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INTERVIEW

Japanese

THE BACK HORN

2017年03月号掲載

THE BACK HORN

メンバー:菅波 栄純(Gt)

インタビュアー:石角 友香

-THE BACK HORNも『With You』(2016年10月リリースの24thシングル)を出して、ストリングスを交えた編成でのツアーもあって。今、バンドがやってることとシンクロしてるなと感じました。

それは思いました。こういうのはちょっと狙ってできないシンクロだなと(笑)。

-この曲はいい意味で、誰の曲とか意識せずに聴かれていくんじゃないかな? と思うんです。

それはいい意味で言ってるニュアンスはわかります。よみ人しらずでも残っていく歌って、我々作家には究極としてあって。宇多田さんもどこかのインタビューで言ってました。まぁ、宇多田さんの場合は、俺が言うのとは違って、よみ人しらずの歌で残したいような言葉はバックグラウンドにもっとニュアンスがあると思うんですけど。

-作り手のエゴじゃないという意味でしょうね。

この「あなたが待ってる」(Track.1)は、そういう曲なんです。THE BACK HORNとして続いてるテーマももちろんこの曲には入ってるし、それはなんかこう、前向きな曲なんだけど、背面にある、死とかの終わりを感じさせる部分。でも、感じる人には感じてもらえればいいし、別にそれを表面に出したいわけではないけど、"あなたが待ってると思うだけで/もうそれだけであったかい"と思い浮かべた人が、生きてる人だろうが、もうこの世にいない人であろうが、同じ意味になる歌詞ではあって。思い浮かべて心があったかくなる限りは、その人は存在してるってことだろう? っていうような歌詞なので。

-そうなんですよね。自分で自分のことだけ考えててもわからないというか。あなたという人の真実とか主義とか思想みたいなものとか、影響みたいなもので"自分"は成り立ってるから、その対象が生きてるか死んでるかはあまり関係ない。だから、ラヴ・ソングと考えると大事にしたい人なんだろうけど、ここでの"あなた"は自分を構成してる原材料というか。

ほんとそうですね。ミュージシャン自体、聴いてくれる"あなた"がいなかったら、存在自体が危ういものじゃないですか。だから、ミュージシャンは"あなたがいる"っていう、いてくれるっていうことに対する気持ちが切迫してるんですよ。それで余計に、自分たちはこういうことを思うんだけど。それこそさっき言ってたように、"自分"っていうものは大事な人がいて、その大事な人の存在とか、周りを取り巻く人たちが自分というものを形作っているように、自分ひとりで見つけた真実みたいなものをガーッて独白していく側面もTHE BACK HORNの音楽にはあるじゃないですか。それはそれで人に刺していく強さがあって。だけど「あなたが待ってる」で宇多田さんが参加してくれたこととか、今思えば、参加してもらいたかったニュアンスっていうのはきっと、THE BACK HORNとしての真実とか伝えたいことを、他の人も参加してくることによって、もっと広げたっていうか。柔らかく広げて伝わっていくものにしたいっていう気持ちがあったんだと思うんですよね。

-そうですね。そしてアレンジでは巧みさとかジャズっぽさを聴かせるわけでもなく、この必要最低限な感じは何なんでしょうね。

こういう曲って、いろんなアイディアを足せるんですよ。で、ギターのアプローチとしてもいろんなアレンジの幅があって。そういうのを、宇多田さんとひとつひとつ検証したんです。宇多田さんに聴いてもらって、ふたりで話して、残して、削って、やって、ギターに関してもこれだけシンプルになって。最終的にシンプルな引き算のアレンジになってること自体、宇多田さんが参加して、共同プロデュースしてくれたことがやっぱり大きいですね。