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INTERVIEW

Japanese

BLUE ENCOUNT

 

BLUE ENCOUNT

Member:田邊 駿一(Vo/Gt) 江口 雄也(Gt) 辻村 勇太(Ba) 高村 佳秀(Dr)

Interviewer:石角 友香

-すごく腑に落ちました。ところで、前回の「ポラリス」(2019年11月リリースのシングル表題曲)が新たなフィールドに行くような大きな楽曲だったことに対して、今回の「ハミングバード」はどういう位置づけに?

高村:「ポラリス」は極端に言えば、あんまりバンドの生々しさを入れすぎない楽曲だったんですが、今回の「ハミングバード」に関しては逆にバンドの空気感みたいなのを多分に押し込んで入れた感覚ですね。緩さとかもあえて許して、バンドの瞬間瞬間の音をパッケージすることに力を注いだ楽曲なので、温度的には温かいぐらいの楽曲に仕上がったのかなと思ってます。

-"緩さを許せる"というニュアンスの発端はなんだったんですか?

高村:この楽曲自体がもうそうだと思うんですよ。田邊っちが去年の1月ぐらいに弾き語りで持ってきて、すぐワンコーラスをプリプロした、この楽曲の前身があったんですけど。そのときからこれはガチガチに完璧に作りこんだ楽曲というよりも、4人がどういう音を出して、それをどう混ぜていくか? みたいな、そこに重きを置いたほうが良くなる曲だろうなっていうイメージは最初からありましたね。

-それはいつの曲作り期間ですか?

田邊:『SICK(S)』(2019年リリースのミニ・アルバム)を作る前ですね。『SICK(S)』を作ろうってなる前の曲作りのタームで出した中の1曲だったので。

-そのときはやらなかったけど"今だ"っていう理由はどのあたりでしょう。

田邊:やっぱりきっかけじゃないですかね。今回、アニメのお話がきたのが昨年の夏の最初だったんですけど、進行上の理由で早めに作らないといけなくて、アニメのことを考えて、いろいろと新曲を作ったんですよ。で、その中で何曲か選んで勝ち抜いたある1曲があって、それはそれでいいけど、もう1曲温かい曲が欲しいよねってなったときに、"あれあったよね"って感じになって。結構ことあるごとに議論上には上がってたんですよ、「ハミングバード」の原型が。そのたびに"これちょっとやってみようよ"ってなってたんですけど、"今じゃない"っていうのが続いていて。それが今回は"あひるの空"のオープニング・テーマっていうので、ストーリー的にもこの「ハミングバード」の仮歌詞の内容もすごく合うよねってなって、それで進めていきましたね。

-とにかくイントロからびっくりして。柔らかいと言うか、有機的で。

辻村:でも昔からそういう曲は、世に出てないものもありますけど、田邊がずっと作っていたので。この曲を聴いたとき新鮮さもありましたけど、自分たちが何をやりたいか、この曲がどの方向に向かえばいいのかっていうのは、4人とも一緒だったと思いますね。だからこそ、キメキメすぎずっていうのは、みんなが納得できたところだったんじゃないかなと思います。

-いわゆるモダン・ロックとしてのギター・ロックと言うより、むしろギター・ポップに近いぐらいのイメージで、イノセントな感じですね。長くバンドやってきてこの感じになれるってすごいなと。

高村:自分たちからしたらそこまで特殊な感じでは作ってはないので。辻村の話にもありましたけど、普通に今まで自分たちが作ってきた感覚で作ってるので、聴く側にとってそういうふうに新鮮に受け取れるんだったら、逆にニヤリとしちゃうかもしれないですね。

高村:「バッドパラドックス」、「ポラリス」を作ったあとの「ハミングバード」というのももちろん大きいとは思いますね。ああいうふうにシステマチックというか、がっちり作り込んでやる楽曲を挑戦してみてから、自分たちでまた空気を入れるじゃないけど、違う雰囲気の曲を作ったっていうのがあるからだと思います。

-だけどミックスは洗練されてて。そのバランスが不思議で。

辻村:今回、白井(嘉一郎)さんというアジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)とかをやられている方にプロデューサーとして入っていただいて。白井さんがやる方向が、自分たちと同じベクトルに向いていたというのもありますね。それに僕らだけだったら、"これだけいいノリも出てるし、アリでしょ"ってところをあえてやり直したり、ほんとは波形とかでいじれるところを、"やっぱもう1回録り直そう"っていう処理の仕方をしたりしていたので、いい意味で(「バッドパラドックス」、「ポラリス」を担当した)玉井(健二/agehasprings)さんと、白井さんがプロデュースした楽曲が露骨に違う雰囲気になったのかなと。それこそ根本的なギターの出し方とか、イントロだけ聴いたら同じバンドとは思えないような(笑)、感じにはあえてなってるとは思いますね。

-ギターに関しては、バッキングはバッキングで鳴ってるし、江口さんは江口さんで鳴ってるし。久々にふたりが弾いてる感じが出てるなと。

田邊:それはたぶん、白井さんの音の作り方もあるだろうし。僕、普段録るときはわりとレンタル機材でやったりするんですよ。自分が普段使ってないギターとかアンプとかでやったりするんですけど、今回に関しては全部、自分のツアー機材で録ったっていうのもあって。ホールを経てのやりたい音っていうのもだいぶ見えてきたなっていうのもあるので、音決めは早かったんです。無駄に重ねてないし。

-バンドって今、どこまででも進化していけるけども、すごく4人が見える感じです。

田邊:ありがたいですね。

-イントロのギター・サウンドと、あとはサビ始まり、いろいろ驚きます。驚く曲じゃないんですけどね(笑)。

江口:そうですね。曲的には別にびっくりする曲じゃない(笑)。

辻村:だから楽しみですね、お客さんからどういうリアクションが来るのかが。