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INTERVIEW

Japanese

GLIM SPANKY

2014年06月号掲載

GLIM SPANKY

Member:松尾 レミ (Vo/Gt) 亀本 寛貴 (Gt)

Interviewer:山口 智男

大人びたそのロック・サウンドを聴けば、ウルサ型のロック・ファンも唸るに違いない。"Janis Joplinの再来"と謳われる松尾レミ(Vo/Gt)と亀本寛貴(Gt)の2人組、GLIM SPANKYがカヴァー2曲を含むミニ・アルバム『焦燥』でメジャー・デビューを飾る。ある意味、ロックが最もロックらしかったと言える60~70年代の音を拠りどころとしながら、2人が追求するのは懐古などではなく、今、奏でるべきロック・サウンドだ。平成生まれながら、横の広がりよりもむしろ縦のつながりを求め、音楽を聴いてきたという2人にインタビュー。

-なんでも、出身地は長野のすごい田舎だそうですね。

松尾:ザ・田舎ですね。私が住んでたところは村なので。駅もないんです。信号機も1個しかなかった。この前、3つになりましたけど(笑)。コンビニもこの前、ようやくうちの近くに1軒できました。家の目の前が田んぼで、裏が果樹園と森。道路をサワガニが普通に歩いてるんです(笑)。

-今も?

松尾:はい、今も。

亀本:10年経ってもたいして景色が変わらない(笑)。

松尾:それぐらいの田舎の出身で。(亀本も)同じようなところなんですけど。

-そういう田舎で60年代や70年代の音楽を聴きながらバンドを始めたそうですね?

亀本:よく勘違いされるんですけど、僕ら2人がたまたま共通の趣味を持ってたからバンドを組んだわけではないんですよ。

松尾:私の実家は元々、音楽とか美術とかに興味があるというか、とても好きな家庭だったんです。だから毎日、レコードは回ってたし、親もギターを弾きながら歌ってたし、レコードとかCDとか本とかが壁一面に並んでたので、幼い頃から知らず知らずのうちにいろいろな音楽を耳にしていたというのがあって、今のサウンドに行き着いたのかなというのはあるんですけど、特にそういう音楽をやりたいと意識したわけではないんですよ。もちろん、60年代とか70年代とかの音楽は大好きなんですけど、中学に入ってロックに出会うまでは普通にJ-POP聴いてました。

亀本:僕も洋楽を聴くようになったのは高校3年とか大学1年とかでした。しかも最初に好きになったのはRADIOHEAD。でも、みんな、家族が特別音楽好きじゃなくても、いろいろ聴くようになるじゃないですか。僕もそこからいろいろ聴きはじめて、60年代、70年代のロックに辿りつきました。だから、今、GLIM SPANKYでやってるサウンドは自然に辿りついたって感じなんです。"お父さんがEric Clapton好きなの?"ってよく言われるんですけど、お父さんはMichael Jacksonが好きですしね(笑)。

松尾:私も小学校の時は普通にaikoとかthe brilliant greenとかYUKIとかが好きでした。ロックはいつも家でかかっていて日常的なものだったので、あえて聴こうとはしていませんでしたね、中学生の最初ぐらいまでは。でも、中2の時に一部の音楽好きの間で、BUMP OF CHICKENとかフジファブリックとかが流行りはじめて。私は最初、BUMP OF CHICKENが好きだったんですけど、聴いてるうちに彼らが誰から影響を受けたのか気になりだしたんですよ。

亀本:そうそう。

松尾:そこからTHE WHOとかTHE ROLLING STONESとかに辿りついたんです。そしたら父親が"え、おまえTHE WHO聴くの!?"って、たまたまうちにあった『ウッドストック / 愛と平和と音楽の三日間』ってウッドストック・フェスティバル(1969年開催)のドキュメンタリーのDVDを、"バンドやりたいなら見ておけ"って。それで、バンドを一緒にやろうと言ってた音楽好きの友達と見たら感動しちゃったんです。

-古臭いとは思わなかったですか?

松尾:いえ、それはなかったです。元々、家で流れてたからなんとなく知ってはいたんで、あ、これがTHE WHOなのかって確認作業みたいでした。Janis Joplinも、うちの父が集めてたLIFEって雑誌の表紙で知ってたので違和感は特になく、ああ、この人なんだって見ることができました。でも、THE BEATLESを最初に聴いた時は、なんだ、このスッカスカの音は!?と思いました(笑)。

-スッカスカでしたか(笑)?

松尾:「Help」を最初聴いたとき、ヘタクソって思いました(笑)。

亀本:失礼だな。

松尾:でも、日本の......。

亀本:わかるわかる。わかるよ。

松尾:密度の濃いサウンドに慣れてると......。

亀本:聴けないよね。しょぼいと感じてしまうよね。そう言えば、高校時代、レミさんとそういう話をよくしてたよね。けっこうクソマジメにバンドをやってたんですけど、ある日、レミさんが突然"音楽の歴史を学ばなきゃいけない。THE BEATLESはちゃんと聴かなきゃいけない"って言い出して、えぇ、だるい、しょぼい、いやだって(笑)。そういう議論を何時間もしてました。

松尾:してたしてた。1日1個、ロックのトリビアを調べてきて、昼休みに交換しあうみたいなことをやってました。ホント、真面目にロックを学んでましたね(笑)。 亀本:CD屋さんに行って、洋楽を片っ端から聴いてみるわけですよ。でも、年代がわからないからバラバラに......。たとえばNIRVANAを聴いた後、GUNS N' ROSESを聴いたり、OASISを聴いたりってやりながら、最初に好きになったのがRADIOHEADだったんですけど、RADIOHEADは違和感なく聴けるじゃないですか。でも、GUNS N' ROSESの次にたまたまTHE WHOを聴いてみたら、初期なんてギターも歪んでなくてテケテケって音で、はぁ!?って(笑)。

松尾:私は中学の時にTHE WHITE STRIPESにどハマりして、そこからLED ZEPPELINに行けたみたいなのがあったんですけど、でも、LED ZEPPELINも音がこもってるというか、遠いところで鳴ってるなっていうのがありました。