Japanese
コンテンポラリーな生活 × 空想委員会
2014年12月号掲載
Member:コンテンポラリーな生活: 朝日 廉 (Vo/Gt) 藤田 彩 (Ba) 酒井 俊介 (Dr)
空想委員会:三浦隆一 (Vo/Gt)
Interviewer:TAISHI IWAMI Photo by 吉田 太一
空想委員会が主宰するツアー"大歌の改新"第2弾の、神戸と京都2公演に出演したコンテンポラリーな生活。今回はメンバー3人揃って、空想委員会を率いる三浦隆一を迎えた対談が実現した。かねてから三浦に憧れていたので、この時間を楽しみにしていたというコンポラの面々。両バンド、互いが互いに持つ思い、音楽的なバックグラウンドや曲作りに対する意識、将来的なビジョンまで、終始和やかな中にも、熱い言葉が飛び交う時間となった。
-コンテンポラリーな生活と空想委員会、両バンドの出会いは?
酒井:KANA-BOONの企画です。nothingman、memento森も一緒だった。大阪の天王寺にあるFireloopっていうライヴ・ハウス。
藤田:今考えてもすごいメンバーですよね。
三浦:あれは、だいたい2年くらい前? そのときはほとんど話さなかったよね?
朝日:はい。僕は当時から空想委員会にすごく興味があったのですが、ほとんど話してないですね。タイミングが合わなかった。でも、その2日後にも神戸で一緒だったんで、そのときはグイグイいきました。でも三浦さんとは、あまりうまく話はできなかった。どのバンドも、基本ヴォーカリストは手強い(笑)。
藤田:朝日さんが積極的に話しかけるとこ、ほとんど見たことがないからびっくりした。
三浦:うん、俺以外のふたりにぐっと迫ってきたイメージ。
朝日:本当に、どのバンドも基本ヴォーカリストは手強いんです(笑)。
三浦:君もヴォーカリストじゃん(笑)。
朝日:僕はそうでもないです。
酒井:いや、よく他のバンドの人から"朝日くんは話しかけづらい"って言われるよ(笑)。でも、空想委員会と初めて対バン決まったときは、みんなで舞い上がってたよね。嬉しかった。
三浦:そうなんだ。こうやって話すようになったのは最近だもんね。そういうふうに思ってくれていたなんて、全然知らなかったなあ。
-いろいろと話すようになってからのお互いの印象は?

朝日:僕はずっと追いかけていたバンドだから、一方的によく知ってたんですけど、それだけに簡単に話しちゃいけないっていうのもあって、でも、実際話すようになって、音楽の趣味も似ていて、例えばくるりや奥田民生、ナンバーガール、敬愛するバンドに共通する部分が多くてテンション上がりましたね。
三浦:今回京都と神戸で一緒になった、MONOBRIGHTの桃野くんも合わせて、この3人に共通項が多いのは面白いよね。
朝日:桃野さんは、オンタイムで体験してきたアーティストのかたがた。僕に対しては"なんでお前そんなの知ってんだ? "ってなってた(笑)。僕が音楽をやろうって思ったときには、ナンバーガールも、THEE MICHELLE GUN ELEPHANTも、すでに解散してましたから。三浦さんはおいくつですか?
三浦:え~っと、俺、設定上は永遠の17歳だから(笑)。
酒井:空想委員会の委員長ですもんね(笑)。
三浦:まあ、他のメンバーやスタッフに所属委員があるわけでも、役職があるわけでもなく、すごくゆるい設定だけどね。なんとなく、そうなっていった感じ。
朝日:そうなんですか? 結成当初から、はっきりとしたビジョンがあってやってるのかと思ってました。マネージャーさんは書記だって、勝手に思ってました(笑)。
三浦:よく"初めから展開が決まってたでしょ"って言われるんだけど、ないんだよね。実際、そんな感じで、俺がゆるくて頼りないからなんだろうけど、他のメンバー全員に2回逃げられてるからね。今の佐々木と岡田は第3期メンバー。いろんなことが徐々に仕上がってきた感じ。
藤田:私、アンコールじゃなくて居残りコール、大好きです。みんなで"居残りっ! 居残りっ!"って。来ている人、すごく楽しいだろうなって思います。
朝日:僕らも間に合うかな? "コンテンポラリーな生活"だから、布団が敷いてあって、起きるところからライヴ始めるとか。
三浦:いや、コンポラはさ、そんなことやんなくていいよ。曲がすごく特徴的だし、絶対に友達にならなさそうな3人がステージにいるだけで、すごく変だしそこが面白い(笑)。
藤田:今も友達ではないです(笑)。
酒井:うん、決して友達ではない(笑)。
朝日:音楽が特徴的なのは空想も同じだし、僕らも設定を......。
三浦:いや、うちらはそうでもない(笑)。自分たちが作ってる曲のことは分かんないけど。
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1年3ヶ月ぶりの新作は、クラウドファンディングにより制作された、フロントマン 三浦隆一(Vo/Gt)が原作を手掛ける同名アニメと連動したEP。これまで三浦の実体験や心情に焦点を当てた楽曲制作を行ってきた彼らだが、今作では登場人物ふたりのそれぞれからの視点で綴られたもの、三浦から主人公に向けて宛てられたものと、歌詞表現の幅が広がった。リスナーからメッセージを募って制作されたという「エール」、アニメの主題歌であり歌を最大限に生かしたサウンドスケープの「マイヒーロー」など、着火性は高くないかもしれないが一過性ではない、バンドの核心となるエモーショナルな温度感をじっくりと伝える楽曲がひと際存在感を放つ。楽器隊のシンプルでありながら細やかな音使いも聴きどころだ。(沖 さやこ)
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"作った人間によってデフォルメされた音楽を、聴き手にも好きなようにデフォルメしてほしい"という意味のアルバム・タイトルを冠した約1年2ヶ月ぶりのフル・アルバム。これまでの人生経験を綴った三浦隆一(Vo/Gt)の歌詞も題材が多岐に渡り、岡田典之(Ba)も自らが作曲した楽曲はアレンジのイニシアチブを取るようになるなど、これまでで最もそれぞれのメンバーのカラーが出た作品になった。その結果3人の化学反応の生みだす調和によって、バンドとしての鋭さや楽曲のバリエーションが生まれている。佐々木直也(Gt)による全収録楽曲のフレーズを織り交ぜたインスト・ナンバーももちろん収録。3rdフル・アルバムが原点も成長も存分に含んだ作品になったことは、バンドにとっても大きな自信になったのでは。(沖 さやこ)
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TVアニメEDテーマや映画の主題歌などを収録した両A面シングルから約8ヶ月ぶりのリリースとなるEPは、初期空想委員会の代名詞ともいえる恋愛ソングを主軸にした作品。とはいえリスナーに懐古の念を起こさせないのは、アレンジや歌詞に新しいアプローチがあるからだ。特にアレンジは目覚ましく、通常盤に収録されている「波動砲ガールフレンド」のアコースティック・バージョンは、アップ・テンポの原曲を落ち着いたタッチでリアレンジ。テンポ・チェンジを用いたTrack.1、曲名のとおりトランス要素を取り込んだTrack.2を筆頭に、らしさを残しつつ斬新な印象を与える。非常に理想的なアップデートでは。ラストに"その先"を匂わせる歌詞も、タイトでクールな音のなかで力強く響く。(沖 さやこ)
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世の中には嘘が多く存在する。それは自分自身を優位に立たせるものであったり、自己防衛のものであることも多く、穿った見方をしてしまうこともある。だが音楽を含めた芸術に関して嘘は天敵である。空想委員会は、そういった狡猾なことは一切せず、努力を欠かさず生身の自分自身で音楽を作り鳴らすバンドだ。フロントマンの三浦隆一の人間性はメジャー・デビュー以降さらに楽曲に明け透けになり、心境の変化が新たな色彩をもたらす。楽器隊もそこに突き動かされるように、楽曲の奥行きを作るため以前以上に細部まで音色を追求。これまでの持ち味をブラッシュアップさせながら、新たなチャレンジを要所要所で取り込んだ精度の高い楽曲が揃っている。彼らの音楽愛と好奇心はこれからも我々の心を刺激し続けるだろう。(沖 さやこ)
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男性目線と女性目線の2曲で、ひとつの冬の恋の終わりを描くことをコンセプトに制作された完全限定生産の両A面シングル。Track.1はシンプルで疾走感のあるギター・ロック。冬の冷たい空気の中を疾走していくような力強さもあれば、触れたらすぐに溶けてしまう雪のような繊細さや感傷性も持ち合わせた空想委員会らしい楽曲だ。Track.2は舞い落ちる可憐な雪を彷彿とさせる、ストリングスを用いた軽やかなナンバー。"終わった恋の続きを始められたら"と願う女性の切なくささやかな希望が綴られた歌詞とサウンドの親和性が、冬が終わると春が来ることを伝えてくれるようだ。2015年は制作面でも活動面でも彼らにとって大きな過渡期と言っていい。来年の活躍に期待を寄せざるを得ない完成度である。(沖 さやこ)
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