですよね。布団とかもなくて床でごろ寝する感じで。
-"バイトってこういうものなのか?"っていう感じですね。
最初のバイトがそれだったので(笑)。その次のバイトは大学で上京してからで、カラオケ屋のアルバイトをしてました。大学1年生から3年生くらいまでやっていましたね。でも、時給が全然上がらなかったんです。テストみたいなのを受ければ昇給できたんですけど、面倒臭くて申請をしないまま最低時給で頑張ってました。
-掛け持ちしてバイトをするような感じではなかったんですね。
大学時代はそのバイトしかやってなかったですね。卒業してからはクリーニング屋さんのバイトをしてました。それも高校生以来の、久々の工場勤務で(笑)。神奈川一帯にあるチェーンのクリーニング店だったんですけど、お店で受け取った洗い物が工場に運ばれてくるんです。パートのおばちゃんと一緒にデッカい洗濯機回して、アイロンかけてとか流れ作業でやっていくんですけど、それはなかなかきつかったですね。でも、シフトの融通が利いたんです。普通のバイトって、ひと月前にシフトを出さなきゃいけないことが多いんですけど、そこは工場長が優しいところで、1週間前でいいよっていうところだったんですよ。
-バンド活動ともうまく両立できそうですね。
バンドがやりやすいなと思って選びました。すごくお世話になりましたね。バンドマンって、朝まで打ち上げとかするじゃないですか。それで始発で家に帰って、バイトは9時出勤なんですよね。行きたくないなっていう日が多すぎて、特に打ち上げで朝帰りした日は、"今日は行けません"ってメールを入れて。それでも工場長が許してくれたんですよね。"ちゃんと休めよ"って言ってくれて。その優しさに甘えて、ずっと働かせてもらっていました。
-職場では、パートのおばちゃんと一緒になることが多かったんですか?
若い人は、俺ともうひとりくらいでしたね。その人は、ふたつ上の画家のお兄さんでした。おばちゃんって、そういう夢追い人に優しいんですよ。それでかわいがってもらいましたね。テレビに出たときは、"録画して観たよ"って言ってくれたりして。工場では音楽が流れているんですけど、"流すからバンドのCD持ってきなよ"ってずっと言われていたんです。さすがに仕事中に自分の曲は絶対に聴きたくないなっていうので、"今度持ってきます"って言って結局持っていかなかったですけど。
-その工場では、はっとりさんは具体的にどんなところを担当していたんですか?
アイロンとかが多かったですね。ボディの形をした専用アイロンで、機械でできるんですけど。ひたすら流れてきたワイシャツとかにアイロンを掛けて、それをハンガーに掛けて次の工程に流してっていう感じでしたね。ポジションごとにやることは違うんですけど、僕は結構"ボディ"に入ることが多かったですね。長くいたので、どのパートに入っても速かったです。特に"ボディ"に関してはめちゃくちゃ早かったから重宝されてました。でも、ベテランのおばちゃんには勝てなかったですね。
-そこはキャリアが違いますから(笑)。
18年やってるおばちゃんとかいるんですよ。僕、本名が河野なんですけど、"河野君遅いよ~"ってずっと言われてました。だいぶ速いほうなんですけどね。おばちゃんが速すぎるだけで。だから、ライバルでしたね。
-仕事に入ると、"楽しんでやろう"という感じですか?
無心でできるのが良かったです。その前にやっていたカラオケでは接客をしていたんですけど、俺向いてないなと思って。気疲れするというか。クリーニングの工場勤務は、時間が経つのも早かったんですよね。ただ、夏場が地獄なんです。暑さがすごいし、アイロンとかの熱もあるからこもるんですよ。気休め程度の送風機みたいなやつがセクションごとにあるんですけど、ぬるい風しか来ないんですよね。夏場は、1日で2リットルのペットボトルの水を余裕で飲んでました。あれはきつかったな。でもわりと最近までやっていたんですよ。去年までやっていたので。
-そうだったんですね。
辞めるときも、良くないなと思うんですけど、あれだけ世話になったのに、シフトを出さなくなって、ぬるっと辞めちゃったんです。最後は挨拶に行くべきだったなと思いながら、なんとなく行かなくなって早半年以上で、すごく心残りではあります。今も0円の給料明細の通知がメールで毎月送られてくるので、"あ、除名されてないんだな"って思うんですけどね(笑)。
-今はいろんなところでバンドを目にする機会もあるでしょうから、"頑張っているんだな"って思ってくれているんじゃないですかね。
見てくれていたらいいんですけどね。
-ではそのバイト時代は、昼間働いて、夜にスタジオに入ってという生活ですか。
そうですね、帰って家で作業をするとかも多かったですね。ただ、本当に疲れていたので、音楽の作業が手につかずに疲れて寝ちゃうとかもありました。夜中に起きてそこから作業をして、また朝早く出かけてっていう悪循環でしたね。
-早くこの状況から抜け出したいっていう。
それはありましたね。
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